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金融をおしえて

公民科の授業について、実践を通じて考えたことを述べています。

金融政策についてのニュースは、時々新聞記事のトップに載る。高校の政治経済の授業では、金融政策について理解させることが大きな目標の一つだ。新聞の一面に載るニュースを理解できるようにしたい。

2020年4月28日朝日新聞一面
 日本銀行は27日の金融政策決定会合で、追加の緩和策を決めた。新型コロナウイルスの影響で景気が悪くなるなか、企業の資金繰りなどを支えるねらい。政府が経済対策で国債を増発して金利が上がるのを抑えるため、「年80兆円をめど」としてきた事実上の国債の買い入れ上限をなくし、積極的に買う方針を示した。

しかし、面白くないとか、経済は苦手とか、重要ではないと言う先生たちは、金融政策についての授業を少なくしたり、教科書の字句をたどるだけで済まそうとする。

金融をしっかり教えてください。

金融政策を理解するには、英文法のように基礎知識を1つひとつを学んで、知識を組み合わせて使うことが求められる。使うつもりで教えることや使えるようにするという意識がないと、金融政策の単元にたどりついたときに、よくわからない金融用語の組み合わせを覚えるだけになる。

金融政策を理解するには経済の基礎知識をフル活用しなければならない。だから授業の大きな目標と言いたい。

基礎知識とは何か

増減や上下の変化がある関係をつかむこと
需要は価格が上昇すると、増える? 減る?
超過供給で生じるのは、価格の上昇? 下落?
インフレになるのはたいてい、好況? 不況?
デフレのときは、貨幣価値が増大する? 減少する?
通貨量の増大がもたらすのは、インフレ? デフレ?

用語を整理して覚えさせる授業では、こういった知識が身につかない。関係をつかむことが授業の中心である。語句の意味を覚えた上で、この場合どうなるか?を言えるようにならなければ、覚える意味がない。

覚えるだけで何とかなるのは、財政と税制
金融をしっかり学ばせるには教員の力が必要だ。整理して覚えさせることをメインにしている先生が、金融の単元が苦手な理由は、その方法が通用しないからだ。用語の整理が必要なところは、財政と税制の単元だ。きっと、経済分野が苦手な先生はここを詳しく扱うだろう。

用語の整理は公民科の専門知識がなくてもできる。関係性や変化をとらえることが難しい。関係や変化をわかりやすく教えることが公民科教員の仕事だ。語句の暗記のための授業をやめて、見方・考え方を学ぶことが大事だと、ずっと言われ続けているが、なかなか先生方はテストに出題しやすいという理由で暗記を求める。知識量で常に生徒に勝ちたい。知識を使う見方・考え方を教えるという活用は、生徒たちを自分と同じレベルにすることだ。勝つことではなく、同じにすることを喜びたい。知識を使えるようにすることは、量ではない。

つづく

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