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StreamDeck持ってる人でも値段以外は乗り換えたくなる魅力的な製品(田村公宝)

ライブ配信部の管理人の木村さんが、メーカー代理店さんから協賛を得て、一部で話題になっているLoupedeckを試用させてもらえるというありがたい機会を用意してくれて、ラッキーなことに試用の機会に恵まれましたので、感想や体験をレポートさせて頂きます。

今まで、PCで映像系を扱う場合、古くはキーボードのショートカットを覚えたり、色付き専用キーボードなどという物を使ったりで、マウス操作より素早く瞬時に叩けるスイッチのような役割として色々な製品が出ては消えて行った感じでしたが、進化の方向としては、あくまでもキーボードショートカットを専用デバイスのボタンで確実に操作する事を念頭に考えられていたフシがありました。現在でも、それはPCでゲームをハードにプレイするゲーマーの間ではそういう方向の進化を遂げて、とにかく頑丈に確実にキーボードの代わりにガシガシと叩けるボタンとして定着していたり、マウスと合体しているような製品もあります。

また、動画編集を行う人の間では、編集装置に配置されているのと同じような、レスポンスが良く押しやすいボタンや、ジョグシャトルダイヤルが付いていることが重要でした。製品としてはもう10年以上経ちますが、ジョグシャトルダイヤルに、各種ショートカットキーをカスタマイズ可能な、Contour Shuttleなんて言う製品もありましたし、今だと質実剛健系だと、BlackMagicのDavinci用のSpeedEditorなんて言うコントローラーも有ります。簡易的な物としては、ショートカットキーがプログラム可能なプログラマブルテンキーという物が以前から出ていて、工夫して色々カスタマイズしてBlackMagicのスイッチャーの制御用に使ったりしている人もいました。

業務で日常的に使うレベルで、考えなくても、もう指先が覚えているレベルで使う場合は、今でもとても便利な存在ですが、どうしても難しい限界点として、スイッチを押す動作しか出来ないというのと、階層やレイヤーを切り替えて使うのが困難というのがあります。

元々キーボードショートカットの置き換えだったので、アプリケーション内の微妙なパラメーターの調整を行うような形状の操作部品が無いわけです。いい所ジョグシャトルダイヤルまでで、幾つものパラメーターを調整できる作りではないので、細かいパラメーターの調整というのは難しかった。

また、ボタンが足らない場合、ページを切り替えて別ページに切り替えて使いたいという欲求が出て来ますが、そうすると、表示とかが出たり切り替わったりするわけではないので、現在どのモード、どのページの操作状態になっているか確認することができなかったので、すると複雑な操作をたくさんボタンで行いたい場合は切り替えなしでズラッとキーがたくさん並ぶような事になったりする場合もあり、サイズが大きくなってしまう。それだったら組み合わせで押せるキーボードショートカットを覚えた方がいいじゃん。みたいな話になってしまいます。

この不満を打開したのが、一つはElgatoが発売したStreamDeckで、今までボタンと言ったら押したら色が変わる程度までしかできなかったのを、ボタン内部に小型有機ELディスプレイを内蔵して、色々なアイコン表示が出来るようになり、ページや階層なども作れて、ページを切り替えたらボタンの表示も切り替わるという、画期的な製品で、瞬時の判断で次々とボタンを押してアクションを実行して行くような配信現場では、サイズもコンパクトで、今やなくてはならない存在になっている人も多いと思います。

一方、Loupedeckの製品は、開発コンセプトが、Lightroomの細いパラメーターをマウスやキーボードでなく、細かい調整が出来るダイヤルが欲しいよね。という所から始まっていて、それが初代からの流れのLoupedeck+なわけですが、マウスやキーボードを使わず、深い階層の調整パラメーターを簡単に1発で調整可能という所が最大のウリになっていて、他の製品にはない大きな特徴です。

