まゆ川

linen 改め まゆ川十胡(とおこ)です。小説を書きはじめて10数年経過。ここ最近に…

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linen 改め まゆ川十胡(とおこ)です。小説を書きはじめて10数年経過。ここ最近になって、noteなるものを知り(遅っ)、で、嬉々として配信続けております。 現OL、元個人事業主、元現場作業員 が身のコヤシとなって作品に活きてます(ほんとか?)。多分。

マガジン

  • fay ender 【第一章 異能の者】

    本格ファンタジー小説「第一章 異能の者」を収録。 生まれ落ちた時から逃亡生活を強いられてきた若者は、はたして何者なのか? 全5章からなる長編小説の第一章。 各章は随時配信予定。

  • fay ender 【第五章 宿命を終わらせる者】

    本格ファンタジー小説「第五章 宿命を終わらせる者」を収録 【目次】 5-1 覚醒 5-2 恋焦がれる① 5-2 恋焦がれる② 5-3 さだめの終わり

  • fay ender 【第四章 血の絆】

    本格ファンタジー小説【第四章 血の絆】を収録 【目次】 4-1 死のはざま① 4-1 死のはざま② 4-2 破戒僧 4-3 女伯の恋 4-4 滅びの淵

  • fay ender 【第三章 太古の記憶】

    本格ファンタジー小説「第三章 太古の記憶」を収録。 【目次】 3-1 ドワーフの方 3-2 期待という名の世迷い言① 3-2 期待という名の世迷い言② 3-3 怪鳥ラミア① 3-3 怪鳥ラミア② 3-4 狼の顎

  • fay ender 【第二章 力の発現】

    本格ファンタジー小説「fay ender 第二章 力の発現」各話を収録。 【目次】 2-1 地獄の一丁目① 2-1 地獄の一丁目② 2-2 炎の使い手① 2-2 炎の使い手② 2-3 再会① 2-3 再会② 2-4 崩壊の危機

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ペーパーバック出版しました。

2/11電子書籍出版「よろず富川呉服店」の紙書籍化。 ちょうど1か月後に実現した。 ↓それがこちら。 当初、ペーパーバック販売は想定していなかった。 いずれは…という程度で、まだだいぶ先のことになると考えていた。 その考えが急に180度変わった理由は……。 「紙の本じゃなきゃ読めないよ」 人づてから、ふとした折に伝わってきた要望。 ハッと気づいた。 うかつだった~(;^_^A まったく迂闊でした! 読書のスタイルは、人それぞれ。 年齢、環境、嗜好、当たり前だが状況

    • fay ender ㉚ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-3 さだめの終わり」

      第五章 宿命を終わらせる者5-3 さだめの終わり ( 前作 「 5-2 恋焦がれる② 」 のつづき  収穫の秋を迎えたが、被災直後のため、ベルウェスト市中も近隣の農村も静かであった。だが、庶民は為政者が考えているより、ずっと逞しかった。  祭りを催す余裕はなくても、町や村の再建に力を尽くし、少しでも自分たちの生活を元に戻そうと張り切る勢いは目を見張るものがあった。  市民は、災害によって平等に家財を失い、どん底に突き落とされた。 平常時は関わり合いにもならない希薄な人

      • fay ender ㉙ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-2 恋焦がれる②」

        第五章 宿命を終わらせる者5-2 恋焦がれる② ( 前作 「 5-2 恋焦がれる① 」 のつづく ) 「………今さら否定しても無意味であろう。だが、余はそなたも、そなたの母も、亡き者にしようと思ったことは一度もない」  今のフィオランには、目を覗きこむだけで、相手が頭の中に思い描く心象を読み取ることができる。  嘘をついているか否かはすでにわかっていることであったが、あえて王の口から聞き出したかった。 「そなたらの存在をこの国から抹殺せざるを得なかったのは、余の過失

        • fay ender ㉘ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-2 恋焦がれる①」

          第五章 宿命を終わらせる者5-2 恋焦がれる① ( 前作 「 5-1 覚醒 」 のつづき )    今朝、避難民と同行している各軍へ伝令を送った。 噴火終息の目処が立ってきたので、本国へ帰還するよう判断を下したのだ。  それによって国内の町村はもちろんのこと、遅くても明後日には市中にも民が戻るだろう。  ただ、すぐには日常生活を営むのは望めないほど街全体が損壊してしまっているので、暮らしを再び機能させるところから辛抱強く始めなけばならなかった。東方の大国ラダーンが元の生

