短編小説2

部活も入ってない、趣味もない。刺激の欲しさに、自転車で静岡県を目指すことにした。といっても、南足柄市に住んでいるから、別にそんなに遠いいわけじゃない。思い立ったが吉日だ。最近買った15000円のクロスバイクと子供の頃から使っているヘルメットとともに旅に出た。
最初は順調だった。いつもわけもなく走る道だったからだ。しかし、知らない道に入った瞬間、坂が急になった。漕ぐのが大変だったが何とか登り切った。
しかし、そこを登り切った瞬間地獄が待っていた。すぐ隣をトラックが走り、コンクリートでできた橋は柵が低く、おまけに断崖絶壁なのだ。これはもう、死ねると思った。引き返そうにも引き返せなかった。引き返すには車がビュンビュン通る中、反対車線に行かなければいけないからだ。このまま逆走するにも怖すぎる。自転車が通っていいかもわからなくなった。
それはもういそいで漕いだ。まだ16だぞ。こんなところで死んでたまるか。もう静岡行く計画は止めだ。早くこの道を抜けておうちに帰ってやる。
しかし、どんだけ漕いでも歩道は見えない。不安になってきた。ここってもしかして自転車で通っちゃいけない道なのかもしれない。そう頭によぎった。トンネルには人が一人歩けるぐらいのスペースがあった。そこで私はgoogleMapを使って、自転車で行く場合どのような道を使うか調べた。どうやら、googleMapはこの道を推奨しているようだ。自転車で通っていい道らしい。
後はもう、歩道が見えるまで必死に漕ぐだけ。心臓がバクバクしてる。やがてコンビニと歩道が見えてきた。どうやら死なずにこれたようだ。ここはまだ、神奈川のようだ。命よりも大事なものはない。もうここで引き返そう。
でも、あの道は使いたくない。ドキドキしながら道を探した。山道であるが道があるようだ。私はその道を使ってゆっくり坂を下って行った。
いつも走っている公園に来た。お腹が減ったので、アイスを買った。公園の芝生の上で座りながらアイスを食べた。心臓を静ませながら、命の尊さを感じながらアイスを食べた。油断したのだろう。芝生の上にアイスを落としてしまった。アイスのてっぺんに草がトッピングされた。草。
アイスを落としことなんて、自分の命に代えればどうってことない。そう思いながら、草トッピングアイスを食べた。まずかった。自分が生きていることってなんて幸せなのだろう。今日もいい日だったな。

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