シンプルなダイヤル類がズラッと並んだLoupedeck+は調整機能に特化したタイプだったのですが、そこにLoupedeck LiveとLoupedeck CTというタイプも加わって、現在3種類のラインナップになっています。このラインナップは、松竹梅のような値段によって機能を削ったような物と違い、最適な使用方法がそれぞれ違うというラインナップになっていて、配信で便利に使いたいけど予算がないからLoupedeck+でいいか。という感じではないという事は念頭に置いておきましょう。

今回試用させて頂いたCTは、実は約2年前の2020年にデビューしていたのですが、クラウドファンディングで作った初代Loupedeckがヒットして会社化した、まだ新興企業だったせいか、日本では一部のマニアの間では知られていたけど、なかなか手に入れるのが難しい部類のガジェットでした。これが現在日本の代理店が付き、安心して入手できるようになって、結構ネット上でも使って見たという話題を多く聞くようになって来ています。販売価格は約500ドルなのですが、国内版は69800円となっており、円安なのと、日本でのサポート費用と考えると、まあ妥当な線かも知れません。その代わり、積極的に日本語化などは行われており、代理店が入ってくれているメリットは十分あるなと思いました。

さて、ここからがようやく試用レポートになりますが、まず箱を開けてみてビックリです。茶色の箱を開けると、その中にとても頑丈なカッコイイ黒い紙箱ケースが入っていて、梱包過剰気味だった頃の素敵なApple製品を思わせる豪華さで製品が入っています。現在持ち運び用にイケてる専用セミハードケースも販売しているのですが、この箱は捨てずに取っておきましょう。持ち運んだりする時に収納するのに十分な強度と耐久性があります。

大きさは箱のサイズと比べると、だいぶ薄くてコンパクトな感じ。ただし、6つのダイヤルが両脇に付いているので、適当に本体だけカバンに突っ込んで持ち歩くのは向いてなさそうです。サイズは、標準的なキーボードの横や、ノートPCの左隣に置いても邪魔にならないサイズ感です。これならノートPCと一緒にスタバで使っていても違和感はなく使えるでしょう。

今回の試用は、私はWindows10環境で行いましたが、全くトラブルや不具合はなく快適に使うことが出来ました。

接続はUSB Type-Cで、上側にコネクタが付いていますが、L字型コネクタのナイロン編みのなかなか上質な専用ケーブルが付属するので、とてもスッキリ接続できます。PC側もType-Cなのですが、標準的なType-Aに変換するアダプターも付属するので、接続できなくて困るという事はなさそうです。電源はPCからのバスパワーだけで動きます。USBを刺すと、セットアップ前は、時計やカラーピッカー表示等が出る、ジョグダイヤル中央部の液晶表示がLoupedeck社のトレードマークの下向いたパックマンみたいなマークが出て、接続完了の確認ができます。

そこからブラウザでWebサイトに行って、専用アプリをダウンロードします。するとアプリとドライバがインストールされて、初回起動時はチュートリアルが始まって、画面やボタンの説明が出て、実際にCTのボタンを押してチュートリアルを進めていきます。カンの良い人なら、これでどんなことが出来るのか、どんな感じで使うのか、ボタンや調整ノブの配置や切り替えはどうやるのかあたりまでは、何となく理解出来るかと言う気がします。

そして自動でファームウェアのアップデート通知も降ってきました。ハードウェアは初期型から変更はないようですが、ファームウェアのバージョンは大幅に上がっていて、積極的な改善や機能向上を頑張っている印象を受けました。

このCTは、Loupedeck+ほど細かい調整機能だけに特化したタイプではなく、画面を切り替えながら多彩なコントロールが出来るようにした、オールマイティータイプといった感じです。どちらかと言うと、ElgatoのStreamDeckにボタンだけじゃなく調整ノブまでつけた感じの印象ですが、決定的に違うのが、コンパクトに薄くするために、ストロークがあって押し込めるEL表示ボタンではなく、タッチパネルの1枚物の液晶に枠を張り付けて、その中を12個の表示が変わるボタン風なタッチパネルボタンになっている所です。

