見出し画像

春の星々・ニ作|#140字小説

一作目


「今日はどうもありがとう。本当に来てくれるとは思わなかった」

「けっこう強引な約束だったけれど、約束は守る主義だから。それに楽しかったよ。こちらこそ、ありがとう」

ホームの片隅、星を見上げてそっと指を絡める。

「じゃあ、また明日」

電車に乗り、小さく手を振る私。

二作目

夫の実家から義父が亡くなったと電話がかかってきた。この間、お見舞いに行った時は元気そうだったのに…

約1週間分の宿泊荷物と一緒に、星空の下、家族を乗せた車は夫の故郷へひた走る。

夜明けの空に、虹が掛かっていた。

「おじいちゃんが天国に行くところだね」

息子がつぶやいた。


140字小説コンテスト『季節の星々』の『春の星々』に応募したものです。

今回の課題文字は『明』。

三作まで応募できるのですが、二作しかできませんでした。


#140字小説
#季節の星々
#春の星々

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?