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学会遠征編 1日目 徳島への移動日

2024年の3/13~3/20に、学会のため外へ出張に行ってきた。学会が2本あるため、このような長い期間の遠征となる。1本目は徳島、2本目はバンコクだ。忘れないうちに、8日分を書いて残しておきたい。

主な登場人物

自分:名古屋で一人暮らしする大学院生。岐阜県の田舎出身。学会の準備から参加当日に当たり、今回は過労死を覚悟した。

モドキ:研究室の同期。徳島の1週間前に九州でも発表があった。しかし彼の彼女は偽物である。

仲介人:研究室の同期。徳島の1週間前に九州でも発表があった。研究室の教授二人の仲を取り持つために奮発している。

黒:研究室の同期。モドキと仲介人が九州での発表の後に彼らと合流。お酒はあまり得意ではない。

サンタさん:研究室の同期。モドキと仲介人が九州での発表の後に彼らと合流。よくお菓子をくれる。将来は痛風が心配。

後輩:研究室の後輩。いろいろと不利益を被ることが多い。かなり年下の彼女がいる。

CRAZY:研究室の留学生ドクター。いろいろと準備が遅く、とち狂った行動も多い。

JA:研究室の先生。HKDのことを嫌っている節がある。普段はいつ話しかけても機嫌が悪いが、お酒を飲むと笑顔が増える。褒められると照れる。娘には甘い。

HKD:研究室の先生。若くて優秀。九州でも徳島でも発表があったが、その間の期間は旅行せずに一度戻ってきた。

りんご:岐阜県内の大学に通っているが、実家は愛知。一人暮らしではないので片道の時間が長く、よく研究室に泊まるらしい。

父:自分の実親。今は明石に単身赴任中。寂しがり屋なので、よく実家に帰省する。

クゥちゃん:埼玉に在住。同じ高校だったが、親交が深まったのは卒業してから。ちょんちょんの狂信者。

武人:高校の同期。彼も大学院生である。

彼女:名古屋で一人暮らししている。札幌出身のため、寒さにはめっぽう強い。自分と同時期に実家へ帰っている。

ちょんちょん:自分のアパートの近くにいたしろねこ。あまりにも神々しいため、この世界を創造した疑惑がある。




出発

 まずは徳島へ向かう。僕の発表は1日目(14日)の午前なので、前日に徳島に到着しておく必要がある。名古屋からの出発だが、新幹線を使わない場合は1日かかるようだ。この出張に関して、交通費、宿泊費、学会参加費は研究室の予算から出るのだが、交通費に関しては飛行機は領収書と同額、陸路は新幹線を使用したものとして計算される。つまり、在来線を使えば少しキャッシュバックがあるということになる。このため、交通費が最小になるルートを事前に模索しておいた。名古屋から大阪難波までは近鉄を使い、そこから南海線で和歌山港まで行き、フェリーで四国に入国するという作戦だ。そのため初日のビッグイベントはフェリーということになるだろう。他の入国手段としては、遠すぎないルートとして、淡路島を通過する高速バスや、瀬戸大橋を使う鉄道またはバスがあるが、やはりそれらの中でもフェリーが最も個性的だと言えるだろう。何より、一瞬だけでもいいから和歌山県を見てみたかったのだ。この長い道を一人で移動するのもいいが、暇な時間ができるとスマホの充電量の配分を間違える可能性があるので、連れを用意した。岐阜県内の大学の知り合い、りんごだ。りんごは、以前の大学間交流会で仲良くなった人だ。久しぶりに会うが、移動方法についていろいろとLINEで議論していたので、久しい感じにはならなかった。りんごも同じ学会に参加する。自分の研究室仲間は、同期から自分以外に4人参加するが、彼らは学会の数日前から九州・四国を旅しているのでこの日には同行できないということだ。徳島の後に連続でタイに行くのは自分だけなので、体力と予算を考えて、僕はこの先遣隊には参加しなかった。研究室の参加者としては他に、後輩が1人と教授が2人参加する。その後輩は車で行くらしい。なかなかガッツがあるようだ。

