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【六代目時蔵襲名記念写真集発売記念】トークイベント・サイン会 2024/05/08

※役者さんが呼び捨てだったりさん付けだったり、人によって違いますが、それは区別をしているわけじゃなくて、普段から何故かそうなってるだけで、他意はありません。同じ人でもいろんな呼び方する時があります。みんな大好きです。

あまりにプライスレスで素敵な時間だったのと、素敵なお話がたくさんあったので、自分の覚書として、noteに残すことにしました。
SNSに収まる文字数でもないので・・・

注意点としては、ここに記載している体裁はあくまで、こういう内容をお話してくださった、という”記録”であって、お話くださった皆さまの、語尾だったり、口調だったり、お人柄をそのまま再現できたものではない、ということです。
また、お話の順番も前後してます。悪しからず。


イベント開始前

受付で予約した名前を伝えた後、サインをしていただく時に書いて欲しい名前のメモ用に、とペンとメモ用紙を渡されました。
いえね、サイン会、といえど、お忙しいでしょ?だから、もう写真集にサインがされたものが用意されていて、それを手渡ししてくださる、くらいかな、と思い込んでたんです。
そしたらまさかの本当にサイン会でした・・・しかも名前を書いてくださる!?この時点で、少々パニックでした😅
みなさん、静かに行儀良くお席に座って待っておられ、とはいえ、推しを待つ静かな興奮のある雰囲気でした。

入り口にあったパネル

梅枝さまご登場

一気に華やぐ会場w
トークイベントのお話が出た時、『40人?いやいや、そんなに集まらないでしょう、って言ってたんですよ』と梅枝さま。
ご謙遜を・・・

司会の佐藤さんからも、いやいや、とあり、歌舞伎のお客様は、時間に遅れることがない、しっかり時間より前に集まっていただき、こうして待っていてくださっている、と、客褒めいただき、会場みんなニコニコ。笑

改めて、襲名に至った経緯を

記者会見などでもお話くださっていることなので、ざっくりと。
博多座の公演中に、現時蔵のお父上から打診を受けたこと、ずっと断り続けていたこと、断り続けていてしばらくお父上に会いたくなくて避けていたこと(笑)、その中でFFⅩで獅童さんとご一緒する中で、長くお話できる時間があり、その時に獅童さんが獅童さんのお子さんたちとも一緒に襲名公演したい、という思いの話だったり、獅童さんからお父上のお気持ちの話だったりを聞き、それで受ける方へ、梅枝さまのお気持ちも変わっていき、会社(松竹)にもお話され、背中を押していただいて、それでこの運びになった、とのこと。

ここでFFⅩのワードが出てくると思ってなくて、公演を思い返して勝手に胸熱になりました。アーロンとルールーがそんな話を・・・😭

佐藤さん『ご挨拶回りとか、大変だったんじゃないですか?』
梅枝さま『そうですね・・・ただ4月お休みをいただいていて、それでご挨拶周りはできました。獅童さんのところとご一緒に、紋付袴で回るんですが、子どもたちがいたことで本当に和みましたね。助かりました。けど、袴だとトイレに行けないんですよね。子どもたちもいるので、長時間のご挨拶周りはできないから、少しずつ周って1ヶ月かかりましたけど、そんなに大変ではなかったです。むしろ、母や妻の方が大変だったと思います。』
流れを忘れちゃったんですが、記者会見でも、獅童さんのところのお子さんはヤンチャでしたね、みたいな話から、
『ね。獅童さんのところに比べたら、うちの子は・・・笑』

はるきくんもなつきくんも、元気いっぱいだもんね〜😂

歌舞伎役者にとって写真集を出すことは

歌舞伎役者の方が写真集を出す、というのは、通常は、例えば六代目が「五代目はこんなに素晴らしかったんです」ということを伝えるためにお出しになるそう。
なので自分で自分の写真集をお出しになることは、慣習としてなかなかないみたいです、佐藤さんの解説によると。
とはいえ、今回梅枝さまが写真集をお出しになった理由は、襲名というターニングポイントもありましたが、『小川さんの写真を世に出してあげたい』という想いがあったから、とのこと。
菊之助さんが写真集をお出しになった時(2019年のようです)も、同じことを仰っていたそう。自分がどう、とかいうよりも、撮ってくださった方の写真を世に出したい、その想いって・・・素敵ですね。

