南野拓実はモナコ移籍で退団!最高の控えの控えを失うリヴァプール

南野選手の獲得時にリヴァプールでは無理という声も多かったですが私は即戦力ではないけれど成長すればベナユンのような戦力にはなれると評価していました。加入して1年目の2019-20シーズンと2020-21シーズンのプレーは獲得否定派の意見が正しい事を証明する酷いものでしたが、サウサンプトンでのローンを経て大きく成長して帰ってきました

21-22シーズンの南野拓実のプレーはこのシーズンのリヴァプールに欠かせないものでプレシーズンから最後の出場となったセインツ戦まで素晴らしいプレーを見せてくれました。ベナユン感が欠片もない生粋のストライカーとしての活躍で筆者の見立てが大きく外れていた事はさておき…

リヴァプールの売却希望額£17mに対して半額でもキツいと言う日本のファンの声もありましたが€15m+ボーナス€3mで£13m+ボーナス£2.5mと近い水準で買うクラブは当然ありました。この金額は欧州サッカーだと妥当な取引と言えるでしょう

南野は代表戦で活躍できていないため日本のサッカーファンからバカにされているように感じますが、彼をバカにしている人達は彼の偉業を全く理解できていません。苦しい状況を1人で打開しつつ点が取れるFW5人衆が異常な今のリヴァプールでオリギと6番手を争えていた事は凄い事なのです

南野が代表戦で機能しないのは中央で使われないからではないと私は考えます。南野が活躍できるか出来ないかを決めるのは場所よりも役割が大きく、武器である点を獲る事に専念できる役割ならポジションは中央でもサイドでも良いのです。事実、WGが点を取るクロップLFC型のシステムならWGで全く問題なく彼は得点を量産しています

一方で狭いスペースでプレーするには技術不足なので、中央でボールを受ける仕事だとオリギの牙城を全く崩せずリヴァプールでは戦力外でした。彼がオリギに負けてベンチ外だったのはリヴァプールの前線5人がサイドは全員出来たので中央が出来るオリギの方が価値が高かったからです。中央に適性がある南野を中央で使わない代表監督の使い方が悪いという本当にナンセンスな指摘をよく見かけますが、中央で繋いで運ぶ仕事も求められるLFCでは中央で戦力外なのです

サッカーの攻撃で私が大事にしている事は下記の3点です
1 いかにしてボールを運んで決定機を作るか
2 誰がどこのポジションを使うのか
3 各々の役割は何なのか

戦力的に相手より優れているのであれば、確率が高いショートパスを繋いで前線までボールを運んでいくことを基本に考えるべきですし、戦力的に相手より劣っているのであればロングボールや個人でのドリブル突破を目指す事になります。勿論、それぞれの局面で選択するべき事は味方と相手の位置関係によって変わってくるものなので複数のプランを用意しておくべきでしょう

私は世界のトップレベルとは戦力的に劣る日本代表の戦力では中央にMFを3枚配置して守備を固め、単騎で突破できる伊東の個に賭けつつ、伊東に複数のマーカーが来れば空いてるスペースから攻撃をすれば良いと思います。私が見た数試合の代表戦を見る限り、監督のやりたいサッカーは機能している(実力の観点から結果が伴うとは言っていない)ように見えました

南野はカットインに優れていないので左WGは右にボールを置いて利き足で狭いコースに打ち抜ける右WGに比べると劣ると思いますが、伊東の方が日本代表にとってチームに必須なので左起用は仕方ないでしょう

左サイドで南野を起用する場合、彼の役割は攻撃面だと最前線に飛び込んで点を取る事で守備面のタスクの方が大きくなります。彼を中央で起用した場合の役割は攻撃面だとゴールから遠ざかって組立てつつ、隙を見てゴール前に飛び込む仕事になると思われるので少し攻撃のタスクが大きくなり守備の運動量が減る事になるでしょう

日本代表の選手を見る機会は非常に少ないのでチーム事情からどちらが良いとは言い切れません。どちらにせよ彼が提供できる事はゴールを取るという事で、位置がどこであろうとストライカーの役割しか出来ない事に変わりありません。日本代表監督も彼をストライカーで使っているように思われ、そこまで悪い監督だと私は思えません。もちろんフリックだとかコンテだとかグアルディオラのように素晴らしい監督とは思いませんが…戦力が足りていないので仕方がない部分もあるように思います

日本がワールドカップでGSを突破するにはスペインとドイツという押し込んでも意外と点を取れない2チームから勝点を奪う必要があります。現監督のサッカーはこういったチームを相手に70%支配されても失点を許さず1チャンスで点を取って勝負する方針のように見えるので、とりあえず殴られて相手が疲れた所に三笘を投入して両翼から殴りかかる方向は戦力差を考えれば正しい選択と言えるでしょう。W杯はCLやPLやSLLに比べると著しくレベルが低いので余り興味はないのですが、今回の日本が強豪国を相手にどのような結果を出すのかは単純に楽しみです

リヴァプールでのプレーを見ていただければわかる通り、彼は得点以外の貢献は小さかったです。MFとの連携でボールを運べないリヴァプールではFWは単騎で突破したり両フルバックと連携を取ってボール前進に貢献する事が求められるが、単騎突破力はありませんでした

リヴァプールはサラーを活かすためセット時の守備で左肩下がりで右肩上がりの守備を取る事が多いので、ポジション的に左サイドがサイドバックにプレスをかけるのが遅れやすくなるのは仕方がない事ですが特に左サイドでのプレスは常に一手遅く間に合っていませんでした。1vs1も含めると守備はマネ、ディアス、ジョタに比べると明らかに物足りなかったです

しかしながら、得点期待値に対する得点率ではサラー以上でオリギとトップを争うレベルでした。サンプル数が少ないとは言え世界トップレベルの選手にも引けを取らないスタッツを残しており、今季の10ゴールは非常に多彩なレパートリーで得点を重ねました。特にFA杯でのノリッチ戦でのゴールやPLセインツ戦でのゴールは文句のつけ所がないスーパーゴールとしか表現できません

リヴァプールでプレーするのだから全てが出来る必要があると勝手に期待するのは間違っています。南野は主力5人を休ませたい試合で点を取るというタスクを与えられ、与えられた仕事を完璧に遂行しました。クロップが言うように彼は(得点を取るという意味においては)素晴らしい選手で出場機会が少なくても不満を漏らさず熱心に練習してチームの士気を高くする監督にとっては夢のような選手でリヴァプールに必要な選手に成長しました

レギュラーと比べれば決定力以外の全てが劣るので主力を休ませたい試合以外の出番は今後も与えられそうになく流石にこの扱いを来年以降も続けるのは失礼なので選手にも両クラブにも良い取引になるでしょう

今後もボールを運ぶ仕事が少なく得点力が活きるクラブであれば活躍できる事は間違いないのですが、残念ながら筆者の知見不足によりモナコがそういうクラブかどうかは知りません。競争相手としてはフォランドかイェデルが大きな壁になるでしょうが、1000分稼働が限界の今よりはトップ下のストライカー、サイドでのストライカーという役割で出番は増えるでしょう

理想的すぎる控えの控えを失う事になるリヴァプールですが、南野の後継はエリオットに期待するとしましょう。FA杯とEFL杯タイトル獲得に大きな貢献をありがとうございました!モナコでのレギュラー獲得に向けてリヴァプールでの経験が役に立つ事を願います

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