午前の部 名古屋→大阪

 朝は7時に起きた。前日まで遅寝遅起きを繰り返し、昨晩に至っては荷物の準備に夢中になって5時間しか寝ていないが、スパッと起きられた。顔を洗い、身なりを整えて、荷物を最終確認した。朝飯はパン一つだ。名古屋駅に行く地下鉄には間に合うだろうと高をくくっていたが、いざその時間が近づくと、意外と焦るものだ。小走りにならないと電車を1本逃してしまう。逃しても次の電車に乗れば問題ないのだが、この旅の序盤、余計な心配でMPを削るのはよろしくない。確かに、予定の電車には小走りでなければ間に合わなかった。それ以上に、少し走ったので今の服装では少し熱い。今回の旅は暖かいところばかり回るのでできる限り分厚い上着を荷物にしたくなかった。そのため、日本での服装はスーツ以外にはTシャツの上にカーディガン1枚。何かあった時のためにコンパクトに収納できる上着も持っていくことにした。最初はその両方を着ていたので暑くなるのも早い。少し見た目がよろしくないので、すぐにカーディガンのみにした。この旅は基本的にこれで行こうと思う。無事に集合することができた。とはいえ予約しておいた特急には30分も時間があるのでしばらくホームで語り合うだけの時間となる。やっぱり1本逃しても問題なかった。りんごはこの発表の資料がまだ先生から認可してもらえず、焦っているらしい。そのため、自分の席でパソコン作業ができる近鉄は都合がいいようだ。新幹線ではなくこちらを提案してきたのはりんごの方である。時刻通り9時に発車した。特急の中では僕は特にすることがないので、資料を見てあげることにした。りんごはB4なので、少し前まで卒論に取り組んでいたようだが、その時も直前まで資料を作っていたようだった。その資料を訂正し、先生にメールで送る。ほっと一息つくのも束の間、5分後に更なる訂正を要求される。どうやらりんごは研究室きっての問題児らしい。さらに訂正して送ったら、今度は何時の新幹線で向かうのかメールで聞かれていた。これは一緒に新幹線に乗って指導しようとしているのではないか、その先に何かあるのではないかと心の底から恐怖していた。りんごは1日中先生からのメールに怯えているようだったが、どうしてこんなに詰められるのか聞いてみたら、何もしてなかったからと答えた。たしかにそれは仕方がない。近鉄で大阪難波まで来て、次の南海線出発までは十分時間があるので、ここで昼食をとることにした。早く到着するために急遽淡路島のバスを使うルートに変えようか悩んでいたようだったが、そんなに恐怖に侵されていても仕方がないので、その先生とは別である、本来のフェリールートを提案した。

