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岸田総理も出生率のマジックに騙されている?〜9月4日から9月17日のVoicy

ローカルツーリズム株式会社代表・地域事業家の糀屋総一朗がVoicyで配信中の番組「ローカルエリートは棍棒を振りかぶる」。曜日は不定期ですが朝7時に更新しています。今回は、先日お話しした出生率のマジックについて、さらに深くお話ししてみました。

1.顧客視点のないコンサルタントは来ないでください!

僕は福岡県宗像市の大島で宿泊施設を運営しています。宿泊施設のコンサルタントをやっている人…という方にお願いしたことがあったのですが、「本当に宿泊施設をやったことがありますか?」というものでした。

例を1つあげると「スマートロックでキーを開けられるアプリを導入したらどうか?」と言われたのですが、まずトラブルが起きた時にかなり面倒なことになり、さらに言うとまずお客様にそのアプリを事前にインストールしておいてもらわないといけません。だったら鍵を渡す方が面倒がないし、手っ取り早い。アプリを挟むことがお客様の視点から見て本当に妥当なのかな?と疑問でした。

アプリを使うと照明のオンオフ、カーテンの開閉もできる、連絡もできる…というのですが、単にスイッチを使えばよくない?LINEビジネスでよくない?と思ってしまいました。「これがDXです」とも言われたのですが、僕は全くピンとこなかった。メーカーさんの勝手な思い込みで作ったものなのではないかなと感じました。

宿の運営側として、お客様が望みそうなものをすべて揃えておくのは、果たしていいことなのか?と考えることもあります。もちろん必要最低限のものを揃えてストレスなくしておくことは重要です。ですが例えば「あえて不便な状況を作っておき、運営側とのコミュニケーションが発生する」ことで、お客様として印象に残るということもあり得ます。

宿を運営していて思うのは、決してDXでスマートにすることばかりが正解じゃない。何でもかんでも揃っていることがいいことだとは思わない…と考えています。

2.出生率上昇は「奇跡」でもなんでもない

今回は出生率が2.95ということで話題になった、岡山県と鳥取県の間にある奈義町に関する記事をベースにお話してみました。先日、僕のVoicyでも出生率のマジックについてお話しました。

「奇跡の街」としていろんなメディアに取り上げられ、岸田総理も奈義町を訪れています。「施策の拡充だけではなく地域全体のサポートが重要」と伸びています。

しかし結論から言うと、出生率は伸びていますが、出生数はほぼ変わっておらず、人口全体は減少しています。

出生率とは、合計特殊出生率のことを指し、分母は15歳から49歳までの女性。各世代の年代ごとの出生数を足し合わせた数が出生率となります。分母の数が大きくなれば出生率は下がり、分母の数が少なくなれば出生率は跳ね上がります。

現状では未婚の若い女性が地方から東京へと流出しています。すなわち、地方の分母はどんどん小さくなり、出生率は上がります。東京では逆のことが起こっています。

人口の動きがあまりない場合ですと出生率は参考になりますが、女性の動きが多い日本では出生率だけをみているとミスリーディングされてしまいます。奈義町が少子化対策の成功例のように捉えられ、祭り上げられているのは本当に良くない。岸田総理もどこまで理解しているのか疑問に感じます。

奈義町自身もこの状況を知ってか知らずか、「奇跡」と言われることを放置しています。しかしこの誤った認識を放置しておくと「地方の方が東京より出生率が高いから、人を都市部から地方に移動させよう」といった誤った政策が生まれてきてしまいます。皆さんにもこの問題について知っていただきたいと問題提起させていただきました。皆さんはどうお考えでしょうか?

3.「移住したくても家がない」問題を解決するアイディアとは?

田舎に行くと空き家がたくさんありますが、いろんな理由で貸してくれないことが多いです。僕の活動している福岡県宗像市の大島でも、人口は580人程度、世帯数は200ほどですが、空き家は70戸ほどあります。

しかし、借りたり買おうとすると「仏壇があるから無理」「夏に親戚が戻ってくるから無理」といった理由で難しい。空き家があったとしてもお風呂やトイレなどが現代的で使えないとなると、余ってしまいます。

これはUターンなどで戻ってきたいと思っても、住むところがまったくないという問題を引き起こしています。移住したいと思っても、住む家がないから移住できない。これは本当にもったいないことだと思います。

これを解決するために1つ考えているのは、民宿の転用です。田舎の民宿は継承者がおらず、おじいさんやおばあさんが1人で運営している、というものも多々あります。3階、4階建てでも3階より上は使われていない…ということもザラです。

この使われていない部屋を転用して、現代的な感覚でリノベーションして、お試し移住のようにして利用できればいいのでは?と考えています。貸す側としても安定して売り上げが入ってくることがメリットに。借りる側としても水回りのリノベーションなどをしないで済む分、コストを抑えられます。

民宿をかつての使い方から、現代にフィットするように転用することで、エリアの雰囲気を知ってみたいという人たちとうまくマッチングできるのではないか、もしかすると人手不足の解消にもつながるのではと思います。

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今回はこのほか、「地方の男尊女卑思想家に遭遇したらどうする?」についてお話ししました。空き家問題については、僕も大島でしっかり取り組んでいきたいと思っています。同じ問題に取り組んでいる方がいたらぜひお話もしたいですね。

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