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なぜ労働法の最低基準がスタンダードなのか


人手不足と賃金上昇

ここ1年くらいから顕著ですね。
総人口減少、価値観の変化からがっつり働く人が減った上に世界情勢の変化で人を雇用するには採用から非常にコストをかけなければいけません。
資本力のある企業はベースアップなどにも対応できますが、中小企業はそうもいかないでしょう。

セールスマーケティングと近い考え方になりますがそこまでのお給料を補償できないのであれば会社の理念に共感してくれたり、そこで働くことの付加価値を付けることは必須です。
大体の企業さんでは福利厚生を導入することが多いです。そのまま経費になりますし。

そこを否定するわけじゃないですが他に付加価値ってつけれないものなのかなと考えています。その一つが「就業規則」。会社のルールです。

就業規則

「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。」

就業規則は前述の通り会社のルールをまとめたものになります。これに不備があると労働審判で不当解雇・賃金未払で負けたりするので改正法令や判例状況に合わせて変更していくことが労務管理上必須となります。
ただ、労働基準法に書かれていることの基準を満たさない条文は無効となり労働基準法が適用されます。
会社の規模や状態に合わせて作成するこのがベストであり、訳も分からず厚生労働省提供の基本フォーマットを使うと何か問題があった場合対処が難しい場合があります。
ここまではあくまで労務管理上の話です。業種や規模にもよりますがここをつき詰めていくと大体どこも書いていることが同じになります。基本フォーマットよりは高次元ですがそれはそれでフォーマット化されます。

ここで課題となるのは、みんな労働基準法の最低基準に合わせているので本質的な差別化に繋がりにくいということです。

労働基準法第1条

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

第1条にこんなことが書いてあります。第1条に書いてるということは非常に大事なんだよということを法律の作った方々は言いたいわけです。(そうですよね?)
②でははっきりと記載されている基準は最低のものと書かれています。これさえ満たせないの日本の商売を行う上でまずいということですね。さらに、事業を頑張って条件を向上させていってねと仰っております。

じゃあ実際はどうなのでしょうか。

最低基準で四苦八苦

有給を入社当時から10日付与できている会社さんはどれくらいいるでしょうか?
残業が発生した場合1.25倍じゃなくて1.30倍で手当を払っている会社さんはありますでしょうか?
恐らく法の基準でさえも守るのが難しいと考えている会社さんが多いと思います。わかります。厳しい情勢の中できるだけたくさん働いてもらい人件費もなるべく抑えたいのはよくわかります。
そんな中で労働法の範囲となる就業規則で付加価値を付けるにはどうすればいいでしょうか。

少しづつでも会社理念や働き方コンセプトに合った規則を

女性が働くことを応援する会社さんであれば
育児時間中や生理日のお休みを無給ではなく有給にしたり、

従業員さんの安定的な雇用を守る会社さんであれば
会社都合による休業手当の法令基準6割を8割に上げたり、

月に1回くらいどうしても深夜時間帯に業務を行ってもらわなければならない会社さんであれば
深夜残業手当0・25の上昇を0.50にしたり

労働条件を上げるということはどうしてもコスト上昇は避けられません。
ただ、なんとなく人事評価制度を導入したり、突発的な手当や福利厚生を与えるより長期的な目線で見れば従業員さんに対する会社さんのブランディングにもなり、付加価値・採用への訴求が見込まれると考えています。


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