玉三郎さまは、写真集をたくさんお出しになっているけれど、あれは自分たち役者にとっても本当にありがたい、とのこと。
役者さんにとっては資料写真として、大変参考になるから、だそう。
そして、今回写真集を出すにあたって、本当に大変で、こんなに大変なのか、と思った、と。
まず表紙の色、<歌六茶>という、萬屋のお家の色、だそうですが、この色にすると決め、さらに紋の位置や大きさをどうするか、背表紙の文字の色はどうするか、そして写真を選ぶこと自体も、本当に大変だった、とのこと。
なので、写真集をたくさん出されている玉様は、改めて本当にすごい、と。
司会の佐藤さんからは、きっとこの梅枝さんの写真集も、今後後輩たちには資料として使われる写真集になるでしょう、とコメント。

その歌六茶の表紙はこちら。
おそらく、家の照明の関係で、正確な歌六茶ではない、と思います・・・

歌六茶、というお家の色の解説は、米吉先生がブログにしたためてくださっておりましたので、ぜひそちらもご覧ください。

記録写真として

このあたりで、後ろに座っておられた、小川知子さんが、司会の佐藤さんに呼ばれる形でご登場!
まさか撮影者ご本人もお話をしてくださるとは思っておらず、会場からも歓声が。
小川さんによれば、小川さんが撮られているお写真は、”記録写真”であって、ブロマイド(いつも我々が購入している舞台写真)とは、異なる目的で撮影されているもの。
小川さんが写真を撮ることになった時に、先輩から言われたのは「記録写真は、正しくないといけない」ということだそう。
ブロマイドは、お芝居のいいところだったり、綺麗な形だったり、見せ場だったり、役者の一番美しい瞬間だったり、そういうことを目的として撮影している。
記録写真は、記録、資料なので、正しさが第一に求められる。
新人の頃、ある歌舞伎役者の方に言われたこと、「女形はね、みんな紅の色が違うのよ。それぞれ自分で紅を作ってるから、当然色が違うの。その紅の色が出せない場合は、モノクロにしてね」
すごいこだわり・・・!!!でもだからこその歌舞伎役者!!!

この時、私の脳内では、(あんな、白って200色あんねん)という囁きが聞こえたような気がする。

多分、順番が前後しているけど、阿古屋の写真がスクリーンに投影されている時に、梅枝さまが、『この青の色、違うよね?』と仰った。
それを受けて小川さん、『ちょうど阿古屋をされている最中に、カメラを替えたんです。CanonからSONYに。そしたら青の色が全然変わったんです!同じにしようかとも思ったけど、それもその時を切り取っているということで、あえて全く同じに揃えることはしませんでした。昔から比べても、照明の色味や進化などで、実際に見えている色は全然変わってきます。紫って大事な色ですが、赤紫にもなれば青紫にもなってしまう。撮影をする時は、必ずカメラから目を外して、実物の色を確認して、それを覚えて撮影する。そういう必要があります。』とのこと。(このあたりはかなりニュアンス・意訳です、すみません)
梅枝さま『それを聞いて安心した、というか、やっぱり写真集そのものの色ではないんですね』(ご自分の写真を見ながら、また資料としてご覧になっている写真の数々を思い起こしながら、仰っていた感じ)

うーん、めっちゃいい話!!個人的には、小川さんのお話の中で、すごく刺さった部分でした。

様々な役者を撮影する中での、梅枝さまは?