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        ペーパーバック出版しました。

        • fay ender ㉚ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-3 さだめの終わり」

        • fay ender ㉙ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-2 恋焦がれる②」

        • fay ender ㉘ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-2 恋焦がれる①」

        マガジン

        • fay ender 【第一章 異能の者】
          8本
        • fay ender 【第五章 宿命を終わらせる者】
          4本
        • fay ender 【第四章 血の絆】
          5本
        • fay ender 【第三章 太古の記憶】
          6本
        • fay ender 【第二章 力の発現】
          7本
        • 幻想の世界へようこそ
          3本

        記事

          fay ender ㉗ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-1 覚醒】

          第五章 宿命を終わらせる者5-1 覚醒 ( 前作 「 第四章 血の絆 4-4 滅びの淵 」 のつづき ) 「陛下! 早くお逃げください! すでに避難の手筈は整っております。  さあ、お早く!」  髪を振り乱した侍従長が、必死の形相で王の身体に手をかけた。 低く呻き声が上がる。王を庇って床へ倒れ伏していたアーネスが、侍従長の手を払いのけた。 「待て、お怪我をされている」  ラムトン子爵が言うとおり、王は不運にも一部の天井が崩れた際に腰を負傷していた。 「陛下、どう

          fay ender ㉗ 【本格ファンタジー小説】第五章 宿命を終わらせる者「5-1 覚醒】

          fay ender ㉖ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-4 滅びの淵」

          第四章 血の絆4-4 滅びの淵 (前作 「 4-3 女伯の恋 」 のつづき )  ラダーンの王宮は王朝開闢以来、五百年の長きに亘って黒鳥宮と呼ばれ、世に名高い。  王宮自体が両翼を大きく広げた形となっており、宮殿内部の装飾をほとんどを黒曜石で造作しているため、この名がついた。  その左翼に当たる、王家の私的な居住空間となっている奥宮に王太子の居室がある。フィオランが療養している部屋とは目と鼻の先の近さであった。  エリサに支えられながら、白く光沢を放つ絨毯の上を歩いて

          fay ender ㉖ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-4 滅びの淵」

          fay ender ㉕ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆「4-3 女伯の恋」

          第四章 血の絆4-3 女伯の恋 (前作 「 4-2 破壊僧 」 のつづき )  次に目を覚ますと、若い女が枕元に付き添っていた。  貴婦人ともいうべき立派な身なりで、足のつま先から頭のてっぺんまで恐ろしく着飾っている。  薄い桃色の生地に細かな刺繍を施し、襟ぐりと袖にふんだんにレースをあしらったドレスは、その豊かな上半身の線を魅惑的に見せ、耳と首を飾る大粒の真珠が気品という効果を与えていた。  金髪を複雑に高く結い上げ、残った襟足の巻き毛を、大胆に開いた襟から量感豊かに

          fay ender ㉕ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆「4-3 女伯の恋」

          fay ender ㉔ 【本格ファンタジー小説】第4章 血の絆 「4-2 破戒僧」

          第四章 血の絆4-2 破戒僧 ( 前作 「4-1 死のはざま②」 のつづき )  塔の外れ、レンティアの大森林を西に臨む位置に祭壇が設けられた。  日没の赤い陽が、石畳や塔の外壁を血糊のように濃く染め上げている。  その夕暮れの強い日差しを受けて、影を落とす数人のシルエット。  今、そこでは異教の儀式が執り行われている。  知恵と創造の神を信奉し、崇めるダナー正教会。 その東方随一と謳われる聖なる塔が、目に見えない黒い染みに覆われていく。  辺り一画が立ち入り禁止とな

          fay ender ㉔ 【本格ファンタジー小説】第4章 血の絆 「4-2 破戒僧」

          fay ender ㉓ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-1 死のはざま②」

          第四章 血の絆4-1 死のはざま② (前作 「 4-1 死のはざま① 」 のつづき ) 「あなたを丁重にお連れするようにと言い付けておいたのだが、あれは何につけやりすぎるきらいがあるようだ。モーラの民はとみに矜持が高く、わたしでさえ時に持て余す。あなたに怪我を負わせたのはわたしの本意ではないと、どうか信じて頂きたい」  聖職者の身分を表すリガの印綬と呼ばれる円形の徽章に手を当て、ホスローは頭を下げた。  遠い西の領地に君臨する教皇に次ぐ地位を持つとされる東の大僧正が、

          fay ender ㉓ 【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-1 死のはざま②」

          fay ender ㉒【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-1 死のはざま①」 

          第四章 血の絆4-1 死のはざま① (前作 「 第三章 太古の記憶 3-4 狼の顎 」のつづき )    ちりんと金物が触れ合う音で目が覚めた。  水面へ急浮上するように意識が覚醒したものの、フィオランはしばらく前後の記憶を取り戻せず、ぼんやりと眼を彷徨わせた。  簡素な見慣れない室内だった。  見たこともない部屋だ。おまけに人がいる。その人物が、自分が寝かされている寝台から少し離れた飾り棚に、ちょうど茜色の容器を重そうに置いたところだった。  その人は真鍮と思われ

