見出し画像

カウントダウン「LEGEND GAME2024」#27 潮崎哲也編

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」(3月16日/ベルーナドーム)に出場するOBのプロフィールを紹介していきます。

潮崎 哲也(しおざき・てつや) 

投手 右投げ・右打ち 1968年11月26日生まれ
ライオンズ在籍:1990~2004年(選手)
        07~10、13~18年(コーチ、2軍監督) 
通算成績:523試合 82勝55敗 55セーブ 防御率3.16
背番号:16(90~04年)、86(07~10、13~18年)

「1度浮き上がってから落ちて、視界から消える」
「右のサイドスローから投げてくる、左投手のカーブみたいな軌道」
「まるでサッカーの無回転シュート」…。

従来シンカーと言えば、真っ直ぐの軌道からスッと打者の手前で沈ませて、内野ゴロを打たせる変化球。あるいは、左腕投手が投げる右打者の外側に逃げ落ちていく、いわゆる「スクリューボール」のイメージだった。そんな概念とかけ離れていたのが、「魔球」と称された潮崎哲也のシンカーだ。
 
徳島県立鳴門高の入学時はキャッチャーだったが、コントロールの良さと負けず嫌いの性格が買われて、2年春から投手に転向。エースがオーバースローの速球派だったため、監督から「相手の目先を変えたいから」と指示されて、サイドスローになるのだが、球は遅く球種も少ない。

そこで、落ちる球を覚えようと試行錯誤するなか「カーブと反対の握りで投げたら、カーブと反対の軌道のボールになるかも」との発想から、カーブと逆の縫い目に指をかけ、大きく広げた中指と薬指の間からボールを抜く。指関節の柔らかさを活かした、独特の投げ方に行き着いた。

松下電器に入社してからは球速も140㎞/h台にアップして、社会人野球を代表する投手へと成長する。88年には高卒2年目ながら、ソウル五輪の代表メンバーにも選ばれると、のちにライオンズでチームメイトになる石井丈裕、渡辺智男、鈴木哲らと、銀メダルを獲得する。

翌89年秋のドラフト会議では、野茂英雄に8球団の1位指名が重複するなか、ライオンズは潮崎を単独指名。一本釣りに成功する。

すると、1年目から期待に違わぬピッチングをみせ、7月5日オリックスブレーブス戦では、尾崎行雄(東映フライヤーズ)と並ぶ、新人タイ記録の8者連続奪三振を達成するなど、102 2/3イニングを投げて123奪三振。レギュラーシーズンと日本シリーズで、それぞれ胴上げ投手になっている。

そのピッチングで年季の入った野球ファンをうならせると同時に、童顔のルックスでアイドル的な人気も高かった。

翌91年には、初完投勝利を含めた二桁10勝。92年には初の二桁セーブと、試合状況に応じて、いまで言うセットアッパーとクローザーのどちらも担当しながら、谷間の先発もこなす。オールマイティな活躍で、パ・リーグ5連覇に大きく貢献した。

プロ1年目からの7年連続シーズン40試合登板は、ライオンズでは潮崎と増田達至(8年連続)の2人しかいない。

ヤクルトスワローズの野村克也監督が、同じサイドハンドの高津臣吾に対して「潮崎みたいなシンカーを覚えろ」と命じたのは、有名なエピソード。同じ68年生まれの潮崎と高津だが、現役時代のある日偶然、都内のやきとり店で居合わせ、野球ボール代わりのミカンに縫い目の線を書いて、握りや手首の角度など、シンカー談義で盛り上がったことがあったそうだ。(https://www.youtube.com/watch?v=qOjCZjuw5iw

97年には登板間隔を空けて、疲労を軽減する狙いもあって本格的に先発転向。5月18日の千葉ロッテマリーンズ戦では、8年目で初となる完封勝利で、通算50勝目をあげるなど、1年間ローテーションを守り、自身最多の12勝をマークする。

その一方で、石井貴、森慎二といった若手投手や、デニー友利、西崎幸広といった移籍組が、勝ちパターンのリリーフを任されるようになり、潮崎にセーブが付いたのは96年が最後となった。

99年、02年には、いずれも開幕4連勝するのだが、その後は白星が伸びず。伊東勤監督の就任1年目だった04年、自身のルーキーイヤー同様、チームが日本一になったなか、かつての胴上げ投手はプレーオフ、日本シリーズに登板することなく、14年間の現役生活に幕をおろした。

07年に、2軍投手コーチとして現場に復帰。その後は1軍ヘッドコーチや2軍監督を務め、次期1軍監督との新聞辞令が先行したこともあったが、現在はフロント編成グループのトップであるディレクター職に就いている。

今シーズンENEOSからドラフト7位で入団した糸川亮太は、潮崎に直接指導を受けたことで、シンカーが劇的に改善され、プロ入りへの道が拓けた。また21年にトミー・ジョン手術を受け、育成契約からの復活を目指す粟津凱士も、入団当初は潮崎ばりのシンカーが武器だと言われていた。

今回の「LEGEND GAME 2024」での、潮崎のマウンドに立つ姿が、”魔球再現”のヒントになってくれたら、面白いのだが…。

潮崎哲也 年度別成績

主なタイトルなど
 オールスター出場 (95年)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?