司会の佐藤さんから、小川さんへの質問で、『数々の役者さんの記録写真を撮られる中で、カメラ越しの梅枝さんは、どうですか?』
小川さん『まず、正しい。正しいの上に美しさがあります。また、同じお役の1回目は正しい、という感じなのですが、3回目になってくると、正しさの上に、さらに梅枝さんの美しさ、正しさの上に乗っかってくる情感というか溢れてくるものが出てきます。この典侍の局なんて、本当に素晴らしい。正しさの上に、こう、溢れるものがある感じがしませんか?この墨染は2回目ですね。同じお役の写真でも、1回目の時のものと、2回目の時のものが混ざってるものもあります。その違いも感じていただけたら』

一番気に入っている写真、思い出の写真はどれですか?

佐藤さんから、梅枝さまへの質問。
『(本朝廿四孝の)人形遣い、ですね。子役から、役がない時期(子役には大きすぎて、大人の役には子供すぎる時期)をすぎて、久しぶりに舞台に出させていただくようになった18歳の時のお役です。この狐を遣うのに、父が                                                                                                   文楽の吉田玉男先生(先代の、と仰っていた)に、教えてやって欲しい、とお願いしてくださって、それでご指導いただきました。先生の遣う人形は本当に生きているようで、今も印象に残っています。』との回答。
『でも本当は、この写真、入れるのやめようと思ってたんです。だって全然舞台に出ていなかったから、今見てもお化粧も下手くそだし・・・』
小川さん『私が入れたいって言ったんです。(小川さんも吉田玉男先生と繋がりがあったお話があったはずですが、詳細は忘れました><)この写真を入れることで、玉男先生のことも残すこともできる気がして。』

気に入っているのは、墨染の写真。お役としてもお好きなお役だそう。
梅枝さま『写真の順番をどうしよう、として、阿古屋を最初に持ってくるのもありましたが、阿古屋は当時も、散々取り上げていただきましたし、たくさん写真も出回っているので、じゃあ2番目にして、この墨染を1番に、となりました。』

寄稿をしてくださった方々

実際の寄稿の内容も一部読み上げながら、ご紹介がありました。ここでは流石にダメな気がするので、やめておきます。
今回、寄稿は梅枝さまからお願いされたそうですが、とにかく『簡単に褒めてくれない方』を選ばれたそうです。笑
梅枝さまご自身、自分で自分にOKを出されることが少ない方だと思いますが、ここで時蔵を襲名するからって褒めることなく、厳しいことを言ってくれる人、を選んだそうです。

ストイック・・・そういうところがまた・・・好き・・・

しかし、寄稿をお寄せになった方々、お稽古はもちろん厳しいのだと思うし、芸に向き合う姿勢も、きっとご本人も相当ストイックな方々なんだろう、と思うのですが、まぁ、褒めてます。えらい褒められてます。
だけど、そういう方々のお褒めからは、「でもまだこんなものじゃないでしょ?まだまだもっとやれるでしょ?」という、これからへの期待もすごくすごく感じられて、そしてきっとそれに応えていくであろう梅枝さまを思うと、それらの有り様が大変美しく尊いものに感じられて、神様ありがとうございます、と泣き伏す気持ちになりました。(ただのオタク)
寄稿をお寄せくださった方の中では、『藤間勘祖先生が、僕のことを一番よく見てくれているなぁ、と感じる』とのことでした。

佐藤さん、小川さんに挟まれながら、寄稿文の褒め褒めにあい、間にいる梅枝さまは、すごく居心地悪そうでした🤣

質問タイム

◾️萬屋錦之介さんとの、思い出を教えてください。

→『優しい人でした。とにかく優しかったことを覚えてますね。あと、幡随長兵衛の長松で初舞台をさせていただき、錦之介の伯父が長兵衛で、最後に長松を抱きしめるところがあるんですが、その時の匂い、タバコの匂いですが、それは今でも覚えてます。』

◾️今後は、どのようにお呼びすれば・・・?