なので、この表示ボタンはカチッと押し込んだりは出来ません。それだとキチンと押せたかちょっと心配になってしまうという所までは考えられていて、バイブレーションでフィードバックが返ってくるようになっています。押すとぶるっとします。なので、バシッと叩くとか鋭く指先で刺すような押し方にはちょっと向いていないかも知れませんので、StreamDeckで慣れてしまっている人は別物と思って慣れた方がいいかも知れません。

この機種の大きな特徴としては、いきなり深い階層にある調整パラメーターをボタン一つで到達できてダイレクトに操作できる。また簡単にページ切り替えをして、別の操作レイヤーや階層を瞬時に切り替えられるのが最大の特徴です。Loupedeck Liveは、このCTの下半分がなくなった感じですが、動画編集のためのジョグダイヤルや、カラーピッカーを操作するような使用をするのではなく、切り替えとちょっとしたパラメーター調整を行うのをメインに使う場合だと、Liveの方がよりコンパクトでElgato StreamDeckライクに使えて便利で良いかも知れません。

ジョグダイヤルの表示部分あたりに結構コストがかかっているようなので、その機能が重要ではない、必要が無いという人は、Liveの方がだいぶコスト削減になるかも知れませんね。

ボタンの配置は、Windows標準使用状態のおすすめ配置の他にもAdobeの各種アプリにそれぞれ専用のプリセットがあったり、DAWソフトや配信用ソフトのプリセットが用意されています。

また、自分で一から作る事もできますし、用意されているプリセットを改造して保存していく事も出来ます。設定の仕方は、専用アプリ内に表示されているCT本体のボタン部分に、候補の中からドラックアンドドロップしてやるだけと、簡単に設定を行うことができます。

この時、標準状態だと、ちょっとしっくりこないなあと感じる事もあり、色々いじりたくなりますが、あまり把握できていないうちからイキナリ弄り回しちゃうと却って使いにくくなったりするので、最初はオススメ設定で使って見た方が良いかも知れません。また、詰め込まなくても、ページは幾つも増やせるので、簡単に切り替えて無理に詰め詰めモードにしない方が使いやすそうです。

今回は主にAdobeのPremiere Proで使って見たのですが、キーボードショートカット以上の、色をいじる系が、ボタン一つで一気に可能というのが便利でした。

最初使う時に、CTの方では既にPremiere用ボタンが表示されているのですが、設定の制御デバイスの項目から、新規追加でLoupedeckを選んで設定する必要があります。そうしないと、いくらボタンを押しても動いてくれません。

設定でダイナミックモードという項目があり、これを有効にしてやると、アプリを切り替えるとそれに合わせてボタンがそのアプリ用にスパッと切り替わります。

これは動画編集作業で複数のアプリを切り替えながら使う場合等では意識せずに使えるのでとても便利ですが、逆に、配信現場のオペレーションなどでは、ダイナミックモードをオフにして、バックグラウンドで動いているアプリを、切り替えずにショートカットコマンドでLoupedeckから直接制御する事も出来るので、ケースバイケースで切り替えて使うと便利でしょう。

配信用サポートデバイスとして使うのをメインに考えた場合だと、CTの下半分が無いLiveの方がよりコンパクトで価格も安く、でもStreamDeckで出来ることはほぼできる上に、ツマミの調整機能まで付いているので不満は出ないでしょう。

CTは、配信だけではなく、動画編集や音楽作成のような業務ジャンルで使う場合に威力を発揮してくれるのが狙いで、そのための機能が充実しているので、配信現場だけでなく常に自分が使うPCのお供として、左側に常備したい有能なガジェットという印象でした。

2022年2月17日
シーボーズ有限会社 代表 田村公宝


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