PEACE
私のクローゼットには、とっておきのアイテムが眠っている。
今日は久しぶりに、それを引っ張り出してきたわけだ。
いつもは可愛く決める私なんだけれど、たまにはこうやって恰好つけるんだ。
なんてったって今日は特別な日だからね。月に一度の楽しみ。
一駅先にある”Bar"には、かっこいい人たちが集まる。
なんだかよくわからないけれど、いい感じの音楽とバーカウンターに置かれているよくわからないお酒たち。
メニュー表の存在しないこのお店では、いつも誰かが頼んでいるものを知ったかぶりして頼むんだ。
当たりはずれはあるけれど、それでも私はこの人たちと同じ景色を見たいのだ。
今日はいつも気になっていた、カウンターの上に置かれている謎のカンカンに手を伸ばしてみる。
「あ、これタバコなんだ!」と少し驚いたけど、悟られてはダメだ。
少し奥のおじさんの真似をして火をつけてみる。
「苦いけど甘い、そして苦しい。。」だけど、それでも、格好つけたいからちゃんと吸いきる。そして二本目へと手を伸ばす。
少しくらくらしながら歩く帰り道。
「あのお酒はなんだっけ、あのたばこの銘柄は?」
忘れちゃったけど、まあいいや。
嗚呼、次は何を着ていこうかな。
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