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アトランタ・キャベッジタウンがアート・フレンドリーな地域になった経緯

case | 事例

アトランタ市のストリート・アート特徴地区であるキャベッジタウンは、キャベツを積んだトラックが横転した時に住民たちがキャベツを手に入れ、キャベツを焼く匂いが数週間にわたって地域に広がったことが名称の由来となった言い伝えがある。南北戦争後にユダヤ人移民が綿花製品工場を開業し、工場就業者の住宅が多く建てられ、現在では高級住宅街になっている地区でもある。

キャベッジタウンはアトランタ有数のストリートアート鑑賞地区となっているが、もともとは鉄道会社CSXの長い壁への落書きから始まった。2010年に、CSXの壁への落書きが駐車車両や教会にまで広がったとき、近隣住民がNPO Living Wallを招き壁画を描いてもらい、2012年にはベニア板のパネルを設置して行うペインティング・パーティーをアトランタのアーティストが主催して行われた。この壁画イベントForward Warriorは2014年に恒例化され、固定的な壁面も与えられた。イベントには実績のある壁画家とこれからの活躍が期待される新進の壁画家の双方が参加している。

現在CSXが所有するトンネル通路は、ほぼ毎日塗り替えられる初心者や観光客がアートに挑戦する場所となっていたり、トンネルの向かいにある建物の壁と屋外パティオを囲むフェンスがアート作品で覆われていたり、地域コミュニティがアーティストを支援して作成される作品があったり、隣接する歴史的建造物に年に3回異なるアーティストによって塗り替えられたり、複数の壁画公園が点在したりしているなど、活発なアート活動が常時行われている。

insight | 知見

  • Googleストリートビューで記事にあるトンネル通路を見ると確かに圧巻のミューラルアートで、エリア周辺も壁という壁がペイントされています。

  • 落書きのままで終わらせずに活かすためには、記事にあるように実績あるアーティストの関与と作品の定期的な更新、恒例イベント化、壁面の開放などの手法がありそうですが、いずれにせよ地域住民が積極的に関わっていることが前提にありそうです。

  • 福岡都心では工事現場の仮囲いに壁面アート作品が展示されていますが、工事後にはなくなってしまうので、恒久的にアート活動ができる壁面や公園を市内の特定地域に地域住民と一緒に作っていくのも面白いかもしれません。