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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最… もっと読む
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記事一覧

ヴェネチアはオーバーツーリズム対策として団体旅行の人数を制限

case|事例 ヴェネチアは、深刻なオーバーツーリズムの問題に対して、今後ツアーガイドなどの拡声器の使用を禁止すると共に団体旅行の人数を25人までに制限することを決めた。 ヴェネチアは、歴史的な運河に囲まれた景観が有名で、ヨーロッパで最も人気のある観光地のひとつであるが、その一方で、オーバーツーリズム問題が差し迫った課題となっている。2019年には、住民25万人の街に年間1,300万人の観光客が訪れ、日々の生活が脅かされるとしてヴェネチアから引っ越す住民が後を絶たない。現

メルボルン市サザンクロス駅の緑化プロジェクト

case|事例 メルボルン市が予算措置を決定したため、ビクトリア州運輸局はサザンクロス駅の緑化を進める。サザンクロス駅の緑化プロジェクトでは、駅の冷却や大気汚染の改善、生物多様性の確保、経済活性化、健康・ウェルビーイングの改善を目的に、グランドレベルの植樹やオープンスペースの整備が行われる予定。このプロジェクトは、Urban Forest Fundによる第5弾の緑化プロジェクトのひとつで、50万豪ドル(約5,200万円)の資金が提供される。この他にメルボルンスカイファームの

ブリュッセルの新しい持続可能な開発計画

case | 事例 ブリュッセル市は2004年に策定された従来の持続可能な開発計画を更新し、新たな持続可能な開発計画(Municipal Plan for Sustainable Development - BXL 2050)を採択した。新しい計画は2050年までに同市が直面する現代的かつ将来的な都市課題に対処することを目指すものである。 同計画の特徴の一つは、「10分都市」のコンセプトを定着させ、すべてのブリュッセル市民が10分以内で必要な都市サービスにアクセスできるよ

トロント市が交通問題の解決に向け新技術の実証アイディアを募集

case|事例 トロント市とオンタリオ州車両イノベーションネットワーク(OVin:Omtario Vehicle Innovation Network)は、交通問題の解決に資する都市のモビリティ技術のアイディア募集を開始した。採択された中小企業には、最大で10万カナダドル(約1,100万円)の支援が行われる。今回の実証は、実地での技術検証を目的にしており、5Gワイヤレス接続やAIを含む最先端コンピューター技術などを用いたソリューションを想定している。 トロント市とOVin

ダブリンのドローン及び都市エアモビリティ戦略

case | 事例 ダブリン市は同市初の「ドローン及び都市エアモビリティ戦略2024-2029」を発表した。この戦略は、ドローンの将来的な可能性を理解し、公共サービスを向上させるために市がドローン技術を活用するための変革を進めることを目的にしている。 ドローンは、都市のサービスの効率化、コスト削減、業務の合理化の助けになり、地図の作製、危険な建築物の検査、緊急対応、調査や環境モニタリングなどの都市空間の監視と管理をはじめ、市の様々なサービスに今後も活用される方向にある。

数千人のパリ市民がシャンゼリゼ通りでピクニックを楽しむ

case|事例 パリのシャンゼリゼ通りが一時的にピクニック会場へと変貌した。通りには赤と白のチェック柄の216mのピクニックブランケットが敷かれ、出店した8つのレストランから提供される食事などを楽しみながら、パリ市民4,400人がピクニックを楽しんだ。 このピクニックイベントは、ジェントリフィケーションが進むシャンゼリゼ通りに危機感を抱く地元の小売店や起業が組成する委員会が主催し、減少する地元の来街客を増やすことを目的にしている。現在、シャンゼリゼ通りはデザイナーショップ

アメリカでは走行距離に応じた通行料徴収への支持が高まっている

case|事例 ミネタ交通研究所(MTI)は、連邦政府の交通財源政策に関するレポートを公開した。レポートでは、全米から抽出された2,522人を対象とする意向調査が実施されており、現在のガソリン税を排出量ベースの走行距離に応じた通行料としての徴収に置き換えることが51%の支持を集めた。また64%は低所得者に対する料金の引き下げについて好意的に評価している。他にも事業者向けの通行料徴収への賛否も問われており、車種やサービス別に割合が異なるが、貨物トラックで58%、タクシーおよび

