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困っている人に、快適な住まいを、低価格でーー。「おせっかいな大家さん」がコンセプトの、社会課題解決型スタートアップです

はじめまして、株式会社LivEQuality大家さんともうします。

わたしたちは、住まいをかりづらい困窮世帯のシングルマザーなどを対象に、住みやすい物件を提供する、「ソーシャル大家さん」事業を営む名古屋の会社です。

駅から近い、日当たりがいい、水回りがきれいーー。そんな安心で快適な住宅を、市場よりも低い価格で提供できるよう自社で物件を取得、心地よい住まいにリノベーションしています。

物件提供に加えて、NPO等とも連携。「住まいがない=住所がない」ことで、行政サービスを受けづらかったり、仕事がみつからない方々の暮らしにも伴走しています。

わたしたちは、そんなちょっとおせっかいな大家さんを事業化した、社会課題解決型のスタートアップです。

一人でも多くのひとに、取り組みついて知ってもらえたらと、noteをはじめることにしました。

このnoteでは、投資家として事業活動に関わってくれているみなさんのインタビューや、支援事例の紹介などを公開していく予定です。

さまざまな角度から事業活動をご紹介して「社会課題の解決と事業収益をあげることをどう両立しているのか」「どんなソーシャルインパクトをつくっているのか」をお伝えしていきたいと思います。

1本目のこの記事は、まず、わたしたちの自己紹介をさせてください。

快適で安心できる住まいを提供する、ソーシャル大家さん

いまの日本には、困窮しているシングルマザーが住まいを貸してもらえないという課題があります。誰にとっても、住まいは暮らしの基盤です。わたしたちはこの課題を解決するために、心地よい物件を低価格で提供するビジネスをはじめました。

さまざまなしわ寄せが、困窮世帯やシングル家庭、特に母子家庭にきています。9割近くの方が生活が苦しいというデータもあります。

日本のひとり親家庭の相対的貧困率は48.3%(出典:OECD Family Database ”Child poverty” 2018)といわれ、これは半数近い子どもが相対的貧困に直面している数字です。

この相対的貧困状態とは、子どもが一人いるひとり親家庭の場合、年250万円ぐらいで生活しているということ。家賃、生活費、教育費のやりくりが容易ではないことが、想像いただけると思います。

国債金利の低下や円安などの影響で、不動産価格は上がり続けています。住まいのセーフティネットである公営住宅は供給戸数が減少。老朽化も進んでいます。高倍率で公営住宅には入居できず、賃料の高さから、アクセスが悪く老朽化の進んだ物件を選ばざるを得ないシングルマザーがたくさんいます。アクセスが悪く低質な住まいは、就業機会を奪い、子どもの成長の妨げになってしまうこともあります。

さらに、わたしたちが対象とするシングルマザーの多くは、深刻な課題を抱えています。配偶者のDVから着の身着のまま逃げてきたり、避難先に頼れる人がいなかったり、外国籍で日本語が不自由だったりーー。

住まいをかりることや、仕事を探すことが困難な状況にあります。

日本では住所がないと、保育園の利用や子育て関連の手当などの行政手続きを行うことが難しくなります。子どもを預けられないので、仕事をすることもできません。仕事がないと収入がないので家を借りられず、住所がないと行政の支援を受けられないので子どもを預けられません・・・・・・。

この生活の再建を阻む負のサイクルを、わたしたちは住まいの提供で解決したいと考えました。

家賃の減額、契約時の家賃前払いをなしにするなど、対象者の状況に合わせた柔軟な条件で契約をしています。

おせっかいなわたしたちなので、どんな家でもいいとは思っていません。自社で物件を所有し、リノベーションした心地よい住まいを提供しています。
だれもが入居したい、心地よく暮らせる物件」で、親子が安心して生活の立て直しができるようにしたいと考えています。

住まいの提供は、大変な状況にあるシングルマザーをサポートする1歩目です。

安心できる住まいの基盤ができたあとは、生活用品をどう揃えるか?という細かなことから、仕事のこと、健康や子育てのこと、地域とのつながりづくりなど・・・・・・

生活再建に必要な支援は、多岐にわたります。

そこでわたしたちは、住まいを提供したあとも、おせっかいなサポートを続けるために、NPO法人LivEQuality HUBという団体と連携しています。

LivEQuality HUBが、児童相談所や警察やクリニックなどの専門機関から地域のお弁当屋さんまで、50団体以上・70名以上とつながり、入居者に必要な支援を地域ぐるみでサポートできる体制をつくっています。

