子供のためのオルセー美術館(67)モネ・2枚の港の絵/最初の印象派展に出す2枚の港を描く
港の時間をつかまえる
船が出るぞー。
この時モネは、港の船や、空、見送りに来ている人たちをアパートの窓から見ていました。
うすい紫の空、青灰色の海に、朝いちばんのお日様がちょうど出てきたところ。
港には誰がいるでしょう。
赤茶の土が朝の光に白く照らされて、
杖を持ったシルクハットのムッシュ、子供を連れたマダムもいます。
ヨットの三角の帆はどれもとんがってて強く、あの海辺の建物と同じくらいの高さじゃない?
モネは、雲からのぞいた早朝のお日様が、ヨットも海もピンクに染めていく瞬間を描きました。
青とグレーとピンクと茶色。
絵の具を薄く軽い筆触で、時どき細かく厚く。モネは急いで筆を動かしました。
別の日の朝。
みんなのよく知っているモネの絵、港の工場地帯にのぼる 日の出
モネはこの2枚の港の絵を、第1回印象派展に出したのです。
Claude Monet (1840-1926)
Le Havre, bateaux de pêche sortant du port 1874
Collection Michael G. Herman
Première exposition impressionniste, 1874, n° 96
クロード・モネ
ル・アーヴル、港を出る漁船 1874
マイケル・G・ハーマン・コレクション 第1回印象派展 1874、No.96
Claude Monet
Impression, soleil levant 1872
Paris, musée Marmottan Monet
Première exposition impressionniste, 1874, n° 98
クロード・モネ
印象 日の出 1872
マルモッタン美術館 第1回印象派展 1874 no. 98
お読みいただきありがとうございました。
第一回印象派展に出展した2枚のル・アーブル港の絵のうち、今回ご紹介したあまり知られていない漁船のいる港の絵はいかがでしたでしょう。今まさに出航する漁船を取り巻く大気、変化していく早朝のその瞬間を捉えてモネは描きました。
ご存知の有名な日の出もまた改めて取り上げます。
オルセー美術館印象派150周年企画展でひときわ目立っていたお洒落な(大きな)帽子のマダムもパリならでは。
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