午後の部(1) 大阪→徳島

南海線の駅は少し離れているので、そこまでは歩く必要がある。その道には新喜劇の劇場もあったが、そこで写真を撮る時間すら惜しいようなので、速足で駅へと向かった。電車の出発時刻を確認したら、予定よりも早いものに乗れそうだったので、それを目指した。どちらにせよ各駅停車なので2時間近く同じものに乗り続けるのだが、そんなに混んでいなかったのでりんごはパソコン作業をしていた。僕は暇なので持ってきていた本を読んでいた。これがなかなか面白い本だった。僕は普段は小説は読まないが、この本は珍しく頭に入りやすかった。途中だったが、りんごがメールをまた送りたそうだったので、その文面でいいのかを確認した。何と返信すればいいのかわからなくてあたふたしていたのだ。そんな鈍行で和歌山市に到着。昼下がりということもあり、十分暖かかった。和歌山市から和歌山港まで行く電車に乗り換える予定だったが、1時間早く和歌山市に着いてしまい、次の電車まで1時間以上待たなければいけないようだったので、そこまで歩いていくことにした。電車と言っても1駅分なので、歩いても3kmだ。そのためだけに1時間も待つのはバカバカしいので歩いたのだが、もう一つの理由としては単純に和歌山の街並みを嚙み締めたかったからである。歩き始めてから自分はスーツケースを転がしていることを再認識した。りんごは徳島の学会のみなので荷物は多くなく、スーツケースではないのだが、自分はこの大荷物を介護するため道の凹凸には気を配る必要があった。時には抱きかかえる必要があるが、筋肉が解決してくれた。日頃のトレーニングの成果が出せてうれしい限りだった。いつも通っているジムの店舗を通過したので、記念に撮影しておいた。ここは聖地である。一人で来ていれば入店していたことだろう。道中はずっとりんごの研究の悩みを聞いていた。このまま発表もうまくいかなかったら、来週から研究室に自分の席が没収されるのではないかと危惧していたが、そんなことはさすがにないだろうと言っておいた。過去に本当に没収されたことがある人がいるらしいが、ちゃんとやっていれば自分の席くらい与えてもらえるはずだ。ちなみに、あちらの研究室は過去に何人かトンでいるらしく、かなりスパルタのようだ。しかも、毎年この時期にある学会にはB4が全員参加。それを考えればこちらの研究室はかなりフレックスで働きやすい。ただただJAの機嫌がいつも悪いだけだ。しばらく話を聞いてあげただけで特に提案もアドバイスもしてないが、りんご自身の頭の中は整理できたようで、今後の研究方針に納得がいったようだった。りんごも発表は明日で、明後日以降は同じく発表に来る先輩に付いて回るらしい。そこでしか先輩から引き継ぎができないからだが、その先輩からしたらはた迷惑だろう。40分も歩いたら港には到着できた。本来の予定は1時間電車を待って降りた後も40分以上待つ予定だったが、このルートでは1時間港で待つことになるという点が異なる。どのみちフェリーの出発時刻が変わらないなら、余裕のある方を選んだというだけだ。1時間もあれば和歌山のお土産も買えるのではないか、そう期待していたが、港にはそれらしい売店は無い。あるのは腕時計を掴めるクレーンゲームくらいだ。と思って席に着こうとしたら、横に飲食店があることに気づいた。時刻は午後3時ごろ、もうランチタイムは過ぎてしまったが、一息つく喫茶店としては機能しそうである。中にお客さんはおらず、店主さんがそこで客席に腰かけてまったりしているだけだった。ここも待ったりできる空間である。僕は紅茶とホットケーキを注文した。りんごはコーヒーとホットケーキを注文し、この時もなお先生への返信に怯えていた。目を瞑って恐る恐る返信を送信、これで一段落ついたようである。あとはフェリーの時刻までゆっくりとこの丸いホットケーキを楽しむだけだ。きれいに焼けている。僕はアパートでよくホットケーキを作るが、こんなにきれいに形作れない。数年使ってきたフライパンなので塗装がはがれてきているのだが、それが原因なのだろうか。そんなことはあまり気にせず、添えられていたバターをすべて使っておいしくいただいた。紅茶もゆっくりと味わった。実に優雅なティータイムと言えるだろう。そういえば、僕のスーツケースに目印をつけておくのを忘れていた。空港で荷物を回収するときに一目見てわかるようにするためのものである。リュックは普段大学に使っているものとは別なので何もストラップはついていないが、腰に巻いていたウエストポーチにはいくつかついていたので、一つ括り付けることにした。去年の北海道旅行で買ってきた、シマエナガの"しましま"である。ただの純白のスーツケースが、一気にかわいらしくなった。そうしていたら4時も近づき、ターミナルへと向かった。乗り込むところまでは意外と距離がある。空港以外で歩行用ベルトコンベアを見たのは初かもしれない。乗り込んだ大船は、意外にもあまり乗客がいなかった。有料のプレミアム席には行けないものの、それ以外のふかふかの椅子に座ることも、飲食店のようなテーブル席を陣取ることもできたが、平らな絨毯ゾーンを選んだ。ここなら真横になれるからである。どうせ会場では電波も圏外だろう。この2時間は船酔い防止の意味も込めて寝ていくことにした。スマホは充電。空気を入れるタイプの飛行機用枕を口から膨らませ、試用してみることにしたが、首周りに若干違和感が残る。結局、リュックを頭に敷く方が楽だった。船内には飲み物やカップラーメンの自販機、クレーンゲームなどあったが、お茶の1本を買う程度にとどめた。景色は、陸から離れるときは気持ちがよかったが、そこから先は以下同文といった感じである。寝た。そうして到着する頃には日も沈んでおり、暗くて外の様子がわからないくらい静かな港に到着した。船の出口には少し迷ったが、ここは徳島港、四国に到着したのである。