→『そうなんですよ、困ってるんです・・・「ばいちゃん」って一番最初に呼んだのは松也さんで、僕、ばいちゃんって結構気に入ってるんですよ。でもばいちゃんじゃなくなるので・・・どうしましょうねぇ?』
佐藤さん『とっきー、とか?ときちゃん?』
『いや、でも絶対このあたり(手を頭の斜め上あたりにやって)に(父が)ちらつくじゃないですか。後輩たちとか呼びづらいと思うんですよね・・・なので・・・募集中です。それで歌舞伎座に届けてください(笑)』
佐藤さん『じゃあどなたか集計していただいて・・・歌舞伎座に届けてくださいw』
(SNSをなさってないので、梅枝さんに何かお伝えしたい時は、全て歌舞伎座宛に届けてください、とのことw)

◾️7月より後のご予定は・・・?言える範囲で構わないので、できればご予定を・・・11月の京都の顔見世は、12月に鬼のがあるから、難しいですか?

→鬼の、を受けて、すぐに『朧ね』と仰ってました😆
『予定は・・・わからないんです。7月までは決まってますが、その後は僕もまだわからないんです。朧は、襲名するって決まる前から、出演が決まってたんです。』
『襲名が決まった後(公表された後)で、初めて幸四郎さんにお会いした時に、幸四郎さんが「12月の(朧の森に棲む鬼)さぁ、結構泣いたり怒ったりしなきゃいけないんだけど、大丈夫かなぁ?」って仰って、何を言ってるのかな、どういうことかな、って考えて、あ、梅枝の名前で発表してるから、梅枝を襲名する大晴が出るって冗談を仰ってるんだ!って思って、「いや、僕が出ますから!ちゃんとチラシの名前も時蔵に変わりますから!w」って言ったんですけど、それでも「大丈夫かなぁ〜?」って言ってましたね(苦笑)』
佐藤さん『さすが・・・ぶっ飛んでますねw』

幸四郎さん、ぶっ飛んでる、が関係者内のデフォルト😂

撮影タイム&サイン会

私の位置、オンライン用のカメラがガッツリ写り込む位置だったので😭
しかし、バッチリ目線をくださっている写真があったので、UPしておきます。会場の雰囲気は伝わると思いますw
邪魔のない、綺麗ないいお写真は、X(Twitter)にUPしてくださっている方々がおられましたので、探してみてください!

この美しいなで肩・・・
首から肩にかけてのラインが、芸術品です。

スクリーンに映っている葛の葉、障子に書く文字で、一番練習したのは、冒頭の<恋>だそうです。
これが後に続く全てのバランスを決める、のだそうで、この文字だけは楽屋でもずっと練習されていたそう。
私も観にいきましたが、このシーンもすごく良かったですね。
ちなみに、鏡文字になるところや、最後口で書くところは決まっているけど、「尋ね来てみよ」の”尋ね”をひらがなで書かれる方もいるそうで、そういうあたりは決まってないそうです。
この葛の葉をされた、今年の初台の新国立劇場でのお写真までの中で、今回の写真集は作られているそうです。

佐藤さん『あと5秒です。5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・はい終了です!』
連写を止め、ちゃんとスマホをしまうオタクたち。
梅枝さま『すごい・・・!本当にいいお客様ですね!時間です!ってなったら、みなさん、一斉にちゃんと撮影やめて・・・すごい』
佐藤さん『ですよね!歌舞伎のお客様は、本当にみなさんちゃんとしてらっしゃるんです』

推しの前ではお行儀良くするもんです←

撮影タイムの後は、サイン会!
前の列の方から順々に、サインしていただく場所を開いた状態で、スタッフさんから写真集を受け取り、それを梅枝さまにお渡しして、書いて欲しい名前のメモも合わせてお渡しして、梅枝さまが書いてくださっているのを、目の前で見つめる・・・という奇跡のような時間!!!

書いていただいている間は、梅枝さまと1対1で、少しだけお話できて、みなさんそれぞれに至福の時間を過ごされていました☺️

佐藤さん『途中からご案内忘れていましたが、みなさん自主的にスムーズに前に来ていただいて、ありがとうございます!こんなにスムーズに時間通りに終わりました!』とのことw
19:00にスタートして、ほぼピッタリ21:00終了!
すごく充実した内容の、あっという間の2時間でした!!
梅枝さま、小川さん、お話ありがとうございました!mm
佐藤さん、スタッフの皆さま、企画してくださって、ありがとうございました!mm

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