子供のためのオルセー美術館(63)モリゾ・うすいベールの向こうがわ/印象派の先頭をいく女流画家ベルト・モリゾ
その優美さはどこから
すきとおった白いベール、縁取りにピンクのリボン。
ベールの向こうがわには、だれがいるのでしょう。
ゆりかごに眠る赤ちゃんでした。
赤ちゃんの頭には、
青いリボンが、さっきつけたまま。
静かな寝息と一緒に小さく動きます。
女の人は頬に手を当て赤ちゃんを見つめて…
おや?
赤ちゃんも?
手を曲げておんなじかっこう!
ベルト・モリゾは、妹エドマとその子供ブロンシュを描きました。
モリゾは、素早い筆で透き通ったベールを描いて、
見ている私たちが、赤ちゃんにすぐには近づけないような、そんな母子ふたりだけの親密な空間を作りました。
そして
ピンクの縁取りのベールと同じような後ろのカーテンのうすい青も、
ふたりをやさしくつつみました。
Berthe Morisot
Le Berceau 1872
1er exposition impressionniste, 1874
ベルト・モリゾ
ゆりかご 1872
第1回印象派展 1874
お読みいただきありがとうございました。
モリゾは、印象派のメンバーとして同世代の画家たちから称賛と尊敬を集めました。
この絵の引き込まれるような美しさ、斬新な筆使いで透けるベールに子供を描く大胆さは、モリゾならでは。母親の顔立ちははっきりと、対して、白いベールや眠る赤ちゃんは素早い筆致で自由に描かれています。
親密な愛の表情は母子の位置による対角線でより強められ表現されています。線をいれてみました。(目と目、肘と肘、カーテンの交差-オルセー美術館説明)
ところで、第一回印象派展ではこの「ゆりかご」の絵のすぐ近くにセザンヌの「モダンオリンピア」が展示され、そのふたりの正反対なテーマに観客は騒然となりました。
以下問題になったセザンヌの第一回印象派展作品
2019年オルセー美術館企画展ベルト・モリゾ デモビデオ50秒
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