午後の部(2) 徳島

ここから徳島駅までは4kmほどで、歩けなくはないが、スーツケースを持っているということ、そして1時間も歩いていたら飲食店など閉まってしまいそうなくらい暗かったことから、ホテル近くまではバスで行くことにした。この四国では、主な移動手段はバスであることを予習していたので覚悟など今更必要ない。バス出現までは15分ある。交通の便が悪い地元に慣れてしまっているからか、すぐ来ると思ってしまった。待ち時間は徳島港内のお土産売り場を見ていった。ここでは荷物が増えるだけなので買わない。何が特産なのかを確認しておくのだ。やはり、ここはスダチの国らしい。徳島ラーメンも種類が多い。3日後に父親に預け、さらに後にその預けたものを返してもらう予定でいるので、残念ながらアシの早い柑橘系は買えそうにはない。そうしてバスに乗り込んだ。ガラガラだったので簡単に座れたが、その社内にはpaypayでの支払いができるQRコードが用意されていたことに感動した。これなら小銭をかぎ分ける必要もなくてありがたい。それを使って徳島駅で下車し、僕とりんごは夕食の場所を探すことにした。地方といえど駅の周辺は栄えている。岐阜駅でも見た光景だ。駅内にはあらゆる飲食店が備わっていたが、どこもお高い居酒屋ばかりだ。理解はできるが納得はできないので、外で探すことにした。駅の1階、柱には我々学会に来たものを歓迎する看板が大々的に掲げられていた。地域ぐるみであれ我を包み込んでくれるようである。そんな温かい気持ちに包まれ、記念にその看板を写真撮影していたら、ふと右後ろに見知った覇気を感じ取った。身の危険を覚え、振り返ったら、そこには僕の研究室のJAがスーツ姿で歩いているところだった。目が合ったので挨拶はしたが、反応はいつも通り薄い。おそらく、新幹線とJRを使ってたった今到着したというところだったのだろう。この一瞬で背筋に板氷ができた。世界は広くても世間は狭いと感じてしまった。それもそのはず、地方に知り合いが集約するのでエンカウントなど偶然と呼ぶには確率が高いのだろう。僕がりんごと一緒にいたことは認知していたのだろうか。どちらにしてもJAからすればどうでもいいのだろうが、翌日に発表があることを完全に思い出してしまった事案である。この駅は危ない。そもそも、駅に併設されているホテルには先行組の同期達が潜伏している。駅からはなるべく離れた方がいい。そう恐怖を抱いて、二人のそれぞれのホテルから離れすぎない方角で探すことにした。もちろん安全安心のチェーン店もいくつか点在しているが、そんな安らぎを求めにここまで来たわけではない。がっつり地方の特産品を食べる…のは至上命題ではあるが、お互い現実を見ているので、個人経営の店の中から選ぼうということにした。その店の味は、ある意味そこでしか食べられないものだからである。そうして金額帯を考えながら歩き回っていたら、そこそこ良心的なイタリアンを見つけたのでそこに入ることにした。ぎゅうぎゅうだったが2人分のカウンター席に座れたので良かった方だろう。周りのお客さんは原住民七日、それとも学会という言い訳を得た異星人(観光客)なのか。比較的年齢層が高めの人が多かったが、学会は学生だけでなく企業からも来ていることが多いので、雰囲気では推測がつかない。ここで気を貼っていても仕方がないのでお互いそれぞれ個人で食べることにした。ボンゴレビアンコは外せないので、まずはこれだ。それだけでは口寂しいのでタコのアヒージョも食らうことにした。タウリン摂取が大義名分だ。お酒は無理する必要もなかったが、ジントニックを飲むことにした。りんごはカルーアミルクにしていた。この夜は寝ずに発表練習をするため、カフェイン飲料という名のゴングを鳴らしたのである。