長靴を履いた猫と9つの命 ※ネタバレあり

あらすじ

長靴を履いた猫ことブスは巨大なモンスターを倒した後、9つの内8つを使い果たしてしまう。医者に旅を止め、猫を保護しているママ・ルナの元に行くよう忠告される。
最初は『引退するにはまだ早い!』と息巻いていたブスだったが、賞金首のウルフ、ヴァグネル・モウラとの戦いに敗れ、賞金首のレジェンドの華南を降ろすことにし、トレードマークである帽子やマンと、長靴を脱ぎ捨ててママ・ルナのペット猫になろうと決意する。
そんな時、どんな願いも叶うという【願い星】の存在を聞き再奮起する。

感想(ネタバレあり)

長靴を履いた猫やシュレックシリーズに出てきた通りの性格で始まりは明るく、ブスの勇猛果敢ぶりや陽気さが楽しませてくれた。やっぱ音楽は良いね。ディズニーが好きなのもあるけど、作中に歌いながら陽気に踊るのを見てるだけで元気が出る。
ただ、戦闘の描写がちょっとアニメチックに感じてしまい、シュレックなどはそんなことはなかったので少し違和感。
まぁ慣れれば気になることではないし、それもそれで味のある表現だけど、好みは分かれるかなぁ…と思いつつ視聴(私は嫌いじゃないが、どうにも違和感が拭いきれなかった)。
ここはまぁ、冒頭の部分なのであっさりと勝利を収めるブス。戦闘とは言え冒頭で時間取りすぎるのは良くないからね。
あっさりしつつも動きのある映像に楽しんでいると、ブスの上に鐘が降ってきて、ブスを押しつぶしてしまった!!
普通、鐘に押しつぶされたら死ぬはずなんだけど、ここからどう繋ぐんだ?と見ていると、ブスを介抱した医者曰く『ブス、君は死んだんだよ』と。

!?

一体どういうことだ!?
唐突の死んだ発言にびっくりしていると、猫には9つの命があるという。
ここでタイトルの9つの命が出てきた。どうやらこれは猫の命の数らしい。
……猫って9つも命があるの?と思い見終わった後に調べてみると『猫に九生あり』と言う言葉があるらしい。
これは古代エジプトまで遡るらしく、三位一体が更に3つそろった数字がどうのとか。
簡単に言えば『なかなか死なない』『しぶとい』と言う意味合いで使われるのだそう。
閑話休題
兎も角、ブスは8回死に、最後の命になってしまったのだという。医者はブスに冒険を止め、平和に過ごすように忠告をしてくれる。というかブス、君もうそんなに死んでたんかい!!しかも死に方しょうもな!!!
8回の死因が出てくるんだけど、しょうも無さ過ぎて全部覚えきれない。そのくらいしょうも無かった。
だが当然、冒険と危険が大好きなブスの事。馬耳東風である。まったく聞く耳を持たない。そりゃそうだ。
ブス的にはいつも通りの感覚なんだろうな。こう言うのは痛い目を見ないと分からないんだよ……と思っていると。

