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NYで開発されたBID向けの「the New York Places Data Hub」

case|事例

NYのBIDや中小企業の支援を目的に民間3社が共同でデータハブシステムを開発した。開発を行ったのは、都市イノベーションや気候変動に関する幅広いプログラムを提供するCiv:Labと都市のデータ分析のスペシャリストであるUrbanLogic、データプラットフォームの構築を行うGingkoの3社で、開発にはニューヨーク市の中小企業サービス(Small Business Servive)からの補助を受けている。開発されたデータハブによって、BIDや中小企業は重要なデータへのアクセスがしやすくなり、コミュニティのニーズを理解しながらより効果的なサービスの提供が可能になると期待されている。

ウェストビレッジのBIDは、このデータハブに対して、「時間がかかる割にデータの質が高くないというこれまで抱えていた課題が解消され、シームレスなアクセスによってBIDで起こっていることの把握が容易になる。」とコメントしている。

また開発を担ったUrban LogicのCEOは、「現在では大小問わずすべてのビジネスでデータが必要となる。このデータハブは単にテクノロジーを提供するだけではなく、データ分析から得られる洞察と事業から得られる成果とのギャップを埋める。」と話している。

今回のデータハブでBIDや中小企業ができるようになったことは大きく3つある。

  • 経済成長の促進:リアルタイムの店頭の状況や空室の状況などの分析や主要関係者のマッピングなどによって地区の特徴に応じたテイラーメイドのサービスが提供可能となる。

  • 生活の質や安全性の向上:NYC311のモニタリングから問題の発生状況や犯罪統計を管理し安全を高めるための効果的な戦略立案が可能となる。

  • 雇用のレジリエンスの向上:イベントや消費パタンの理解を促し、雇用や事業を拡大するための直接的にサポートする戦略が立案可能となる。

insight|知見

  • 先日、商業やオフィスのリーシングにどのようなデータを用いているのかをヒアリングする機会がありました。商業とオフィスはリーシングの商習慣が異なるので必要とされるタイミングやデータの種類は全く異なりましたが、どちらも想像以上にデータを活用していてケースによってテイラーメイドな分析を行っていることに驚きました。

  • 一方で、上流のスマートシティやデータ駆動型都市計画などで議論にされているデータ分析よりも質の高いデータ分析をすでに行っている印象を受けました。

  • 記事にあるようなデータハブはBIDやエリマネに使われてこそ価値があるものだと思います。現在のデータ活用の実態に沿って、現状の課題を改善する形ではないと、なかなか理念が実践を追い越せないのではないかなと思います。