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ウィリアム・ギブスンの小説に、ハッカーたちの集う《茶壷》というバーが出てくる。こちら《…

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ウィリアム・ギブスンの小説に、ハッカーたちの集う《茶壷》というバーが出てくる。こちら《chatsubo》は現代の茶室的妄想文学空間。都市を回遊するカラフルな都会人たちが、今宵もまた《chatsubo》に出没する。JOIN US!

マガジン

  • 毎日書く。

    小説を書くためのノリというか、バイブスを新鮮に保つために、毎日書く。小説とは関係のないことが、関係をもつようになってくる。そうしてノリを更新しつづける。

  • CHATSUBO CLIPS

    Other writers' articles to help you write without writing.

  • SF小説|Being Covered

    仮想空間にある文学バー《Chatsubo》に集う、カラフルな人物たちの物語。あらゆる出来事が、タロットのカードのように表象的になる一方で、モノの質量は増加を続ける。物質⇆非物質の交差がもくもくと蒸気をあげて繰り広げられる。〈デジタルネイチャー〉を言祝ぐ。

  • ひとり小説会議

    小説を書く前に、一人であれこれブレーンストーミングしている過程を書き留めています。

  • 〈書いて叶える〉クロニクル

    小説家として起業するために、ほぼ日HONで〈書いて叶える〉を実践するプロジェクト。毎日どんな変化が起きたのか、僕じしんの「言葉にできるは武器になる」をnoteで記録していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

今日の《Chatsubo》。ソル、FH、壺井、アルジズ・・・。いつもの顔ぶれが仮想的文学バー《Chatsubo》で飲んでいる。濃密な茶室的空間がいや増す。まったりとした夜の時間はまだまだ続く。今日は誰が打ち明け話を始めるのだろう・・・?

    • 【超短篇】knock_knock

      駄菓子しかつまみの無い呑み屋でバイトをしているという、よるいちさんという方のnoteをおもしろく読ませていただいた。その不思議な呑み屋のイメージに触発されて書いた断片です。 駅から家へ帰る途中に、新しくバル? 立ち吞み屋? が出来た。「knock_knock」というサインの懸かったその店に、俺はしばしば寄るようになった。 路地にある、カウンターだけの簡素な店。内装はMDFで造られていて、すっとんとんで、スカスカしている。 俺とおんなじで、すっとんとんで、スカスカ。 だか

      • 映画「マトリックス」における預言者のクッキー

        窓から見えるアロエの茂みが大きくなってきた。わりにグロテスクなんだが、色は美しい。白ちゃけた緑。 映画「マトリックス」をアマプラで観た。僕はこの映画を見るのはたぶん三度目なのだけど、ほとんどの細部を忘れていた。細部どころか、骨格も忘れていた。 印象に残ったのは、〈預言者〉とネオが対面するシーン。南部っぽい雰囲気のキッチンで、南部っぽい雰囲気の女性がクッキーを焼いている。その女性が〈預言者〉らしいのだが、彼女のタバコの吸い方がいい感じだった。 この映画で彼女が唯一(あとも

        • こんな〈コンピューターおばあちゃん〉はカッコいい。

          昼時のマクドナルドで。 僕の祖母と言っていいくらいの感じの女性が、前に並んでおられた。黒いナイロンリュック姿。ハンバーガーとアイスコーヒーをオーダーし、決済はクレジットだった。いや、なんかサクッとしてる。 僕はその白髪のおばあさんの二つ離れた席に座ったのだが、彼女の姿が視界に入ったので、何となく眺めていた。 おばあさんはナイロンリュックからタブレットを取り出すと、テーブルの上にスタンドさせ、動画を見始めた。イヤフォンなしなので、音がかすかに聞こえていた。おばあさんはハンバ

        • 固定された記事

        今日の《Chatsubo》。ソル、FH、壺井、アルジズ・・・。いつもの顔ぶれが仮想的文学バー《Chatsubo》で飲んでいる。濃密な茶室的空間がいや増す。まったりとした夜の時間はまだまだ続く。今日は誰が打ち明け話を始めるのだろう・・・?

