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遍路43日目 第八十八番大窪寺

2022年10月29日(土) 天気 晴

朝5寺半に目が覚める。
昨夜はかなり冷え込んだ様で、テントの外に出るとひんやりしている。

早速テントを撤収し簡単にパッキングして湯を沸かし朝ごはんにする。
暖かいコーンスープが身体を起こしてくれる。

最後の野宿場所となった産直市場 結願の郷

食べ終わって片付けていると、産直市場の準備に人が集まって来た。
週末祭日だけ開店する産直市場で、商品陳列前に1週間分の掃除をするのだそうだ。

「昨夜は寒かったろう、気温が5℃まで下がったからな〜」と言われたおじさんを見ると、昨夜望遠鏡博物館に見回りに来ていた人だった。
「はい、ちょっと冷えましたね。でも、とりあえず防寒対策はしていたのでよく寝れました」と答えると、
「それなら良かった。今日大窪寺へ行って終わりやろ。その後どうするの?」と聞かれたので、「大窪寺を打った後は鴨島に出て宿に1泊してから明日高野山に向かいます。」と回答する。
「そりゃ気をつけていきなぁ」と言われ、hotの缶コーヒーを買って接待してくれた。
朝の準備をしていたおじさんたちに礼を良い、6:53出発する。

ここから国道377線とその旧道の遍路道を歩いて行く。
道は少しずつ登っているが、今まで登って来た山々の道を考えると大した事はない。
が、流石に暑くなって来たので、上着は脱ぎ薄着になって歩いて行く。

8:01第八十八番大窪寺の山門に着く。

88番札所 大窪寺の山門

仁王門を抜け境内に入ると大師堂があった。
本堂と納経所はその奥だ。

88番札所 大窪寺本堂

荷物を下ろすのに、納経所の近くが良いのでもう少し歩いて境内の中に入る。
納経所の前のベンチに荷物を下ろし早速参拝する。
本堂の前に行きお札を納め般若心経を読む。
読み始めると胸が詰まり声が出ない
なんだか急にここまでの事が思い出され、四国の人達の温かいご接待や思いやりに、感謝の気持ちが溢れ涙が浮かんでくる。

最後まで歩き通した充実感と相まって涙が止まらない。
参拝者が少ない朝早い時間で良かった。
涙声で般若心経を唱え終わると、頭に巻いた手拭いで顔を拭きゆっくり大師堂に向かう。

大師堂でも般若心経をまともに読めず涙声になってしまったが、これで無事結願することが出来た。
最後に納経所に行き御朱印を頂き、金剛杖を奉納し納経所を出た。

奉納した杖を見ると、他の杖より遥かに短くなっているのが分かる。
毎日毎日杖をついている時は気が付かなかったが、こんなに削れていたんだなぁと改めて長い旅を実感した。

8:38荷物を背負い笠だけかぶり帰路に着く。
遍路を始めた時は杖に馴染めず、良く忘れて取りに帰る事が有ったが、今は逆に杖がないとなんだか違和感がある。
それだけ杖が身体の一部になって来ていた事を実感する。

広い境内を抜けると左右のお土産物屋さんが開店準備で忙しそうにしていた。
うどんでも食べて行こうかと思ったが、そのような雰囲気ではなかったのでその場を後にする。

門前のお土産物店

2日目に台風で足止めされた時にお世話になった宿を予約したので、そこに向け歩き始めた。
大窪寺から23kmなので、約6時間だが、チェックインが15:30からなので、休憩をとりながらゆっくり歩いていけば良い。

ここから鴨島の宿まではほぼ下り坂なので、むしろゆっくり足に負担をかけない様に歩いていかないといけない。
そう思いながら歩くが、右手に杖がないとなんだかリズムが変わってしまう。
左右の手を軽く振りながらリズムを作り軽快に歩いていく。

道端に牛が繋がれていた

道路沿いには「第十番切幡寺まで〇〇km」の表示が出てくる。
長い長い石段の上にあった切幡寺から十一番藤井寺にいく途中にある宿だ。
当然切幡寺より遠いのでこの表示を気にする事なく歩いていく。

こんなところにも大師の足跡が

昼飯時にファミマがあったのでイートインコーナーで昼食休憩をとる。
昼食後も、途中何度か休憩しながら歩いていくと、吉野川の土手沿いの道に出た。

あの橋を渡った所が今日の宿だ。と思いながら歩いていると、急に左側に止まっていたバイクのお兄ちゃんが「お疲れ様です。これお接待です。これから藤井寺ですか?」と乾燥バナナとナッツの入った容器を頂いた。

「いいえ、先ほど八十八番まで打ち終えたので、今日鴨島の宿に泊まり、明日高野山にいく予定なんです。」と答えた。
その若者も5月に歩きで88カ所回ったそうだが、高野山にはまだ行っていないらしく、「明日高野山ですか。羨ましいな。私は88カ所は回ったのですが、高野山には行けていないんです。近々行きたいと思っているんで、頑張って時間を作ります」と言っていた。
ありがたくお礼を言ってバイクを見送った。吉野川にかかる橋を渡り歩いて行くと今日予約した宿が見えて来た。
前回は台風前で大雨と風が強い日だったが、今日は天気も良く気持ちいい秋風がそよいでいる。

チェックインしようと宿に入るとスタッフの女性が、「結願おめでとうございます。お疲れ様でした。」と挨拶をしてくれ出迎えてくれた。
「ありがとうございます。またお世話になります。」と答え、チェックインする。

本日のお宿

今夜の予約は、男女混合の6人部屋には私1人だそうだ。
好きなベットを選んでください。と言われたので、前回と同じ場所を選び、早速シャワーを浴び洗濯をした。
夕食の時間までスタッフの女性と雑談しながら、先程頂いたバナナ&ナッツを食べながらまったりと時間を過ごす。

道路の向かいのコンビニに、夕食の弁当と明日の朝食を買いに行き18時頃に夕食を食べる。
今夜の宿泊客は、私以外に女性客が4人いるそうだ。
夕食を食べ終わった頃ギターを背負った女性客が入ってきた。
連泊の方らしい。一旦部屋に荷物を置き出かけて行った。

男女混合部屋には私一人

その後、バイクで一人旅していると言っていた女性がチェックインして来た。
彼女も荷物を置き、近くの温泉に行くと言いバイクで出かけた。
私は19時過ぎたので、後の2人を待つ事なく部屋に入り寝る事にした。
野宿を続けた事で、20時には寝る習慣がついてしまった様だ。


本日の歩行距離  29.6km(41,061歩)
お参りした札所  第八十八番大窪寺


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