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母乳のmiRNAが乳児をアレルギーから保護する可能性

母乳に含まれるマイクロリボ核酸(miRNA)がアレルギーの発症を減らすのに役立っているかもしれない、という米国ペンシルバニア州立医科大学からの研究報告。

「ヒトの母乳には約 1,000 種類の異なる miRNA があり、その組成は、体重、食事、遺伝学などの母親の特徴によって異なります」と筆頭著者のスティーブン・ヒックス准教授は述べている。「これらのmiRNAと特定のアレルギー状態との関係を示す以前の研究に基づいて、これらのmiRNAのうち4つが乳児アレルギーに対する保護効果を有する可能性があるという仮説を立てました。」

研究者らは、少なくとも 4 か月間の母乳育児を計画している 163 人の母親と、生後 12 か月までの乳児を追跡調査した。各赤ちゃんが母乳で育てられた期間を追跡し、授乳中 (0、4、16 週間) の各母親の母乳の miRNA 組成を測定した。報告された授乳パターンと母乳サンプル中の特定の miRNA の濃度に基づいて、乳児が消費する特定の miRNA の量を計算した。研究者らは、研究全体を通して、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘鳴について乳児を評価した。

調査した乳児のうち、41 人 (25%) がアトピー性皮膚炎を発症し、33 人 (20%) が食物アレルギーを発症し、10 人 (6%) が喘鳴を発症した。アトピーを発症しなかった乳児は、アトピーを発症した乳児よりも、母親の母乳に含まれる miRNA-375-3p (miR-375) を平均して多く摂取していたという。アトピーのある乳児とアトピーのない乳児の間で、母親の特性、乳児の特性、または環境への曝露に他の違いはなかった。研究者らはまた、この miRNA のレベルが授乳中に増加し、BMI が低い母親は miR-375 の濃度が高い傾向があることも発見した。

「授乳中にmiR-375含有量が増加したという事実は、持続的な母乳育児が特定の研究でアトピーの減少と関連している理由を説明するかもしれません」とヒックス准教授は言う。「ヒト miRNA を含まない粉ミルクとは対照的に、miR-375 は母乳サンプルの 99% 以上に存在し、母乳中の全 miRNA の 1% 弱を占めています。」

出典は『米国臨床栄養学雑誌


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