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          9本
        • THE CHATSUBO PEOPLE
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        記事

          千葉雅也は、ここから先は有料、の手前ですでに面白い。

          千葉雅也さんの文章が好きで、本やnoteをよく読むのだけど、彼のnoteは有料記事のこともある。 もちろん、ぜんぶ読みたいと思ったら買うんだけれども、「ここから先は」と区切りが現れる前でもすでに面白く、♡スキ を押している。 ↓ このnoteもそう。 彼は一貫して、出てくるに任せて書く。出任せを書く。そう主張している。その方がうま味が削がれなくていいのだそうだ。 やってみるとすぐにわかるけども、出任せは出任せなりの調整が必要で、千葉さんは無造作に見える調整の方向性がカ

          千葉雅也は、ここから先は有料、の手前ですでに面白い。

          「途方もない計算過程」

          「○〇電力の下請けをしている△△です。電柱に架かっている木の枝を切らせてもらえませんか?」 甲高い男の声が聞こえ、家人が外へ出た。僕からは見えなかったが、二人は地図を見て場所を確認しているらしかった。 男の声は不安定で、ピッチも不安定で、どんな風貌のやつなのだろう? と僕は好奇心にかられたが、もちろん覗きに出たりはしなかった。 というような出来事が朝方あったのだが、なんということもない出来事なのだけども、書いておこうと思った。 千葉雅也がこう言っていたのを思い出したから

          「途方もない計算過程」

          ラヴクラフトと「個人的深淵」とハレの日。

          ——地球がまだ出来たばかりの頃、どこかからやってきた意識体があって、それは今も地球のどこかに住んでいて、人間たちを〈洗脳〉している。人間たちが見る夢を通して。 僕は今日、ラヴクラフトの「クトゥルーの呼び声」を読んでいる。『インスマスの影』所収、新潮文庫、南條竹則の訳。書いてあることがモダンだ。 メルヴィルの『白鯨』の気配がかすかにある。混血の船員とか、奇妙な偶像崇拝とか。 船。残された手記、あまりにも巨大なクリーチャー。頼もしい権威のある調査団。新聞記事。 僕の限られ

          ラヴクラフトと「個人的深淵」とハレの日。

          欲望を掬う自販機

          長洲泳とアレクセイ・メイヤーは夜のコンビニエンスストアにいた。 夜のコンビニ。いろいろあるけども、ここは異国。 場所はロシア、サンクトペテルブルク。アレックスこと、アレクセイ・メイヤーが通うイシリアル神学校の向かいだ。 で、男二人が自販機の前で逡巡していた。ことの発端はアレックスの疑問だった。アレックスは向かいの神学校の学生で、このコンビニでアルバイトをしている。夜のシフトだ。 店内には長洲泳のほかには客は誰もいない。泳はちょくちょく夜中にここに来て、アレックスと話をす

          欲望を掬う自販機

          男三人+猫。平和を味わう。

          長洲泳に、瀬ノ尾翁との出会いについて聞いてみることにした。 「瀬ノ尾さんとは、いつ出会ったの?」 「うーん、覚えてないな」 「そう?」 「・・・・・・」 僕と長洲泳は瀬ノ尾氏の庭に椅子を出し、木斛の木陰で外を眺めていた。 当の瀬ノ尾さんは出かけていて、僕らは勝手に彼の庭でくつろいでいるのだ。 「何か、知らないうちに。猫が懐くみたいにして」 「ん?」 「このブチ猫みたいに。いつからかやってくるようになった」 「それって、瀬ノ尾さんの口から聞いてるみたいに聞こえるけど」 「だよね

          男三人+猫。平和を味わう。

          〈別世界〉を作る。

          天気がいい。昨日はものすごく風が強かった。通りに出されているゴミ箱の蓋が飛んでいた。 オリーブの新緑が美しい。葉っぱが白く輝いている。 図書館のヤングアダルトのコーナーでしばらく思案したのだが、『アバラット』という分厚い本を借りてきた。 「子供だった私は、そんな物語世界から、退屈であたりまえの現実にとりこまれてしまわない方法を教わったんだ。」 著者のクライヴ・バーカーの言葉だ。アマゾンの「商品の説明」のところに、著者の長いインタビューが載っている。 「まったくの〈別

