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ある地名の風景

妙正寺川にたなびく-中井     nakai

練馬に用事があり、その帰りに大江戸線の中井で途中下車。
こんな風景に出会いました。

とはいっても、「染の小道」なる年に一度のイベントです。

新宿区の中井、落合のあたりは
江戸時代の手描き友禅や小紋などの技術が今でも息づき、
戦後は京都や金沢と並ぶ染物の産地だったそうです。

そうした歴史を絶やすまいと街をギャラリーに見立て、
2月23日から三日間、さまざまな催しが開かれていました。

街を流れる妙正寺川は神田川の支流で、
杉並区の妙正寺の池が水源なのでこの名があります。

そして高田馬場駅の西側で神田川に合流、
川が落ち合うのでこのあたりを”落合”と呼ぶわけです。

それにしても、川で染物を洗う風景が
かつて都内にもあったなんて
今では知る人も少ないと思います。

偶然とはいえ、散歩して出会う風景も一期一会ですね。

ところで”中井”という地名ですが、
江戸時代から中井村だと思いきや・・
どうもそんな村は存在しなかったようなんです。

しかし、18世紀末の「高田雲雀」という資料には
「上落合村と下落合村の中間を中井と言う・・」
という記述があるそうです。

ということは通称地名だったのかもしれません。

いつごろ生まれた地名かわかりませんが、
当時すでにあった通称の地名が
現代に生き残っているとすればちょっと驚きです。

伝説に”中”は上落合、下落合のあいだのこと、
”井”は北側の台地の下に多かった井戸のこと・・
というのがあります。

私はたんに「あいだにある地域」くらいの意味かなと思いますが。
とはいっても、どちらかの村には入っていたはず。

昔の農家では、爐(ろ)があり、
日常の食事をする土間に面した居間を”ナカイ”と言うそうです。
ひょっとしたらこれと同じ意味があるかもしれませんね。

(新宿区中井)

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