"A Walk in the woods"を読む時間

アパラチアン・トレイルについて書かれた本では、アメリカ国内においてとても有名な作品。中年のおじさんが二人でトレイルを歩くお話。原作より20年ほど経って映画化されたせいか、主役が高齢者ハイカーになっていた。最近は高齢者スルーハイカーも増えているのを見れば、ミドルエイジ・クライシスがそのまま、老後の問題に推移したようで興味深い。

翻訳版はさっさと絶版になってしまったらしい。高値の取引が続いている。翻訳版を図書館から借りて読んでは見たものの、歩いた人間にとって違和感を感じてしまい、少し残念。思わず、訳者の仙名先生にお手紙を書いてしまったくらいだ。だって、「歩いた人がいたら連絡ください」って書いてあったんだもの。

原作を最初に読んだのは2001年。まだメキシコに住んでいた頃。この本が出たのは98年だから、出てそれほど経っていなかった頃なんだね。ロサンゼルス空港でマスマーケット版を買った。出張の大荷物に紛れたりして、すぐにへたってしまい、サンフランシスコに移ってから、ソフトカバー版を買ったのを覚えている。

ハードカバー版はうつ伏せになって寝転がりながらよむのに最適だと気が付き、あらためて探したら日本の古本屋さんで見つけ、すぐに購入。寝る前にちょぼちょぼ読み始めたら、読んでいるはずなのに面白い。

以前、読んだときに比べて、歩いているのもあり、名称を目にするだけで情景が浮かぶ。わたしの抽斗が開けられてゆき、ナラティブに絡み合ってゆく。
トレイル自体の説明も、つかず離れず心はトレイルを彷徨っていて、組織周りに関しての基礎知識も付いている。

ページを来るたびにトレイルは立体的に浮かび上がり、時代は過去へと飛び回る。洋書を読むコツは、「知っているジャンルから」と言うけれど確かだ。
 

それと関東の大雪も場所づくりにちょうどよい。本を読むのにベストな空気感や場所がある。だから本を持ち歩く。飛行機の待ち時間、電車のなか。雨のおかげで停滞と決めこんだテントの中。
ぽっかり空いた時間は好きだ。すっと本が読める。

今日は雪で帰れなくなってしまい、東京にいる。ちょうどよい洋書時間。ラッキーだ。