          〈別世界〉を作る。

          Reading for a Living

          noteで面白い本を知ったのだが、面白いといっている場合じゃないことがわかった。 アメリカの映画やテレビの世界では、原作原稿を読むプロがいて、ストーリーアナリストと呼ばれている。 Reading for a Living とは、生活のために読む、読むことで食っていく、そういうプロフェッショナルに作品を読む世界だ。 ただただ楽しいだけの読書を、プロだったらどう読むか? もし、この一冊の読書に報酬が懸かっているとしたら、どこをどう読むか? という姿勢に変えてしまう。 それ

          Reading for a Living

          低いハードルで自分をあやす日もある。

          自分の思考と雑談するようにして話すと、20分のラジオで2万字分くらいのことが話せるらしい。メディアアーティストの落合陽一氏がそう書いていた。 その5倍、100分間休みなくしゃべり続けてそれを打ち込めば、小説になる。やってみたい。というか、そのモード、楽しそうだ。 ところで今日は暑い。日差しがパキっと鋭くて、夏のようだ。 車へ戻ると、車内がアチアチだったので思わず自販機でコーラを買った。自販機のコーラ、久しぶりだ。 ゴクゴクっと飲んだとたん、汗がどばっと噴き出てきた。やっ

          低いハードルで自分をあやす日もある。

          小説を書くことと、ニーチェとか。

          一日よく雨が降った。机に飾っている名前のわからない花がいいにおいだ。花の色は白で、香りが濃厚。プラムの花に似ているが、枝や葉は草花っぽい。 構想中の小説について、今日はまだ1秒も考えていなかった。 主人公・伊佐時折がどんなヒーロー道を歩むのか、僕はまだヴィジョンの焦点を結ぶことができない。 彼が持てる力をすべて投入して、何事かを成し遂げる。それだけはぼんやりとわかるのだけども、一方で、そう簡単にトキオリを操作していいのか? とも思う。 逆に、たとえば、彼がすでに非凡な

          小説を書くことと、ニーチェとか。

          年季のはいった村上春樹読みから、年季をはがす。

          8:30 am. 雨が降っている。部屋に活けている芍薬が美しい。 さっきから雨が、天井の板をポツポツと鳴らしているように聞こえてならない。そんなわけ、ないんだろうけど。 雨粒がじかに天井を打っているとしたら、それはもう「雨漏り」だ。たいへんだ。 僕は天井裏にしだいに雨が溜まっていくのを想像する。おそろしい。 そのうちに天井のどこか弱いところから雨が浸みだす。おそろしい妄想。 ところで、昨日の夜に急に思い立って『ヒロアカ』を読み始めた。16巻だ。僕にはまだ手付かずの沃野

          年季のはいった村上春樹読みから、年季をはがす。

          〈落合陽一〉をインストールすると

          僕は連日、落合陽一を読んでいるわけだが、今日は『魔法の世紀』。 おもしろかった。 落合のやっていることは、僕には不思議な手触りに感じられて、それがいつまでも拭えない。 本の感想を言おうにも、なまじかなことは言えないんだけど、なんだろう、僕がふだん考えていることとは全く別の地平のはずなんだけど、どっかで懐かしいような。 言葉づかいがこのみ。落合の『忘れる読書』でもわかるように、彼はものすごい量の本を読んでいる。いつも持ちあるく本はニーチェで、『ツァラトゥストラはこう言った

          〈落合陽一〉をインストールすると

          満足した等差数列都市。

          阿久沢牟礼さんの掌編小説をおもしろく読んだ。 一日に1メートルの西伸を続ける都市が舞台だ。仮に名前を「西伸」としよう(僕が勝手につけています)。 そのまんまだ。中華風でもある。 西伸は城壁を西へ拡張しつづけて数百年、それに合わせて人々が住む街ものたりと伸びている。国があらゆる生活の面倒をみてくれる。 日に1メートルの等差数列の都市。飲ませ食わせさせられ、少しずつ肥大するエコシステム。 街の上空を飛ぶ鳥の眼からは、二次元情報しか見えない。眼下に広がるのは細長い城壁と、

          満足した等差数列都市。