バルセロナの生物多様性マップに450種の確認生物を追加

case | 事例 2019年にバルセロナ市立公園庭園研究所によって作成・公開されたバルセロナ・生物多様性アトラスは、市内で見られる動植物の種に関する情報を市民に提供するデジタルツールであるが、今般カテゴリーに含まれる種の数を新たに450種以上増やしたほか、新たに6つ(樹木林の自然植生、草地の自然植生、草原の自然植生、鉢植えの植生、甲殻類、軟体動物)のセクションが設けられ、アトラスのコンテンツは量的にも質的にも飛躍的に向上した。5月22日の世界生物多様性の日に合わせて一般公

カーフリーな生活がもたらす健康および社会的な利点

case|事例 バース大学の気候変動と社会変革研究拠点(CAST)は、オックスフォードの市民を対象にした3週間のカーフリー生活における行動変容や意識変容を分析し、カーフリーな生活がもたらす健康上の利点や社会的な利点を明らかにした研究を発表した。研究は気候変動対策に取り組むLow Carbon Oxford North(LCON)と共同で実施された。 研究結果では、参加者の12人のうち10人が今後も自動車の利用を控えたいと考えていること、12人のうち3人は自動車を完全に手放

世界各都市の持続可能な交通データを可視化したオンライン地図

case | 事例 世界中の都市との協力のもと、都市をより住みやすく、公平で持続可能なものにするための質の高い交通システムや政策ソリューションを計画・導入する非営利団体である「交通開発政策研究所(ITDP)」は、世界1,000以上の都市圏、40,000以上の自治体を対象に、持続可能な都市交通を計画する上で必要なデータを集約・可視化したオンライン・ダッシュボード「持続可能な都市交通アトラス」を公開した。 持続可能な都市交通アトラスは、人口密度、街区密度、自転車専用道路周辺人

NZオークランド交通局は手話をデジタルディスプレイの案内に統合

case|事例 オークランド交通局(Auckland Transport)は、ニュージーランドの手話をワイテマタ(ブリトマート)駅のデジタルディスプレイに統合し、手話での案内を可能にする。これは、オークランド交通局がインクルーシブな交通環境の創出を目的に取り組んでいる公共交通ネットワークのアップグレードの一環で、聴覚障害者のアクセシビリティの改善が期待される。 手話での情報提供については、公共交通アクセスグループとの協議によって検討され、特に避難が必要となるような交通ネッ

NYで開発されたBID向けの「the New York Places Data Hub」

case|事例 NYのBIDや中小企業の支援を目的に民間3社が共同でデータハブシステムを開発した。開発を行ったのは、都市イノベーションや気候変動に関する幅広いプログラムを提供するCiv:Labと都市のデータ分析のスペシャリストであるUrbanLogic、データプラットフォームの構築を行うGingkoの3社で、開発にはニューヨーク市の中小企業サービス(Small Business Servive)からの補助を受けている。開発されたデータハブによって、BIDや中小企業は重要なデ

ドバイのクオリティ・オブ・ライフ戦略

case | 事例 ドバイは、世界一住みやすい都市を目指す取り組みの一環として、野心的な「ドバイ・クオリティ・オブ・ライフ戦略2033」を発表した。戦略では、ドバイを歩行者にも環境にも家族にも優しい都市に変貌させることに焦点を当てた200のプロジェクトとイニシアチブが含まれ、2024年から2033年まで3段階に分けて、地域社会のあらゆる層のウェルビーイングの実現に向けて取り組むとしている。 戦略では、環境保全・生物多様性保護、クリーンエネルギー推進、公共サービスの充実化、

ブルームバーグが構築した世界30都市を対象にしたデータダッシュボード

case|事例 ブルームバーグは、都市開発を推進するツールとして世界30都市を対象にした新たなデータダッシュボード「Dynamic Cities Dashbaoaed」を構築した。都市の生活に関わる重要な項目を強調し、都市や企業のリーダーの意思決定を支援する。またデータを時系列で見ることもできるため、ポジティブな変化や改善も追える。今後、ニーズに基づいた政策立案やその成果の確認などに活用されることが期待される。 このダッシュボードは2021年に立ち上がったWGの3年間の集