見出し画像

暑病と熱中症🌞

この5月中~下旬にして猛暑日に達している地域があるという現実。
わたしが住む伊賀市は真夏日を迎え始めたところですが、有難いことに周辺の木々や竹林達に守られ、冷房器具や空気清浄機等に頼ることなく、爽やかな風を受けながら生活を送ることができています。

ミネラルたっぷりの裏山の青梅の木も御守り隊💂

この時期になると連日体育祭関連で熱中症にかかり、病院へ搬送されたというニュースを見ると、大変悲しくなります。
これから暑さが増していくというこの時期はまだ身体がきちんと順応していないのです。
夏至を迎えたあと、陽気のピークは折返しになりますが、暦の上でも小暑、大暑と夏本番に向けてまだまだ暑さは続いていきます。
暑さに身体が順応した頃の9月、10月にしているのは暦の上だけでなく、身体にとっても理にかなっているんですね。

自身の体温と同じくらい、もしくは体温を超えるような夏の暑さは尋常ではなく、
「熱中症や熱射病の予防のためにこまめに水分を摂取しましょう」と言われてもそれだけでは太刀打ちできません。
スポーツ現場では尚更です。
東洋医学的には『熱中症予防=たくさん水分摂取をすること』とはならないのです。

水分を摂り過ぎると脾胃(消化器系)が弱ります。脾胃が弱ると、からだを動かす為のガソリンである気血の元となる陽気の生成ができず、からだの防衛機能が低下し、余計に暑の邪が外から内へ入りやすくなるのです。

暑病といっても段階があります。

○熱証
皮膚表面で熱が非常に旺盛になると、身体がほてったり、頭痛、煩躁状態(胸がやけるよう)、喉がよく渇くなど、身体がカッカし、熱の症状が出てきます。
暑い日に炎天下で労働(活動)をしていると、最初はこのような状態になります。
これはいわゆる熱射病です。
身体がほてり、シャワーを浴びても冷たくないとか、冷たい水をいくらでも飲めるなどの状態になります。

○熱証から寒証へ
暑の邪はこの後、表面の熱が旺盛だと寒の邪のようにふたがされないため、汗がどんどん出ていきます。
汗は血や気が変化したものですから、汗をかくほど身体が消耗していきます。
(過去に記載した鉄欠乏性貧血でも同じことが言えると思います。)
「壮火は気を食む」という言葉があります。少ない火というのは、身体を温めるなどして元気にします。
しかし明らかに大きな熱というのは、逆に元気を消耗させるということです。
そうすると、汗として気がどんどん外側へ漏れていきますから、身体全体の元気がなくなっていきます。元気がなくなってきたら、熱を押しとどめることができないので、熱は内功していきます。
汗をかくことで熱を外側へ発散するということができなくなります。

熱は元気を奪っていきますから、倦怠感、煩熱、下痢、食欲不振などの内科的症状がおこります。
お年寄りが家の中にずっといるのに熱中症になるパターンはまさにこれです。

この場合、とにかく胃腸をいたわることです。
水分をたくさん与えてはいけません。
脾が上手く働いていないので、与えれば与えるほど、水分が胃に停滞します。

自身が学生の頃、真夏のレースや夏合宿中に上記のような症状に陥っても、当然こういった知識がなかった為、浴びるように水分や経口補水液を飲用し、その場をしのいでいましたが、いつも目の前は星のようなものが飛んでいたり、毎年9月に入った頃から急激に体調を崩し(いわゆる夏バテ)、ひどい鉄欠乏性貧血になっていたのを今更ながら、胃腸をいたわっていなかったからだということに改めて気づくことができました。。。
フェロミアをきちんと常用していたのに、という以前の話ですね。
もう一度、あの頃に戻ってやり直したい!とは思わないけれど、きちんといたわっていたらあんな苦しい想いを胃腸にさせなかったんだろうなと本気でごめんなさい、反省してます。

しつこく言いますが、胃腸をいたわることが、外からやってくる暑気や熱気のような邪気をも寄せつけず、また侵入して来ても、きちんと他の臓腑と連携を取りながら内側の機能を守ることに繋がります。


内側の胃腸をはじめとする五臓六腑をいたわらず、外側の冷暖房などの機械でかためてしまうことで、汗を出さない状況をつくり、その結果、熱中症や熱射病のリスクを高めていることを忘れてはいけません。
利便性を求め過ぎると、大切なものも同時に失うことになります。
  

ちなみに胃腸をいたわる食事でおすすめなのはお粥さん、お鍋です。
暑いときこそ、温かいものを、ですね🙆

追記 R5.9.6(水)
この夏は経口補水液ではなく、
こちら大変御世話になりました🌾

口にしたものがきちんと消化吸収、何より循環されるよう、水捌けのよいカラダづくりを引き続き、しつこく目指しましょう。


[参考文献]
大上勝行 著
よくわかる経絡治療脈診ワークブック
暑の邪の侵入と脈の変化 


2023.6.6(火) 芒種🌾🌾
はり灸碧空
福森 千晶

追記   2023.6.8(木)
水分を摂り過ぎるなと書きましたが、唇の皮が剥がれるようでは明らかな水分不足です。
水ですら受けつけないようであれば、無理をせず、点滴を。
唇に赤みがあるかどうかがポイントです👄
舌に歯痕があるようなら、それは水が多く、身体の水捌けが悪い状態です👅

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?