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期待を裏切ってくる国、ドイツ(いい意味で)

ドイツ語がままならないまま、ドイツという国を想像とネットと本でしか情報を持たずに、なんの情報もないまま旅立って1年暮らしてみたら、ドイツの魅力に魅了されるかと思っていたが、正直なところ住んでいる間は、そんなこともなかった。
それなのに、ドイツを離れた今ではドイツでの生活も悪くなかったなと思うし、むしろまた住みたいな、とまで思うのだから、まだまだ期待を超えてきてくれるし、ドイツという国に結局魅了されてしまったのかもしれない。

生まれてこの方、20年近く日本でしか過ごしてこなかった私は、そりゃあヨーロッパなんて想像の世界で、もちろん何も知っているわけでもなく。まず電車が時間通りに来るわけがないと知った時には、ドイツって、、、?と首を傾げたものだ。今思えば、世界スタンダードでは、日本って、、、!となるのだろう。

今でも覚えているドイツに渡りたてのエピソードがある。ドイツ語も分からなかった20代そこそこの私は、言語が通じないことに対して、そんなに恐怖を覚えることもなく、とりあえず食べるものをと、近くのスーパーに入った。水でも買おうと、水の置いてある棚に近付くと、なんだか水にも種類がたくさんあるらしい。濃い青のボトルと、緑のボトル、あと確か薄い青のボトル、、それだけでなく、他のブランドの水もあるし、水なのには変わりないのに、何が違うのか全く分からなかった。しばらくウロウロした後、結局たくさん売れていて、私の前にいた人が買った水と同じものを買うことにしてみた。
帰って飲んだ時に気づくのだが、買ったのは強炭酸の水で、びっくりしてふき出すことになる。ドイツでは炭酸水を飲むのはよくあることで、強炭酸、微炭酸、普通の水、と大抵どこのブランドもこの3種類は提供している。しかも、ドイツは硬水なので、水を買うのはよくあることらしい。強炭酸の水は私には強すぎて飲めなかったのだが、2Lのボトルを目の前にして、捨てるのはもったいないか、と振って炭酸を抜いて飲むことにしたのだから、Mottainai精神はあの頃も健在だったのだろう。ちなみに、炭酸の抜けた水はこんなに水って不味くなれるのかというくらい不味かった。

そんな驚きに始まった1年だが、もっと大変なことが待ち受けているとは知りもせず。学生ビザの取得や、家探し、銀行口座の開設、、、想像を超えてくる大変なことだらけ。きっとドイツに住んだことのある人は、そうだそうだ、と頷いてくれるだろう。でも住めば都とはいったもので、住み始めるのは非常に困難が伴うが、住み始めると悪くはないのだ。

何より、頭が堅い私にはドイツの掲げる理想はしっくりくる。

日曜日にはほぼ全ての店が閉まることは、ドイツ人にとっては迷惑なようで、日本の24時間年中無休のスタイルに憧れている知り合いのドイツ人は多いが、私にとってはこれほどの理想はない。週に1日、国全体が休みになって、しかもそれが社会的に保証されているなんて、素晴らしいことはないと思う。確かに遊びになんて行けないし、買い物なんてもってのほかだけど、絶対にみんなが平等に理由なく休める日があるってすごいことだと思う。大人になると理由なしには何事も休みにくくなるし。

他にも、スーパーで売っているお肉には、動物の権利の可視化のためか、その動物がどんな環境で育ったかというランクづけがされているし、ペットボトルはリサイクルをさせるために買った時にデポジットを支払わせる。(リサイクルしたら、お金が戻ってくる仕組み)
カナダやアメリカでは、できないことや制限がかかることに対してとても敏感で、全ての人に機会を与えることが良いこととされているような気がするけど、(その機会を十分に発揮できるか、自分のものにできるかは別として)ドイツでは自由や権利を認めた上で、それに制限がかかることも、何か他の大きな正義のためなら、その制限も受け入れる体制が整っている、というのがお国柄なのだろうか。その違いも面白い。

まだまだ、離れた後も魅了してくる、素敵な国、ドイツ。また近々行けるのを楽しみに。


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