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オムロン分析

前回の記事の感想で述べたように、半導体の次にくる産業を、ヘルステックと予想する。そこでこの分野の日本のリーダー的存在であるオムロンについて分析したいと思う。

オムロンはどんな会社?

オムロン株式会社は、1948年に設立された日本の大手電気機器メーカーで、京都府京都市に本社を置いています。センシング&コントロール技術を核に、産業向け制御機器やシステム、電子部品、ヘルスケア製品などを幅広く提供している企業です。特に産業用オートメーション機器に強みを持ち、家庭用電子血圧計では世界トップシェアを誇っています。オムロンは、東京証券取引所プライム上場企業であり、米国預託証券も上場しています。制御機器・ファクトリーオートメーション(FA)システム事業、健康医療機器・サービス事業、社会システム事業、電子部品事業、データソリューション事業を中心に事業を展開し、世界初の無接点近接スイッチを開発するなど、多数の革新的製品を世に送り出しています。

次に最近のニュースをいくつか取り上げる。

先進的な経営に限界も

この記事は、株式投資において企業業績を評価する際の注意点について語っています。具体例として、オムロンの業績悪化と株価の低迷を挙げ、これがいかに予期せぬ事態であるかを示しています。業績が好調なときには、その成功を永続的なものと見がちですが、実際には一時的な要因が大きいことが多いです。投資する際には、経営管理の有効性、市場環境の変化への対応力、そして特に技術企業の場合は業績の変動性に注意を払う必要があります。オムロンの事例から学ぶべきは、先進的な経営手法も変化する事業環境には限界があるということです。また、テクノロジー企業への投資は好奇心とリスクを楽しめる人に向いているが、慎重な投資が必要であると結論付けています。最後に、リスクを避けつつ資産を守るためには、長期的なインデックス投資や配当利回りが安定している企業への投資が良いとしています。

オランダの遠隔医療スタートアップを買収

オムロンがオランダの遠隔医療スタートアップ、ルーシーを買収したことを報じています。ルーシーは、心不全や脳梗塞などの患者が自宅で利用できる血圧や脈拍のデータを医療機関と共有するスマートフォンアプリを提供しており、オムロンはこの買収によって2027年3月期までに利用者を現在の2倍の6万人に増やす計画です。ルーシーはオランダで最も普及している遠隔医療システムで、オムロンヘルスケアが完全子会社化しました。オムロンヘルスケアは、米国や英国などで自社製の血圧計や心電図計を使った遠隔医療サービスを提供しており、この買収を通じてサービスの拡大を目指しています。

介護の必要性判断にICT活用

オムロンは2024年度から、少子高齢化による人手不足に直面している介護業界向けに、自治体にICT(情報通信技術)ツールを活用した介護支援事業を開始します。このツールは、自治体職員やケアマネジャーが高齢者の日常生活の困難を効率的に評価し、介護の必要性を判断するのを支援することを目的としています。オムロンはこのツールを導入することで、健康寿命を延伸させると共に、介護保険の利用者減少を通じて自治体の財政負担を軽減することを目指しています。2027年度までに100自治体への拡大を目標にしており、約20項目の日常生活場面に対応した質問を通じて高齢者の状態を詳細に把握し、適切な支援へとつなげることができます。

最近の業績

オムロンの業績悪化と株価の低迷は、主に中国市場でのビジネスの減速が影響しています。さらに、企業の内部では「顧客起点の薄れ」という根深い問題が指摘されており、これが業績悪化に繋がっている可能性が示唆されています。

2023年度の業績見通しを修正、純利益予想を前年度比98%減!の15億円に引き下げたとのこと。

財務諸表

楽天証券の図引用
楽天証券の図引用
楽天証券の図引用
楽天証券の図引用

オムロンの経営戦略

オムロンの経営戦略「Shaping the Future 2030」では、持続可能な社会を目指し、「人が活きるオートメーション」を通じて社会的課題を解決することに焦点を当てています。具体的な取り組みとして、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つの社会的課題を設定し、インダストリアルオートメーション、ヘルスケアソリューション、ソーシャルソリューション、デバイス&モジュールソリューションの4つのドメインで解決を目指しています。

参入障壁

オムロンの参入障壁としては、センシング&コントロール技術に関する深い専門知識と、これに基づく独自の製品開発が挙げられます。また、健康医療機器での世界トップシェアを誇るなど、特定分野におけるブランドの信頼性と市場支配力も強力な参入障壁となっています。加えて、長年にわたる研究開発と実績が生み出した豊富な特許ポートフォリオも、競合他社が容易に参入できない重要な要素です。これらの要素は、オムロンが持続的に成長し続ける基盤を形成しています。

筆者の所感

オムロンの株式は購入する価値があると考えます。理由として、財務状況が安定しており、自己資本比率が高く、有利子負債も少ない点が挙げられます。さらに、健康医療機器の分野で世界トップシェアを持ち、高い参入障壁が存在します。ヘルステック分野の成長が見込まれる中、オムロンはこのトレンドに適応できる位置にあります。短期的な株価の変動はあるかもしれませんが、長期保有には適していると思われます。

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