痛い目、見ました。

賞金首のウルフ、ヴァグネル・モウラに襲われたブス。最初は格好いい事を言いながら戦うもの、惨敗。死の恐怖に負け、しっぽを巻いてとんずらである。
そこからしばらくは家猫として暮らしていたものの、すごーくしんどそう。
生きる意味を見出せず、ただただ生きるためだけに生活しているようなブスは本当に可哀想だった。
最初のブスが活き活きしていればしているほどこの落差は辛い。
そりゃそうだよね。今まで自由奔放、心のままに生きていたのに、生きるためとはいえそれを全て無くしてしまったんだから。
私もゲームと映画が無くなってしまったらああなるんだろうな……辛いなぁ……。
少し同情しているとあらすじにある【願い星】の出番である。
その願い星とはその名の通り【願いを一つ叶えてくれる】ものだ。
ブスは失ってしまった命を取り戻すべく、願い星を探す旅にでる。
……家猫時代に出会った犬、ワンコと共に(不可抗力)。
ワンコ、凄く頭が悪そうなんだけど、凄いポジティブで最強じゃん、とか思いながら見てた。素でポジティブは最強よ。本当に。
近くに居たらしんどそうだけど、少し羨ましいな、と思うキャラである。ワンコ。でも境遇が可哀そうすぎて。……強く生きて。
さて、話を戻して、願い星である。
これを探す旅には、もう一匹の仲間であるフワフワーテという猫が登場する。彼女はなんとブスの知り合い、しかも結婚を誓った仲である(しかし結婚式当日、ブスはとんずらしてる)。
そんな相手と一緒にいたの!?と分かった時はびっくりしたが、今でもお互いを思い合ってるんなら……ありなのか???
最初はいがみ合っていた二人だが、話が進むうちにどんどんいい感じに。ブスが過去に犯した過ちを謝罪したことがきっかけにまたよりを戻すのでは?と思っていたが。
が。
後半、地図を奪われ奪い返し、いざ佳境へ!という時にまた現れた賞金首のヴァグネル。こいつがまた格好いいんだぁ……。
そしてこのヴァグネル、実は賞金首ではなかった。自分は無敵だと信じて疑わない傲慢なレジェンドを葬る死神だったのだ!
再び死の恐怖に直面したブスは脱兎のごとく逃げ出す。逃げ出した先にはフワフワーテとワンコが居り、ブスを呼ぶが、ブスは止まることなく走り続ける……。
その時のフワフワーテの悲しそうな、寂しそうな、でもやっぱり、と言う何とも言えない表情が印象的だった。
謝罪を受け、再びブスを信じかけていたフワフワーテは、ブスの走り去る姿に言いきれぬ感情を抱いただろう。そこで怒るのではなく『諦める』フワフワーテは凄く大人で、魅力的だ。
一方、逃げた先が偶然にも願い星の真上だったブス。地図を開き、願いを叶える呪文を唱える。
だが、それをフワフワーテが阻止!必死に言い訳し願いを叶えようとするブスに『信頼できる相棒が欲しかった』と、自分の願いを告げる。そして『願いはかなうと思ったのに』とブスに告げる。
だがブスは死の恐怖に囚われ、これしかないんだと言い訳を続けた。
これはその人の人間(猫)性が凄く表れるシーンだな、と思った。ここでブスの言葉に言い訳ではなく、謝罪を言える人間はどれほどいるだろう。
見ていた時は『フワフワーテ可哀想!』と思っていたけれど、自分がブスの立場なら……私もきっと、ブスと同じようにしてしまうかもしれない。
フワフワーテはブスを見限り、立ち去ろうとする。と、待ってました敵役のご登場!1人は完全に悪役も悪役のビック・ジャック・ホーナー!全ての魔法を手中に収めるべく願い星を探していた男だ。そして1人と3匹のくまがいる犯罪組織、『3びきのくま』だ。この3びきのくまは人間であるゴルディ・ロックスが自分の家族を取り戻すべく願い星を探していたのだが、彼女が地図を見た時『見方を変えれば願いは叶う』と謎かけのような文字が出てきたのが印象的だ。
彼らの話も書きたいが話が長くなるので、気になる方は是非、映画館へ。

さて、最終決戦。地図を奪い合いもう一度地図を手にしたブス。しかし彼の元に死神が!!!
ヴァグネルがブスに問いかける。
『卑怯な手で命を得るか、戦うか』
試すような言葉にブスがしばし沈黙し、ヴァグネルが放り渡した愛剣を手に戦う事を決意!
最初の時とは違い善戦するブス。しかし彼は分かっていた。相手は死神。自分が勝てる相手ではない。それでも果敢に立ち向かう。
『あんたに勝てないことは分かってる。でも、生きたいから戦う』
闘志に燃える瞳に死神を映しながら告げる格好良さよ。今までの傲慢なレジェンドではなく、覚悟を決めた男である。
決意を、覚悟を決めたキャラってのはどうしてこうも格好良いのか!!!
レジェンド時代のブスよりも100倍格好いいぞ!!!
ブスの覚悟を試すように威嚇するヴァグネルだったが、ブスは怯まない。そんな様子を見てヴァグネルは叫ぶ。
『さっさと食っちまえばよかった!!』
ちきしょう!と言いながら少しうれしそう?多分私がそう思っててほしいという欲目があったのかもしれない。彼はそう言って持っていた武器を懐に仕舞うと『またな』と言って消えていく。それに答えるブス。

もうね、格好いいのよ!!!
いやー、やっぱ一皮むけると格好いいですね!!!主人公はこうじゃなくっちゃ!!!

無事死神を退けたブス。もう願い星は必要ないとフワフワーテに地図を渡すが、フワフワーテも『信頼できる相手を見つけた』と嬉しそう。早く結婚しろ。

無事解決か、と思うがそうは問屋が卸さない。私的にはもう十分なんだが、願い星を解決しなくっちゃね。

そこで登場、生粋の悪、ジャック・ホーナー!彼は一度フワフワーテに持って来た魔法の鞄に閉じ込められるが、巨大化できる魔法のお菓子を食べて脱出。そんな彼に地図を奪われてしまう。

2人と、本当の家族を見つけたゴルディ・ロックス率いる3びきのくまが共闘してビック・ホーナーを撃破!
私としてはまぁそうなるだろうなーと言う。ここら辺は読めてたよね。こういう映画大好きだから。

地図は無くなり、願い星も消え、そして友人からずっと呼ばれていたワンコという呼び方が『名前』になったワンコ(ややこしい)と共に、再び冒険を続ける。という終わり。

いやぁ、2時間ないボリュームとは思えないほど、とても濃い内容かついい内容でした。

おススメ度

★★★★☆
ドリームワークスはやはりいい!!!ストーリー構成、音楽、効果音、全てが映像を楽しめるように作られているし、十分楽しめる。
こういったアニメが好きな方には是非お勧めしたい作品です。

総評

話の入りや繋がりなどの構成はやはり素晴らしい。
ただ、起承転結の結はこういった物語が好きな人は『こうなりそう』と予想がつくかもしれない。だがシュレックや長靴を履いた猫が好きな人は見て損はない作品だと思う。


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