見出し画像

リアルタイムなコミュニケーションを必要とする様々な撮影現場に欠かせないワイヤレスインカム(松尾大加志/株式会社フェイス)

今回、ライブ配信部管理者の木村氏のご好意により、「Hollyland Solidcom C1(以下C1)」を試用させていただいたので、レポートをさせていただく。

弊社は、2010年にデザイン会社からスタートした会社で、現在では映像制作4割、イベント・ライブ配信4割、企画・デザイン制作1割、映像コンテンツレンタル1割の業務を行なっている。業務の中で以下の3つのシーンで試用できたのでレポートする。

  1. ドローン空撮業務

  2. V-CM撮影業務

  3. ライブ配信業務

現場での使用の前にC1の機材チェック。

まず機材を開封した時の印象が「軽い」だった。筐体がプラスチックなのでハードな現場ではどうかな?という印象も同時にあったがここは価格なりの素材感かなと思う。バッテリーは各インカムに2個ずつ。4機のタイプで専用のケースに入っている。一人では使えないので、いつも配信現場でお世話になっているK氏と弊社事務所周辺で使ってみた。

弊社事務所は重量鉄骨の倉庫の北の端2階に間借りしており、2階の床は以前農機具が保管されていたので厚さ数十センチのコンクリートという環境。まずは電源を入れ装着するとあっけなくリンクされ双方向に音声が聞こえる。驚いたのはその音質。ノイズ感はほとんど無く、相手の言葉の細かなニュアンスまではっきり聞こえる。高音や低音を強調することもなくとても素直な音で、これなら長時間聴いていても負担にならない。

まず一人は事務所内、もう一人は事務所の外へ出て一階に降り倉庫の南側まで移動。距離は約5〜60m程度。ここで通信が途切れた。途切れるまで音の品質は変わることは無かった。

全く見通せない場所で、コンクリートの床と鉄骨、倉庫内は様々な物品が積まれている環境を間に挟んでの電波の飛び具合は必要十分かなと感じた。

そしてテストをもう一つ。C1を使用したドローン運用の際の電波の干渉のテスト。C1は使用周波数帯が1.9GHz、ドローンが2.4GHzとまず干渉することは無いと思うが念のため。ドローンを起動しプロポと接続、iPadへの操作・映像伝送が確立している時に、至近距離にてC1を起動。結果は変な干渉もなく使用できた。

(1)ドローン撮影現場

弊社では機体にDJI Inspire2を使用している。
請負業務の場合、クライアントやディレクターに撮影中の映像を確認してもらう必要があるが、Inspire2はプロポをマスターとスレーブの2つ使用出来るため、スレーブ側から映像出力にて外部モニターに表示して確認して頂いている。

パイロットは飛行状況により外部モニター付近から離れないといけないことが多く(機体が常に見えていないといけない)、飛行中にディレクターやクライアントからの指示が聞こえにくくなることがある。

今回、C1をパイロットとディレクターそれぞれ装着してフライトを行った。Inspire2はフルスピードで飛ぶと時速70km/h以上に達するため撮影指示はリアルタイム性が求められる。C1はカタログスペックでは0.6秒の遅延とのことだが、聞き取り易い音質で、ニュアンスまで理解出来るので聞き返すことも無くとてもスムーズに意思疎通が出来た。

またパイロットは両手が塞がっており、常に機体とモニターの表示を追っているため、何も押さなくても常時通話できるというのは操縦を邪魔せず違和感無く使うことができた。

(2)V-CM撮影現場

弊社では年数回ではあるが、CM撮影をすることがある。
ローカル故、大きなバジェットが得られる撮影機会がほとんどなく、ディレクターと私の二人だけ作ってしまうことがほとんどなのだが、今回、ディレクター、制作、カメラマン、VE、照明、音声、スチル、BTS撮影、モデル、ヘアメイクという布陣のフルな撮影に携わることができた。

