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Zero Project @ヒロシマ レポート

ーーー2018年10月13日。
私(井の中)は生まれて初めてヒロシマにやってきた。
話でしか聞いたことのない場所。
知識でしか知らない場所。
新幹線から降りた瞬間、ヒロシマは私にとって確かな実感を伴って私の中に入ってきた。

ーーー広島の市街地にはいり、旧日銀広島支店に到着する。
ここで私は2日間Zero Projectのワークショップに参加する。
建物の外観はベージュの石造りで、重厚な作りはかつての権威と栄光を今も残していた。

建物の中に入ると当時受付であったであろう場所があった。それに気づくよりも先に受付の衝立の奥に異様な造形物が展開されていることに気づく。薄暗い中でそこだけ光が当てられている。

ーーー回り込んで作品の近くまで行ってみる。
作品の説明文にはを読んでこの造形物が「幻爆」という作品であることを知る。

ワークショップは自己紹介から始まった。
本プロジェクト中心人物である西前拓氏、キャノンハーシー氏。
そして彼らの仲間に加え、社会人の方。東京・仙台・関西など様々な場所からやってきた学生。時に「幻爆」を観にきた広島市民の方々が入れ替わりながら、ワークショップは進んでいった。

1日目の最初は被曝体験を聞くことから始まった。証言記録映像や活字では決して伝わることのない、その場にいて体験した人間の口から発せられる言葉を同じ空間で聞くことは何度体験しても慣れることはない。
リアルの場で被曝証言を初めて聞いたという学生の方もいて、きっと各々にとって有意義な経験となっただろう。

1日目の午後は小関道幸氏のメディア講義から始まった。関西を中心に数々の映像作品のプロデュースを行い、今なお現役で活躍する氏が伝えたかったことは、「怒れ」ということなのではないかと私は感じた。辛い現状に甘んじることな。自分の頭で考え行動し、道を切り開け。
そう言われているように私は感じた。

トークセッション〜原爆とアート〜
午後2つ目のセッションは「幻爆」作者である藤元明氏を交えて、作品の感想と解説を聞くことから始まった。最初はボンヤリとした感想を述べるだけだったが、作者の解説を聞き、他の人の感想を聞くことで自分の意見も醸成された。しまいには、「このZero Projectの最終到達地点とは?」という議論にまで発展して、思想面・実装面ともに今後の活動の指針のようなものが各自の中に見つかったのではないだろうか。少なくとも私は見つかった。

その後、ニカラグア難民のヘンリークロス氏の講演や、映画配給を通して社会問題を一般に配信する試みを行うユナイテッドピープル代表の関根氏の講演を聞くなど、私のヒロシマ一日目は濃度の濃いものとなった。

ーーー二日目はウィリアムペリー元米国防長官とテレビ電話をつないで直接会話を交わすという機会を得た。
ペリー氏は「核なき世界」を目指して在職中、核兵器の削減に尽力し続けた人物である。
学生の中には国際法を学ぶ者もおり、かなり突っ込んだ質問や、素朴な疑問まで様々な疑問が投げかけられたが、ペリー氏はその全てに丁寧に答えていただいた。
私がこのペリー氏との会話を通して感じたことは、自分たちは今まで個々で核と平和について学んできた。それは、正しい知識を得るため。間違った知識に惑わされないようにするためだった。しかしこれからはみんなで学びあい、向上していくことが重要であるということだ。そのために何をすべきか。ビジョンをひとつたて、統一されたアプローチだけでなく、個々の才能を使うことが大事だと思った。

二日目の午後は、それぞれが議論したことを行動に移そうということになり、いくつかのグループでアートを制作することになった。
それぞれの作品や、感想などは今後も継続してInstagram
(https://www.instagram.com/1future_zeroproject/?hl=ja)に投稿していくので見ていただけたらと思う。

二日間を終えて

「考え、行動し続けること。」
2日間のワークショップの間でいつしか私が考えるようになったことだ。素晴らしい議論も実行されなければ机上の空論に終わる。少し難しいと思われること、できっこないと笑われる目標であっても、実際にやってみないとわからない。もう一つ大事なことは「シリアスになりすぎないこと」。シリアスになりすぎると日常から乖離し、日常からほど遠い話題はみな興味を失ってき継続して考えることは難しくなる。日常の生活の中にある考える機会、そこに焦点を向けることができればいいなと思った。

instagram→ 1future_zeroproject
https://www.instagram.com/1future_zeroproject/?hl=ja



fin.

written by 井の中秀政(https://note.mu/hidemasaseo)

#井の中秀政 #LINKgakuseijournal #広島 #ヒロシマ #zeroproject


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