          fay ender ㉒【本格ファンタジー小説】第四章 血の絆 「4-1 死のはざま①」 

          fay ender ㉑【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-4 狼の顎」

          第三章 太古の記憶3-4 狼の顎 ( 前作 「 3-3 怪鳥ラミア② 」 のつづき )  翌朝、夜明けの刻を告げにやってきたオイスに起こされ、彼らは朝を迎えたことを知った。  フィオラン以外の三人は、こんな狭い穴倉にこれ以上長居はしたくないとばかりに、自ら率先して目隠しをし、素早く身支度をした。    蜂の巣のような迷路を先導するオイスは、一刻も早く彼らを追い出したがっているようだった。  恐らく人間を逗留させることに対して、姿を見せない他の仲間たちからの不満が抑えがた

          fay ender ㉑【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-4 狼の顎」

          fay ender ⑳【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-3 怪鳥ラミア②」

          第三章 太古の記憶3-3 怪鳥ラミア② ( 前作「 3-3 怪鳥ラミア① 」のつづき )  頭のてっぺんから湯気が出るほどの熱さだった。  桶の水を被ったくらいの汗が次から次へと吹き出し、頬が燃えるように熱い。身体も段々と痺れてきて、感覚がなくなってきた。 「いい加減、もう上がれ」  ヴィーは、ぬるま湯に浸かっているかのように、気持ちよさげに目を閉じたまま促したが、フィオランは口の端を吊り上げて虚勢を張った。  この女より先に湯から上がって服を着るのは嫌だった。  

          fay ender ⑳【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-3 怪鳥ラミア②」

          fay ender ⑲【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-3 怪鳥ラミア①」

          第三章 太古の記憶3-3 怪鳥ラミア① ( 前作 「 3-2 期待という名の世迷い言② 」 のつづき )    地底にいるので時間の流れがまるで掴めない。  オイスから食料と小さな毛布を受け取って、今が夜であることがわかった。  緞帳の隙間から、もう一つさっと布の塊を渡された。薄汚れてはいるが上等な生地だ。  見覚えがあると思いながらフィオランが布を広げると、隅で膝を抱えていたベヒルが叫び声をあげてすっ飛んできた。 「ぼ、僕の僧服…!」  手渡される前にフィオランの

          fay ender ⑲【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-3 怪鳥ラミア①」

          fay ender ⑱【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-2 期待という名の世迷い言②」

          第3章 太古の記憶3-2 期待という名の世迷い言② ( 前作 「 期待という名の世迷い言① 」 のつづき ) 「二十三年間もほったらかしにしておいて、今さら名乗り出られてもなあ。 当然肉親の情はこれっぽっちも湧かないし、息子としての義理も感じないし、別段会いたいとも思わないぜ? それが今頃やっきになって死んだも同然の俺を探し回るとは、都合がよすぎないか? どうしてもっと早く探してくれなかったかな、と不信感で一杯なんだがな」  視線をわずかに逸らした様子を見て、フィオラ

          fay ender ⑱【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-2 期待という名の世迷い言②」

          fay ender ⑰【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-2 期待という名の世迷い言①」

            第3章 太古の記憶  3-2 期待という名の世迷い言① (前作 「 3-1 ドワーフの王 」 のつづき )    オイスがいなくなってからフィオランはベヒルに駆け寄り、さっそく目隠しを取ってやった。  五日ぶりの再会に感激し合う仲ではないが、ベヒルは口をへの字に曲げて顔を背けた。 「す、すまない、フィオ。ぼ、僕があいつらに捕まったばっかりに……」 「連中に抵抗できるヤツの方が珍しいさ。それより何があった?」  いつになく優しく扱われ、ベヒルは涙腺が緩むのを堪

          fay ender ⑰【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-2 期待という名の世迷い言①」

          fay ender ⑯【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-1 ドワーフの王」

          第三章 太古の記憶3-1 ドワーフの王 (前作 「 第二章 力の発現 2-4 崩壊の危機 」 のつづき )  岩に押しつぶされた割には痛くない。  死とはこんな感覚か? 拍子抜けだなとフィオランは眼を開けた。  なんと、ヴィーを身体の下に組み敷いている。驚いて仰け反り、後頭部を思いきり強打した。  目の前に火花が散り、痛さに蹲る。  一体何に頭をぶつけたのかと背後を見上げ、絶句した。  見たこともないほどの巨大な岩盤が柱となって聳え立っていた。  やや斜めになった巨岩

          fay ender ⑯【本格ファンタジー小説】第三章 太古の記憶「3-1 ドワーフの王」