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恋と呼びたかった。

静かな校内。音楽室にだけ響く。
戦場のメリークリスマス。

なんとなく二人になった時間。
君の弾くピアノが聴きたくなって、なんでもいいから弾いてほしい。
そう雑なリクエストをして、ここに連れてきたわたし。
「私の好きな曲でもいい?」と応じてくれた君。

ここから卒業したら、私たちは少しだけ大人になる。
たかが、それだけなのに何かが変わることをはっきりと分かっていた。
きっと私たちは友達じゃ居られなくなる。
一緒に帰ることも、滑り台を交互に滑ることもない。ただの同級生。

だけど、君が知らないこの想いは、今日で終わりしないといけない。
この気持ちを抱えたまま制服を着るのは、"つらい"ことだと分かるから。
せめて、この曲が終わるまで。君が鍵盤蓋を降ろすまで。
気持ちを消せない変わりに、ここで終わらせるから。

窓の外、桜舞い散る青空、はしゃぐ同級生、写真を撮る親子。
もう少しだけ二人がいい。
どうか、このまま誰も気づかないで。
季節外れのサンタにお願いをした。 




幼い頃の私を認めてあげたくて書きました。
りた。


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