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ラミレス打法、俺以外みんな愚鈍、ぼぼ様イントネーション、「まだ生きている」という恥、インテリなのにケダモノみたいな彼氏、哀愁のドリア、

五月十二日

生きることは不条理だとかいうけど、それだけじゃない。掛け値なしの重労働だ。一生で何回下着を着るか、考えてみるがいい。げっそりしてくる。うんざりしてくる。アホらしくなる。

チャールズ・ブコウスキー『パルプ』(柴田元幸・訳 筑摩書房)

午前十時三九分。玄米緑茶、砂糖まみれの菓子パン。朝勃ちがすごい。心身ともに良好か。マスをかきたいがいま発射して賢者モードになってしまうと読み書きに支障を来たす。文明人であるということは「獣欲」の満足を先送り出来るということだ。八時二〇分ごろに訪問者があってぶち殺したくなった。ぶち殺したくてもぶち殺せないのが文明人の悲しさ。さっきからユーミンの「ベルベット・イースター」が脳内再生されている。きのう午後、母親が来て、増泉のドン・キホーテなどで買い物をした。髪の毛が綺麗で小顔のたくましい男子高校生がたくさんいて目の保養になった。さいきんは若い男を見るたび抱かれたくなる。抱かれたくなり過ぎて苦しいこともある。暖かくなるといつもこうだ。事務キチでページオープナーという優良アイテムを約四五〇円で入手した。俺は引用することが多いので助かる。帰って来たらもう七時を過ぎていたので図書館には行けなかった。

俺のためにだけ発明されたかのごとき文房具、

猪熊律子『塀の中のおばあさん(女性刑務所、刑罰とケアの狭間で)』(KADOKAWA)を読む。
高齢の女性受刑者が増えているというルポ。後半は少しだれた。女性受刑者の罪名で最も多いのは窃盗で次は覚醒剤取締法違反。窃盗で実刑を受けている人のなかには、カネには少しも困っていなかったのに何度も万引きを繰り返して刑務所に送られたという人もいる。万引き依存症(クレプトマニア)についてはもうすでに多くの研究があり本も出されている。万引きがやめられない女性と痴漢行為がやめられない男性の間には「漠たる寄る辺なさ」という共通項がある。両者とも危険を冒すことの刺激でそれをごまかそうとしているのだ。この寄る辺なさをニコチンや酒でごまかしている隣の金借り爺さんはまだマシなのかも。友達も金もないさびしい下流老人はこれからも増え続けるだろう。BB(貧乏ばあさん)をHB(ハッピーばあさん)に、と述べ立てるのは樋口恵子だが、俺はBBだらけの世界にもHBだらけの世界にも住みたくない。「いいインディアンは死んだインディアンだけだ」と言ったのはアメリカの陸軍軍人フィリップ・シェリダンだが、現在の日本には「いい老人は死んだ老人だけだ」という嫌老感がそこはかとなく漂っている。私は老人になるまえに死にたいが、押し並べてそんな願望を述べたがる人間ほど長生きするのがこの世の習い。どうしようもない悪人ほど「死にたい死にたい」とこぼしがらもしぶとく醜く生き続けるのだ。「早く死んでくれ」と思われながらも生き続けるのだ。「老いてこそ人生」なんてオイラには戯言にしか思えない。結構毛だらけ猫灰だらけ。ヴィーナスのけつ毛。矢切の渡し。夜霧の私。ミルウォーキーの晩秋的気配。飯食うわ。パスタね。
備忘32000円。

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