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ぶいちゃ創作

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VRChatで公開している作品やその設定など、VRChat関連の創作をまとめた物です。 不定期更新で思い立ったら作品を公開していきます。
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記事一覧

先生の最後の○

先生の最後の○

前置きこの小説はFM言ノ葉で行われた、「第4回 きっとあなたの1400字」という企画にて発表した作品となります。

なお、「主は、希望は、我の傍らにあり」にもちょっと絡んでくる作品です。

本編今日もつまらない毎日が始まっては終わると思っていた。そんな俺が受けているのは、倫理社会の期末テストだ。俺の高校の倫理社会の教師である泉先生は定年間近の老紳士といった出で立ちで、奥深い人生論を語ってくれる先生

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聖夜の奇跡

聖夜の奇跡

前置きこの作品はFM言ノ葉で行われた企画、「第5回 きっとあなたの1400字」に投稿した作品になります。

なお、「主は、希望は、我の傍らにあり」の前日譚となる作品です。

本文クリスマスが近付くと、本当に憂鬱な気分になる。

恋人たちとイチャイチャしてる友人たちの何気ない会話。そんな僕は、ついさっきふられたばかりだ。片思いの女の子だったけど、他に好きな人がいるんだって。ああ、これで僕も、クリぼっ

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主は、希望は、我の傍らにあり

主は、希望は、我の傍らにあり

前置きこの記事は、言の葉の集い Advent Calendar 2022の12月24日に投稿した作品となります。

ちょっと重めの小説ですが、お読みいただければ幸いです。

本文僕らを乗せた飛行機は、雪の新千歳空港にたどり着いた。機体から降りると、冬の北海道のひんやりとした空気を肌に感じる。僕のふるさとである札幌まで、まだしばらくかかるだろう。

今年も降誕祭の日がやってきた。

……あの聖夜の奇

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我等復活の日を待ち望む

我等復活の日を待ち望む

夕方までは大嵐だった天気が、嘘のように静まりかえっていた。今日は、一週間遅れの復活大祭。我々はこの復活大祭をどんな祭りよりも盛大に祝うのだ。この復活大祭を祝う前にはどんな祭りも祝ってはいけないという習わしに則って、僕は電車に乗って聖堂を目指していた。

「夜の電車に乗るなんて久しぶりですね」

僕の天使、明日香がニコッと笑いながら微笑む。しかし、僕の表情は浮かなかった。昨晩僕が見た夢は、あの友人の

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ぜんぶ、雪のせいだ

ぜんぶ、雪のせいだ

前置きこの作品は、言の葉の集い Advent Calendar 2022の12月9日に投稿された記事です。

なお、この作品はVRChatの井の頭公園駅のワールド作者の過去作の山手線のワールドに行くと気付くことがあるかと思います。

本文

 カーテンを開けると、そこは銀世界だった。
 コロナ禍のこのご時世に珍しく、俺は出社しないといけない。だが、この雪ということは電車が確実に乱れているはずだ。と

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この世界をあなたに

この世界をあなたに

前置きVRChatで行われた、第3回VRメモフラワークショップというイベントを題材に執筆した作品となります。

本文 もう、紅葉も赤く色づく頃。
 いつも通っている学園から帰り、制服を脱いでいつもの黒衣に着替えて街を行く私。どこか、焦点の合わない目をしている私は、旅行代理店のパンフレットを眺めていた。私のいるところはここではないという思いが胸をよぎる。どこか、遠いところに旅立ちたい。どこかに、きっ

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壁を越えるのが、私の夢!

壁を越えるのが、私の夢!

前置きこの作品はFM言ノ葉の「第6回 きっとあなたの1400字」という企画に投稿した作品となります。

それと共に、第4回 VRメモフラワークショップにて、私自身をモチーフに書き上げた自伝的作品になります。

そして、『井の頭公園のエルフの物語』の記念すべき第1作になります。

本文 この私に、生きる価値はあるのだろうか。

 何度も失敗しては何度もリセットして、たどり着いたのはVRの世界。外見も

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人生の脇道で

人生の脇道で

前置きこの作品はFM言ノ葉の「第7回 きっとあなたの1400字」という企画に投稿した作品となります。

本文 カタカタと、ノートパソコンのキーボードの音が鳴り響く。井の頭公園の池のほとりにあるピッツェリアの前のベンチで、僕は小説を書いていた。締め切りが近いが、なかなか詰まっていたので困っていたところだった。このベンチに座っていると、なぜか筆が進むのだ。
 このベンチは、かの文豪、太宰治もよく来てい

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井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている

井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている

前置きある意味私を代表する作品かもしれません。

この作品が描かれた背景についてはこの記事をお読みいただけると助かります。

なお、2024年1月21日(日)のモノガタリ交流会にてこの作品を発表させていただきました。その際のスライドはこちらです。

本文 私の友人が、興味深い話を持ってきた。普通の少女のように見えるが、この井の頭公園の池の竜神の娘であり、エルフである私にとっては大家と言える存在であ

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『井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている』はなぜ生まれたのか?

『井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている』はなぜ生まれたのか?


井の頭公園の無頼派エルフ、るいざ・しゃーろっとです。今回は私の代表作である怪文書『井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている』はどうやって生まれたのか、そして『井の頭公園のエルフの物語』は何を目指しているのかについて書きたいと思います。

『井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている』とは?東京都三鷹市にある京王電鉄井の頭線の井の頭公園駅およびその周辺を舞台とする小説です。登場人

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Rusk's Sweet Love Revives in Inokashira Park

Rusk's Sweet Love Revives in Inokashira Park

CAUTION: This novel is a ChatGPT translation of my novel "井の頭公園のラスクちゃんはお砂糖とお塩でできている".

My friend brought an interesting story. Though she may seem like an ordinary girl, she is actually the Dragon God

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君の笑顔でも治らない病

君の笑顔でも治らない病

 ゴールデンウィークも過ぎてしばらく経った五月の日曜日、井の頭公園のラスクちゃんの話を書き上げた私はいつもの友人である竜神様といつもの居酒屋に向かっていた。竜神の娘は見た目は若そうに見えるが、今度はしっかり大人びた服装で現れている。
「お待たせっ。お、原稿、できたのかな?」
 この地の守護神であり大家である彼女の頼みとあっては、私も書かない訳にはいかないのだ。普段は筆の遅い私だが、その時は寝食を忘

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ブーケ、舞う

ブーケ、舞う

本文
 心地よい音楽と薫り高いコーヒー。極上の空間で、極上の時間を。
 私はエルフといえども公園の中に住んでいるわけではなく、井の頭公園駅の近くのアパートの一室を借りて住んでいるわけだが、来客が訪れてくるまでの間に隠れ家のような喫茶店で心静かに思いをめぐらしていたところなのだ。チーズケーキの最後の一口を味わうように食べる。これがまたコクがあっておいしいのだ。そしてコーヒーを口に運ぶと深めに炒られた

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こっちに、来るな

こっちに、来るな

本文 カーテンを開けると、輝かしい宝石が窓から飛び込んできた。朝の光だ。
 昨日の結婚式、私の手の中にブーケは飛び込んできた。その時私は幸せになってよいものかと苦悩していたが、その夜自宅に帰った私はカリンに後ろから抱きとめられたのだ。
 私は、人を愛せるのだろうか。私は、人を幸せにできるのだろうか。そう思っていると夜も眠れなかったのだ。そのせいか、未だに目は冴えないのだ。
 かぐわしい香りが鼻の奥

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