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焼酎の魅力に気づき、大きな可能性を感じて起業した SHOCHU X 橋本啓亮×糀屋総一朗対談1

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ローカルツーリズムマガジンでは、様々な業界で新しい取り組みや挑戦を行っている人たちを紹介する連載「変革者たち」を始めます。代表の糀屋総一朗との対談を通して、彼らの取り組み、思いを掘り下げていきます。初回は焼酎の新しい形を提案するSHOCHU X株式会社の橋本啓亮さん(24)との対談を3回連続でお届けします。

飲んでみたら「おっさんのお酒」のイメージが変わった

糀屋総一朗(以下、糀屋):まず、簡単にご経歴から伺いたいんですが、そもそも橋本さんは、ご実家がお酒と関係があったりするんですか。

橋本啓亮(以下、橋本):僕は千葉県出身で、酒屋とか酒蔵の息子というわけではまったくなく、酒業界とは縁もゆかりもなく育ちました。大学に入って20歳になったばかりの頃、「大学に近くて給料も高い」というだけの理由で居酒屋でバイトをすることにしたんですが、そこがたまたまいろいろな種類の焼酎を取り扱っているお店だったんです。

糀屋:橋本さんにとって、焼酎のイメージというのはどういう感じだったんですか。

橋本:ぶっちゃけて言うと、「おっさんのお酒」というイメージがありました。でもすすめられて飲んでみたら、当たり前ですけど種類ごとに味も香りも違うし、おいしいし、衝撃的でした。「めちゃくちゃ面白いじゃん!」って思って、店にある焼酎を飲んで味の違いを学んだり、他のお酒にも興味を持つようになりました。とにかく一気にハマりましたね。

糀屋:偶然だけどいい出会いだったんですね。

さまざまなお酒がずらりと並んだ橋本さんのオフィス

橋本:そうなんです。それで2018年ぐらい、自分が大学3年生のときに、たまたまニュースで「日本酒が海外で大人気!」と目にしたんです。それで調べて、「日本酒ベンチャー」といわれる会社が出てきているんだなと知りました。面白いことをやっているなと思ったんですけど、「あれ、焼酎でこういうことをやっている会社ってないのかな」と思って探したら、まだほとんどなかったんです。焼酎の面白さ、可能性にまだみんな気づいてないのかな。自分でもやってみたいなと思っていろいろ情報収集しました。

日本酒に比べて遅れを取っている焼酎

橋本:調べていく中で、少しですが焼酎を海外輸出している会社を見つけて、ホームページもかっこよかったし「話聞かせてください!」って訪ねていきました。そこで仲良くなって、やっぱり面白そうだ! と思って「働かせてください!」ってインターンみたいな形で働かせてもらいました。海外輸出の手続きや、海外での催事などにも同行させてもらったりして、すごくエキサイティングな経験ができました。

でも、やっぱりまだ焼酎は海外輸出の規模は小さいんですよ。日本酒と比べてどれぐらい違うかわかりますか?

糀屋:3分の1ぐらいですかね?

橋本:いや、もっと全然少ないです。2020年の国税庁の統計では、日本酒が240億円なのに対して、焼酎はわずか12億円で、20分の1ぐらい違うんです。結局、海外の日本食料理屋で、現地の日本人駐在員が飲んでいるレベルにとどまっているんです。でも催事などで現地の人に飲んでもらうと、「美味しい!」と感動してもらうことがほとんどで、めっちゃ可能性はあるなって思ったんです。

日本酒と焼酎の取扱量には大きな開きがある

糀屋:そもそもなんでそんなに少量しか輸出されていないんでしょうか。

橋本:大きい理由としては2つあって、1つはアルコール度数、もう1つはデザインを含めたブランディングだと思います。

日本の焼酎の度数は基本的に25度ですが、蒸留酒で25度というのは世界中を見ても焼酎ぐらいなんです。ウイスキーとかは40度以上が基本ですが、ジンやウォッカなんかももっと度数が高いですよね。だから中途半端な度数で、「どうやって飲めばいいの?」と思われているんだと思います。そこをまず世界の基準に持っていかないといけないと考えています。

2つ目はやっぱり、焼酎独特のデザインですね。独特といっても日本人には見慣れた一升瓶、四合瓶に漢字のラベルが貼ってあるやつですけど……美味しいけど、このデザインではバーに置けないと思うんですよ。

糀屋:でも日本好きな人とかにはありなんじゃないですか?

橋本:いや、ウイスキーとかジンがずらっと並んでいるバーに、例えば中国酒とかも置いてないじゃないですか。世界観が崩れちゃうから。それと同じだと思います。

SHOCHU Xは従来の焼酎のデザインとは一線を画している

酒造免許、歴史に縛られる……業界の問題点

糀屋:たしかに、世界的に見ると凝ったガラスの瓶とか、美しいデザインのラベルのお酒が多いですよね。バーにそれがズラッと並んでいる中で、茶色や緑の四合瓶はそぐわないのかもしれないですね。

橋本:そうなんです。インターンをしていく上ですごくそれを痛感して、「じゃあ、自分が世界的に通用する焼酎を作りたい」と思うようになりました。とはいえ、現状の日本だと、新しく酒造免許を取ることができないんです。

糀屋:許可がおりないということですか?

橋本:そうです。既存の老舗企業のみが免許を持っていて、特に日本酒(酒税法上の清酒)は60年以上新規参入ができない状況が続いています。「その他醸造酒」という免許は取得可能なので、日本酒にフルーツを入れたりして、純粋な「日本酒」としてではなく販売するなど工夫している会社さんも最近はけっこう出てきています。リブロムさんは若い人にも人気があると思います。

糀屋:パッケージも今っぽいですよね。

橋本:そうなんです。話を戻すと、新規参入ができないという業界的な問題もあるし、老舗企業は「歴史があるから新しいことができない」という状況に陥っているなとも感じました。

糀屋:というと?

橋本:そもそも今売っている焼酎や日本酒には固定のファンがいて、ずっとそれを買ってくれているお客さんもいる。新しいことをしてそのお客さんを失うのが怖いから、チャレンジをしていけないということも少なからずあると思っています。

糀屋:たしかに売れている状態では、無理に変えなくてもいいなと考えるでしょうね。

橋本さんの行動力、尊敬します

橋本:だから自分のように、ゼロで何もないという利点を活かして、スタートアップ的に焼酎のことに関わっていけたらいいなと思って、2020年の4月に「SHOCHU X」を会社として立ち上げました。

糀屋就職活動などはせずに、いきなり会社を設立という流れなんですね。

橋本:はい。設立は卒業後ですが、ほぼ在学中に考えが固まったような感じだったので。

糀屋:親御さんは反対されなかったですか。

橋本:もちろん反対されました(笑)。でも最終的にはわかってくれて、会社設立の資金も親に借りて立ち上げられました。

糀屋:熱意が伝わったんですね。

橋本:今は応援してくれています。

(取材・構成・撮影 藤井みさ)

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