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女性アスリートのコンディショニング🌜️~月経・解決編~



月経が止まってしまった原因がはっきりしています。それはトレーニングです。


そして、この月経が止まるのは止まるべくして止まっています。
身体を正常に保とうとする為に意味があって止まっているのです。よって月経がくる、こないは放っておきます。
その子の身体が自然と現わすままにしておくようにします。


ただし、定期的に鍼灸施術で瘀血にならないかを気をつけて確認すべきです。

瘀血とは身体の中で巡らなくなった血液のことです。

気血を多く消費するアスリートの多くが血虚の脈になります。
それが瘀血の脈や瘀血の腹証が出ていれば、それは無月経の原因はトレーニングだと言えなくなります。

そこの判断をしなければトレーニングを止めても、体重を増やしても月経は来ません。
実はトレーニングが原因ではなく、他の身体の異常からであったということになります。

よって、女性アスリートは定期的に診察し、瘀血が生じていないかを確認します。
これは当然パフォーマンスにも大きく関わってきますので、瘀血が生じた時はきっちりと治療を継続させるようにします。


瘀血の脈―沈弦実 
*明らかに血虚の脈と違います
瘀血の腹証―下腹部の抵抗や右脇部の抵抗


また、瘀血によって引き起こす症状

・故障が長引く、繰り返しやすい
・抑鬱傾向(気分が上がらない・やる気が出ない)
・疲労骨折のリスク↑


運動性無月経は女性アスリートの三主徴の一つとされ、このほか利用可能エネルギー不足、骨粗鬆症が大きな問題として挙げられています。
これが原因だと一つには決定しがたく、様々な内的外的要因が絡み合って起こっているものだと日々の臨床を通じて私は思います。


本当に強いアスリートとはただ速い、ただ強いだけでなく、心身共にイキイキとしています。

正確に状態を見極め、コントロール(調整)できれば、必ずパフォーマンスは上がります。
この部分をしっかりアプローチすることがアスリートへの心身のケアになり、選手やその御家族、指導者が施術者に対しての大きな信頼へと繋がります。

多くのアスリートは選手生活を終えたあとの人生の方が長いのです。

自身は心、命、性と向き合うことなく、思春期を終えてしまったと思い、長い間後悔していました。
特に女性は妊娠を望むとき、心身の状態が整っていなければなりません。
また妊娠に限らず、心と身体が安定し、心地よい日々を過ごす上で自身の月経について向き合ったり、知ろうとすることがどれだけ尊いものであるか。
引退してから対処すればいいやでは後に必ず代償があり、心身の状態が安定するまで時間を要します。


やはり選手のときから自分の心身と向き合う時間、女性としての心身と向き合う時間がいかに尊く大切なことか、彼女達、後輩達と関わり、伝え、共有することをやめてはならないと今改めて強く感じています。
もちろん、それは男性も同じです。


現役を引退後、月経不順、流産や不妊、不育症で悩むかつての同志を身近に何人もみてきました。

特に腎を消耗して走る長距離ランナーの割合が高いのは当然のことなんです。

このような現状に対して、仕方がないで終わらすのではなく、鍼灸施術がケアの一つとして有効性が高く、問題改善へ導くサポートができるものだと伝え、実践していくしかありません。
またスポーツ内科医、産婦人科医、管理栄養士、薬剤師、指導者、御家族、その他サポートに尽くされる方々と手を取り合い、正しい情報を提供し合える関係性、環境を整えていくことが何より必要なことであると思います。


成長段階である中高生が全国レベルまでに達したあと、記録に伸び悩む、もしくは引退が早いなどの問題が注目されていますが、きっと上記に述べたことを実践すれば、改善解決に繋がります。

階段は一段一段のぼっていくことが、強く太く、選手生命の長期寿命へ繋げる何よりの秘訣だと私は強く思います。

自身を育ててくれた陸上競技の世界が更に発展し、スポーツ、アスリートの世界が清い場となるよう、また天から与えられた性に感謝しながら、アスリートとして全うできる方が一人でも多く増えることを誰よりも切に願います。


*あとがき
月経は月の満ち欠けの周期とほぼ同じサイクルで循環しています。
天地の間で住まうヒト、人間なのだからその循環もごく普通のことであるのに、こういうことを学校や自身よりも年上の方から教わる機会や自ら知ろうとすることも東洋医学の本質に触れるまで正直ありませんでした。

このテーマに向き合い始めたのが現役を引退して、3年後の2014年の4月頃でこの頃には自然に月経も来るようになっていたと思います。ただ、生きているという実感は全くと言っていいほど感じられない、そんな日々を送っていた頃でもありました。

東洋医学、古典・伝統医療は學ぶというより本質に気づく、気づかされるものである。
そして、性や命についても同じことで、これは教えてもらうものではなく、気づき気づかされ、先人、先祖から導かれたものを感じるものなんだと日々の生活で痛切に感じています。
そのような中で性に向き合うとは命に向き合うこと、自身の魂、本質に向き合っているのだとようやく胸を張って言えるようになりました。

常に自然の流れと共存している鍼灸、東洋医学の世界が、より自然に近い状態へと、より自身の生まれ備わった力を発揮できる状態へと導いてくれる大きな役割を担っていることに気づけたことへ感謝し、またそれこそが私たちの住む大地である地球への還元となっていることを切に願いながら今後も自身にしかできない活動を継続していきます。

                     2022.12.8(木)はり供養の日🌕


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