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鉄欠乏性貧血(スポーツ貧血🍊🥦🍙🍖🥚)~解決編~


血液検査において押さえておくべきポイント

では、鉄欠乏性貧血であると診断される上で西洋医学的所見である血液検査ではどこに注目すればよいのでしょうか。
まず血清フェリチンが減少し、次いで血清鉄が減少します。その後はヘモグロビン鉄が減少し、徐々に症状が出始めます。
鉄剤を投与すると、まず血清鉄が上昇し、次いで血清フェリチンが上昇します。治療は血清フェリチンが回復するまで続けます。

また総蛋白(TP)、こちらの値もアスリートを診る上で大変重要項目となります。主にエネルギー摂取の過不足、栄養状態を表しています。この値が低いと特に長距離選手は後半の急なタイムの落ち、足が止まる、ラストスパートが効かない、気持ちが最後まで持続できない等の状態になりがちです。


耐える力、最後まであきらめない気持ちを助けてあげる為に東洋医学では、これらを統括している「腎」の働き(トレーニングや不摂生による腎精の漏れや使い過ぎ)に注目します。従って、西洋医学的所見と東洋医学的所見と合わせて選手には伝えるようにしています。

対処の仕方

鉄欠乏性貧血と診断された場合、まず鉄剤が処方されます。
経口鉄剤は空腹時や胃の㏗が低いときの方が吸収されやすい反面、胃腸障害などの副作用も出やすくなります。また、経口鉄剤内服中は便が黒っぽくなることがあります。
栄養指導としては鉄分やたんぱく質を多く含むもの、吸収率を上げる為にV.C、何より五色(緑・赤・黄・白・黒)・五味(酸・苦・甘・辛・しおからみ)に偏りのないバランスの良い食事が求められます。

長距離選手は体重を気にします。特に炭水化物である穀物類を減らそうとします。痩せたいのはわかりますが、エネルギー源である穀物類を減らしてしまうとエネルギー摂取量不足はもちろんのこと、糖分が枯渇するので身体は動かなくなり、思考力、集中力も低下し、ウエイトコントロールも上手くいきません。そして、糖分が欲しいがためにあめやチョコレートなどの甘味を口にしたくなります。カロリーの確保はできますが、それでは当然貧血や体調不良に繋がるのです。


数値の状態にはよりますが、だいたい1〜2ヶ月で回復はみられます。
しかし、またトレーニング量が増え、生活が乱れると同じようなことが起こりえます。それでは継続して質の高い練習を積むことが出来ません。


人間の身体は常に変化し続けている為、
いくら養生やケアを意識していても
体調を崩したり故障(怪我)はつきものです。

出来るだけ質の高い練習を落とさず、改善するには何が必要なのか。


自身も中1〜大学卒業までの約9年間この症状に悩み続け、色々試しました。

  • 鉄剤注射(直接血管内に血液を入れる静脈注射)←←←ここに頼っては🙅

  • サプリメント(Fe・マルチビタミン・VC)、プロテイン

  • スキムミルク、赤ちゃん用の粉ミルク(たんぱく質、鉄分、エネルギー摂取量を補うため)

  • 鉄分の多い食事(レバー、ほうれん草、ひじき、赤身肉など)

  • 酸素カプセル(高酸素濃度・直接酸素を取り込む)

静脈注射や酸素カプセルをのぞき、口から摂り入れる方法では正直改善、克服という意味で大きな効果を得られた実感はありませんでした。 
静脈注射に関しては西洋医学的な視点においても確実に肝機能障害のリスクを高めます。また、疲労も抜けにくくなり、常に筋(肌肉)の状態もベストに保つことは難しくなります。
これらの経験をもとに西洋医学の力では自身の心身に限界を感じ、東洋医学(古典医学)の叡智をお借りることにしました。

学ぶうちにわかったこと、実感したこと。それは、

全てにおいて胃腸の働きがカギを握っているということ。胃腸の状態を良好に保つこと。

ここに行き着いたのです。
当たり前じゃないかと言われそうですが。。



いくら栄養価の高い食材、サプリメントを摂取しても吸収する力が低下していると当然、身にはならず、貧血だからといってたくさん食べようとすることで余計に胃腸への負担が大きくなり、結果的に吸収率を下げている可能性があります。(下痢をするパターンも少なくありません)
東洋医学の世界では胃は身体の中心に位置すると言われており、ココが狂うと全てが狂うと言っても過言ではないくらい大切な場所です。


胃腸の働きを低下させない為にどうすればよいのか?

①ゆるやかに手足をつかうこと(散歩がベスト)

*アスリートの皆さんは使い過ぎで傷めている方が多いので、なんだか胃腸の調子が良くないと感じるときは安静を保つよりのんびり歩くことをオススメします。

②消化によい食事(冷飲食物・味つけの濃いものは摂り過ぎに注意)

③よく噛むこと(唾液が消化を助けてくれる)

*急いで食べない、量は減ってもいいので確実に吸収させる方が大切!!

④一回の水分量を意識すること(人によって体格が違えば、吸収する量も違う)

*水分の内容も重要。市販のスポーツドリンク、エナジードリンクなどの清涼飲料水は糖分がたっぷり。

⑤質の良い睡眠をとること

*理想は6〜8時間。ただし、陰気が最大に高まる23〜25時(子丑の刻)の間は可能な限り身体を休めて欲しい。そんな早く休めないという場合、目を休める、閉じるだけでもかまいません。


血は夜、眠っている間につくり、昼間に酷使した身体や内臓を修復させます。夜、頭を働かせていた血が内(内臓)に入ることで、人は眠りにつきます。
しかし、血が不足すると頭に昇ったままになり、夜になっても内に帰れなくなります。これは血の循環がうまくいかないからです。
頭に血が昇った状態になると、眠れなくなります。夢を多く見たり、すっきり目覚められないといったことになります。
睡眠の質が改善されると身体や脳の機能回復はもちろん、集中力、記憶力は確実に上がります。

これらの養生に加えて、鍼灸の力で脾胃の働き(消化機能)を高め、回復させるサポートが可能になります。貧血とは無縁と思っていても、どの選手にもなる可能性はあります。特にシーズン中は連戦が続いたり、合宿中の鍛錬期は要注意です。受け入れることの出来ない胃腸に無理矢理、入れようとすると益々状態は悪化し、筋疲労どころか心身の疲労まで抜けなくなります。貧血に限ったことではありません。
胃腸をベストな状態に保つことはパフォーマンス能力を確実に上げることが出来、ピーキングコントロール(調整力)も身についていきます。

こちらで述べたことが全て正しいわけではありませんが、今のやり方で思うような結果に結びつかないのであればやはり改善が必要かと思います。
いつも同じような時期やタイミングで故障したり、体調を崩す選手は練習以前に生活習慣の問題を改善することで大半のことは解決に繋がります。


何事も知ることはとても大切です。
ただ私達の周りに溢れる情報をどう受け止め、活かしていくかは自分次第です。
まだまだ研究段階ではありますが、少しでも皆さんの競技人生、またはその後の繋がる道に光となっていれば幸いです。


*あとがき
自身の脳内整理を行うと下記のようにシンプルになりました。

血虚=血の不足≠鉄欠乏性貧血=ミネラル不足・栄養吸収障害
もちろん、内的外的要因は個々に違いはあるので、生活の見直し改善は必須。


まさに「血」を大量に消費している文章でしたね(笑)
偶然通りかかった方、大切な血を消耗させてごめんなさいm(__)m 
アスリートに限らず、みな「血」を、胃を大切に日々を過ごしましょうね。

このテーマはひとまずおわり。                
                         


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