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夏の星々|#140字小説

一作目

缶蹴りをした。鉄棒のそばに円を描き、空き缶を立てて、思いっきり遠くまで蹴り飛ばす。みんなは一斉に木立や滑り台の影に隠れる。鬼は缶を踏みながらみんなを探す。僕は紫陽花の陰から飛び出し、缶を蹴るのと鬼が僕の名前を呼ぶのがほぼ同時。みんなで缶蹴り成功か否か話し合ううちに、日が暮れた。


二作目

アイツの名前とバカの文字を並べて書いた紙を、一度ぐちゃぐちゃに丸め、今度は伸ばして畳んで紙飛行機にした。うん、けっこう飛びそう。校舎の屋上に登った。もう講義の時間は過ぎて、空には星も出ている。「遠くまで飛んでけ!」思いっきり投げたら、本当に夜空へ吸い込まれていった。


140字小説コンテスト『季節の星々』の『夏の星々』に応募したものです。

今回の課題文字は『遠』。

三作まで応募できるのですが、二作しかできませんでした。

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