注文する際、バケットは別売りだと聞かれたが、特段気にしていない意を述べた。実際に出てきたものは、ここまでの長旅をねぎらうには十分おいしいものであった。しかし、アヒージョはこのまま具だけ食べてももったいないということに気づいた。そういえば、家でアヒージョを作った時もバケットを書いたすためにわざわざスーパーまで走ったことを覚えている。情けないが追加注文することにした。一方、りんごはトマトとチーズのパスタにしていたようだった。僕の食べているものを見てうらやましくなったのか、あちらは牡蠣のアヒージョを追加注文していた。もちろんバケットもだ。明日に気合を入れるため、補給だと考えればこのような追加注文も恐くないだろう。こうして腹を満たすことができた。混雑していたのでお支払いは個別払いができなく、一括でりんごに払ってもらうことにした。2件目で調べておいたバーがあるけどそこで飲みに行かないか提案し、そこで僕が払えば釣り合うだろうという考えだ。もう発表練習などは何とでもなる。ここまで来てやりたいことをやり切れない方が悔やまれるので二人とも行くことにした。1件目からは少し歩くが、駅から離れるほど安全度が増すので万々歳だ。それに、二人のホテルのちょうど中間くらいの位置でもあるのが芸術的である。そのバーに勇気をもって入店した。内装は事前に見ていた写真と同じで、ボトルの並んだ橋は橙色の灯にともされ煌いていた。ここでもカウンターに座り、何を飲むか考えることにした。メニュー表は用意していないらしい。この時点で相当な覚悟を要することが確定した。金額はたいてい1000円から1500円くらいで見積もった方がいいのだろう。僕はお気に入りのグレンフィディックのロックを注文し、りんごはよくわからなさそうだったのでおすすめを聞いていた。徳島県産のすずかを使ったお酒がいいらしいのでそれを注文していた。ロックはきれいな丸氷、すずかはじゃきじゃきとフォークで身を崩して酸味を変えながら飲むというそれぞれおしゃれな1杯となった。やっと徳島らしいことができた気分である。自分がバイトしているバーと雰囲気は変わらないが、お客さん目線だとやはり緊張味のある落ち着きが感じられる。2つ隣に座るおじさんは常連さんだろうか。手慣れたの見方をしている。飲み終わったところで金額が気になり始めた。ここで切り上げた方が安全なのは誰が考えても間違いない。しかし、ここは旅先。もしかしたら今後に度と訪れることがないかもしれない。そう考えると自然に2杯目に移ってしまう。僕はめったにショートカクテルを頼まないのでギムレットを注文してみた。りんごはさっぱり系・1500円以内という条件で注文したらすだちのジントニックが出てきた。作る過程を見たら、ジントニックのジンはおそらくゴードンだろう。ここで飲んだものはどれもおいしかった。大人の遊びができて、いいものをゆっくりと味わえて満足したところで現実タイムだ。4000円とは言わなくても5000円くらいだろうなと思っていたら、なんとお会計は7100円だった。その金額をこっそりと見せてくるあたりが、謙虚なのか、それともこれが個々の世界だという誇示なのかわからなくさせるが、金額の申し訳なさはバイト中にもよく味わうので、特にリアクションせず支払うことにした。これが旅の初日だ。りんごが払ってくれた分よりも多くなってしまったので、差額分はコンビニで朝食を払って解決することになった。泣くんじゃない。これが世界なんだ。今気にすべきは財布じゃない。明日の発表なんだ。ホテルでは明日の計画を立て、早めに寝ることにした。

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