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日本郵便「空き」を逆手に

日本郵便が「空き」を逆手にとって商機をつかもうとしている。郵便車のスペースで新鮮な農産品を地元の飲食店に届けたり、空き家を見守りしたりする。デジタル化の進展に伴って、郵便物の減少には歯止めがかかっていない。国内に1700以上ある全ての市町村に広がる配達網を生かして、地域のかゆいところに手が届く新たなサービスを磨くとのこと。

日本郵便は、郵便車の空きスペースを利用して新たなサービスを展開しています。具体的には、郵便車を使って地元の新鮮な農産品を飲食店に届ける「ぽすちょこ便」や、ネットで購入した商品を地域に届ける「おたがいマーケット」などです。この取り組みにより、郵便物の減少に伴う空きスペースを有効活用し、地域のニーズに応じたサービスを提供しています。また、空き家の見守りや高齢者訪問といった地域密着型のサービスも行い、地方創生を目指しています。これらの新サービスは郵便車の既存ルートを利用するため、運転手の増員は不要で、効率的に運営できるのが特徴です。

ぽすちょこ便

日経新聞の図引用

「ぽすちょこ便」は、日本郵便が提供する農産物配送サービスです。以下のような内容です:

1. **サービス内容**:
郵便車の空きスペースを利用して、地元の新鮮な農産品(野菜や果物)を飲食店などに届けます。

2. **配送の流れ**:
  - 地元農家などが収穫した農産品を郵便局に持ち込みます。
  - それらの農産品は、他の郵便物や荷物と一緒に郵便車に積まれます。
  - 配達ルート上にある飲食店などの受取場所まで届けられます。

3. **料金**:
1ケース(25キログラム以下)あたり約300円で、他の配送サービス(例えばゆうパック)に比べて安価です。

4. **利用方法**:
差出人はウェブサイトで配送日時とコースを予約し、郵便局に持ち込んで運賃を支払います。受取人は配送先の郵便局に出向き、商品を受け取ります。

5. **メリット**:
  - 郵便車の空きスペースを有効活用し、効率的に配送を行います。
  - 地元の新鮮な農産品を早く届けられ、地域の飲食店のニーズに応えます。

このサービスは既存の郵便配達網を利用するため、追加のリソースを必要とせず、効率的に運営できる点が特徴です。

おたがいマーケット

日経新聞の図引用

「おたがいマーケット」は、日本郵便が提供する配送サービスです。このサービスについて分かりやすく説明します:

1. **サービス内容**:
インターネットで購入した商品を、郵便車の空きスペースを利用して地域に届けるサービスです。

2. **配送の流れ**:
  - ユーザーはウェブサイトで商品を注文します。
  - 商品は郵便局に預けられ、郵便車の空きスペースに積まれます。
  - 商品は注文者の住む地域に配送されます。例えば、地方や山間部の村などに届けられます。

3. **料金**:
月額1650円で、生鮮品や冷凍食品も含めて何度でも注文可能です。

4. **利用方法**:
注文者は午後4時までにウェブサイトで商品を注文し、翌日夕方までに商品が地域の指定された施設(例えば交流施設など)に届きます。

5. **メリット**:
  - 遠くのスーパーに行かなくても、必要な商品が手に入ります。
  - 自家用車を持たない世帯や高齢者にとって便利です。
  - 地域住民は手軽に多様な商品を購入できるため、生活の質が向上します。

このサービスは、郵便車の空きスペースを有効活用することで、既存の配送インフラを効率的に利用しています。また、地方や過疎地域の買い物の不便さを解消することを目指しています。

空き家の見守りサービス

日経新聞の図引用

日本郵便の「空き家の見守りサービス」について、分かりやすく説明します:

1. **サービス内容**:
郵便局員が定期的に空き家を訪れ、その状態をチェックして報告するサービスです。

2. **チェック項目**:
  - 外壁や玄関の状態
  - 郵便受けの中身
  - 雑草や庭の状況
  - 室外機などの外部設備の状態

3. **作業内容**:
  - 郵便局員がタブレット端末で写真を撮り、コメントを付けて依頼者に報告します。
  - 必要に応じて、郵便受けの片付けや通水・通風作業も追加で対応します。

4. **利用方法**:
  - 依頼者はサービスを申し込み、定期的に郵便局員が空き家を訪問します。
  - 訪問後、状況報告がメールで送られます。

5. **料金**:
試行期間中の料金は1回980円で、一般的な同様のサービスに比べて1〜2割安いです。

6. **メリット**:
  - 遠方に住む空き家の所有者が安心して空き家を管理できます。
  - 地元の郵便局員が行うため、信頼性が高いです。
  - 小まめに状況を確認することで、大きな問題が発生する前に対応できます。

このサービスは、特に高齢者が施設に入所した後や遠方に住む家族が空き家を管理するのに便利で、全国の郵便局ネットワークを活用して提供されています。

日本郵便の事業環境

日経新聞の図引用

日本郵便の事業環境が厳しい理由を分かりやすく説明します:

1. **郵便物の減少**:
  - デジタル化の進展により、手紙や郵便物の利用が減少しています。
  - 2011年度には191億通あった郵便物が、2022年度には144億通まで減少しました。

2. **固定ルートの運行**:
  - 日本郵便は、過疎地を含む全ての地域に郵便を届ける義務があります。そのため、郵便物が減っても配達ルートは維持しなければなりません。
  - 配達物が少ないと効率が悪くなり、不採算のルートが増えます。

3. **コストの増加**:
  - 燃料代や人件費の上昇が経営を圧迫しています。
  - これらのコスト増は、利益率を低下させる要因となっています。

4. **競争の激化**:
  - 民間の物流・配送業者との競争が激しくなっています。
  - 宅配サービスの需要は増えていますが、競争により価格競争が激化し、収益性が低下しています。

5. **人口減少**:
  - 日本全体の人口が減少しており、特に地方では利用者が減少しています。
  - 人口減少により、郵便物や宅配物の需要も減少しています。

これらの要因が重なり、日本郵便は従来のビジネスモデルを維持するのが難しくなっているのです。そのため、郵便車の空きスペースを利用した新サービスなど、新たな収益源を模索しています。

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