行政も営利企業も対応が難しくても、わたしたちなら支援できる

例えば、外国籍のシングルマザーの方が、DVを受けて親戚の家に子どもを連れて逃げてきた、ということがありました。

その親戚の家はとても狭く、居候を続けるわけにもいかず、行政に相談に行ったそうです。ですが役所からは「なんとかしてあげたいけれど、住民票が他県にあるのでうちでは支援ができない」と言われてしまいます。
たまたまその日はわたしたちの取り組みが中日新聞に大きく取り上げられたタイミング。紙面をみた行政から「なんとかしてもらえませんか?」と連絡がありました。

こういったケースで部屋を貸す大家さんは、ほぼいないらしいのです。わたしたちが条件をすり合わせて物件を提供したことで、外国籍のシングルマザーは行政のサポートをもらえ、仕事も見つかりました。お母さんから片時も離れず、怯えているようにみえた子どもたちも元気になり、入居後も遊びに来てくれます。

このように関わりを続けることで、何か困ったことがあった時にいつでもサポートできる関係をつくっています。

「生活再建に向けて、地域ぐるみでどんなサポートをしたのか?」を具体的にまとめました。 支援内容の幅広さを感じていただけるのではないでしょうか。


住まいというハードの提供と居住支援のソフト面を、一気通貫で届けるソーシャル大家さん。自分たちがすべてを担うのではなく、行政やNPOなども含めて、地域の方々と一緒に、連続的な支援を行っています。

2013年に、母子が餓死していたという事件がありました。

日常的に関わりのあるコミュニティをつくることで、痛ましい事件が起こらない体制をつくることが重要だと考えています。

今年の夏は、10世帯22人の居住者さんを招いて、流しそうめん大会を開催しました

インパクトボンドという、資金調達手法に挑戦

わたしたちは、よい物件を低い家賃や柔軟な条件で提供しています。そのためには、自社物件を取得する必要があり、まとまった資金がいります。

そこで挑戦したのが、複数のインパクト投資家を引受人とするインパクトボンド(私募社債)と、銀行からの融資エクイティ(普通株式)を合わせた資金調達の方法。

この方法で、複数人のインパクト投資家に参画いただき、23年6月に総額3.2億円の資金調達を行いました。

インパクトボンドは、一般的な事業運営のために発行する社債と比べて、金利などのリターンが限定されます。

その分、投資を通じて実現される、入居者の生活再建といった社会的インパクト(ソーシャルリターン)を最大化するように設計しています。

参考にしたのは、ロザンヌ・ハガティ氏が結成したニューヨークにあるNPO「コモン・グラウンド」(当時)。

ニューヨーク市やJPモルガンなどから、50億円を調達。ハガティ氏は廃墟になっていたザ・タイムズ・スクエアホテルを買い取って、フルリノベーションしてホームレスに提供しました。

住まいの提供によって、生活を再建し自立する人が増え、周囲の治安が良くなり、地価も上がってニューヨーク市にもリターンがありました。そしてこの取り組みが全米に広がっていった、というモデルです。

わたしたちも、今回の資金調達で物件30戸を新たに取得することに成功し、保有物件数100戸が目前となりました。

これからも挑戦を続けて、支援できる住まいを失った母子家庭の数を増やし、インパクト投資家のみなさんと一緒に社会を大きく変えていく

そんな取り組みを日本でも広げられるよう、事例をつくっていきたいと考えています。


おせっかいな大家さんとして、困っているひとを支えながら、ビジネスとしても成立させるーー。わたしたちのやり方は、少し不思議にみえるかもしれません。

わたしたちも、悩みながらこの取り組みをはじめて、まだ3年ほどです。もっとたくさんの人をサポートするために、奮闘する毎日です。

少しでも関心をもっていただけた方は、ぜひこのnoteを定期的に読みにきていただけたらうれしいです。

代表の岡本のnoteも、よければご覧ください。


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