その香盤の中で、土手をモデルが自転車に乗っているのを車で並走して撮影するカットがあり、C1を使わせていただいた。

土手のモデル側には制作さん、車にはカメラマン、VE、ディレクター。この4名でC1を使用。車とモデルの距離は2〜30m。土手の上で制作がスタートとストップのタイミングをディレクターから受けてモデルに伝える。走る速度や表情、仕草など細かな指示がディレクターから制作を経由しモデルへ伝えられる。

C1があったおかげで、スタッフ全員が同じ会話を共有しているので、意思統一が早く、ディレクターからOKが出るまでのテイクが非常に少なく済んだ。

撮影後、興奮した制作さんが「C1が欲しい!」と言ってくれた。こういった現場では制作さんの精神的体力的な負担が非常に大きいものではあるが、その負担を大幅に減らせたことが良かったのでは無いだろうか。

(3)ライブ配信現場

(すみません、写真が撮れませんでした!)
高校の体育祭のオンライン配信の現場があったのでC1を使わせて頂いた。コロナ禍の影響で、保護者はオンラインで観戦するという内容だ。

グランドのトラックが一周200mほどの広さで、端から端まで約100mの距離。カメラ2台で場所を移動しながら撮影し、本部テント内からスイッチングと配信を行った。カメラ移動の際はケーブルを外して移動し再度接続する(←褒められた方法ではないが)。今回、カメラマンへの返しモニターや、タリーなどは無いのでC1を使わせて頂いた。

使用したのはスイッチャー、カメラマン2名、アシスタントの計4名。
当初カメラマンが持ち込んだENGカメラのアウトの信号がスイッチャーで認識されず、設営時間が無かったので急遽弊社のデジを投入。捨てカメラで使う予定で持ち込んでいたので電源運用で考えていたが、前日別現場で使用したため、充電されているバッテリーが少ないという綱渡り。

カメラマンはバッテリーが減るとすぐアシスタントを呼びバッテリー交換、そして充電を繰り返しなんとか対応。もちろんスイッチャーからはカット指示や、移動場所の指示などが常に飛んでいる。

体育祭なのでグランドのスピーカーからは大音量のBGMと実況中継が流れている。このような状況下でもスタッフ間の声が明瞭に聞こえるC1は、カメラマンのバッテリーが無くなるかもしれないという心的負担と、スイッチャーの意図したカットを得られるという点で大変寄与した。また、お弁当の手配とタイミングも少ない休憩時間にピッタリ合わせることができた(これとても重要)。

何かと細かなトラブルが発生しがちなライブ配信において、コミュニケーションがしっかり取れる状況は現場全体の安心感に多大なる影響を及ぼすと再認識した。

以上3つに現場でC1を使わせていただいた。

最後に

ローカルでは予算の無い現場がほとんどでその中にあってインカムの予算を見積もりに乗せることは難しい。こういった状況でC1を導入する方法は、仲間それぞれがが三機セットを持ち、スタッフの少ない現場は自分のC1を、スタッフが多い場合はそれぞれがC1を持ち寄って数を稼いで運用する方法ができないかなと考えている。

親機のインカムは使えないかもしれないが、子機が他の親機にリンクできればローカルならではの運用ができるのでは無いかと。この方法ができるかどうか教えていただきたい。

あと難しいと思うが、切なる要望として、三機セットの110,000円が100,000円を1円でも切る(消耗品として計上できる)ととても買い易い。
以上の二点、HolllyLandさんご検討いただきたい。

この度は貴重な試用機会をいただきありがとうございました。


ライブ配信部とは

「ライブ配信部」はFacebookで活動している、ライブ配信に関わる方々の交流や情報交換を目的としたコミュニティ。キャリアや立場を超えてノウハウを共有し合い、ライブ配信に取り組むすべての人が活躍の場を広げていくための学びの場を目指しています。気軽にご参加下さい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?