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西多摩衛生組合環境センターを視察

令和4年9月定例会の一般質問「災害時における災害廃棄物の処理等について」の中で取り上げている西多摩衛生組合環境センターを視察しました。

 西多摩衛生組合環境センターは、青梅市、福生市、羽村市及び瑞線町の住民生活を支える重要な一般廃棄物処理施設(清掃工場)です。

※西多摩衛生組合の概要についてはこちらをご覧ください。


平成24年に「西多摩衛生組合環境センタ―長寿命化計画」が策定され、諸事業が推進される中で、今後の20年を見据えた取組みが行われています。

今後の組合運営の方向性に基づく事業計画

 今後の20年の施設運営を検討する中で、事業内容や清掃工場の新たな社会的役割(防災機能・環境対策の強化等)や構成市町の環境施策を情報発信し、清掃工場の重要性と廃棄物行政への市民の理解を促し「環境にやさしく安全で地域と協働する清掃工場」として、地域住民等の更なる理解と協力を確保していくといった方向性が打出され今後の「組合運営の方向性」に基づく事業計画が体系化されました。

 「組合運営の方向性」では更に①地域住民等の理解と協力、②環境センターの延命・強靭化対策、③フレッシュランド西多摩の維持・改修対策、④災害対策の強化と新たな価値の創出など4つの活動方針が示されました。

4つの活動方針



西多摩衛生組合環境センター環境学習拠点整備(見学者コース更新)事業

見学者コースのパネル

 この活動方針のうち、①の具体策として「令和3年度西多摩衛生組合センター環境学習拠点(見学者コース更新)整備事業」が決定され、令和4年6月1日にリニューアルオープンした。今回の視察では職員さんから、この見学者コースについて丁寧な説明を受けました。
 コースの整備は、外部発注するのではなく、組合職員によるワーキンググループがコンセプト、展示ストーリー、ゾーニングを考案し、小学校低学年から高齢者及び障害者等、多様な来館者に対応できるコースの整備を自ら行ったとのことでした。

職員が作成した見学者コース内の展示物


「西多摩衛生組合のあゆみ」「環境センターの新たな役割と取り組み」「ゴミの種類と分別・3R」などその他多くのパネル展示がなされていました。


 職員の話によると小学校4年生の社会科見学では、主に6月、10月に見学が行われ通常では1500名の児童が来所するとのことです。

可動式蓄電池を活用したクリーンエネルギーの地域還元事業

 また平成30年度から令和元年度に実施された電設備改良工事は、長寿命化計画により施設を延命していく中で、環境センターの強靭化、防災拠点化を推進するもの。主に活動方針の③④に係る事業として、災害・停電発生時における環境センター場内の予備電源の確保のほか、「移動式蓄電池」の特性を生かした指定避難所などへの電力提供・電力還元への取組みとして次の(1)(2)(3)が進められました。

(1)自家用発電機の出力増強(1,980kW-2,370kW)
 無駄なく利用することを目的に、既存の蒸気タービン発電機の発電能力が1.980kWから2,370kwに増強しました。これにより焼却炉2炉稼働時は環境センター場内の電力を全て賄い、余剰電力は送電(売電)することが可能となった。

(2)移動式蓄電設備の新設
 増強した自家用発電による電力の一部を、蓄電設備に蓄えることにより、非常時(停電時等)の電力源として活用。具体的には、非常時(停電時)における通信機器類の電源や照明用電源等に蓄電池を利用し、災害発生時の施設の強靭化・防災機能の強化を図る。また、蓄電設備に移動式蓄電池を採用することで、場内での電力使用だけではなく、近隣の指定避難所等への搬送も可能となり、非常時における携帯端末等の充電用電源としての活用も見込まれており、現在は構成市町の図書館で充電サービスが提供されている。

移動式蓄電池

(3)太陽光発電設備の新設
 非常時(停電時)における環境センターの稼働停止に備え、通信機器や照明器具に最低限必要となる電力を確保するために導入した設備。定常時には、太陽光発電による電力は移動式蓄電池に充電するほか、環境センター場内の電力として使用することができる。

所感

 廃棄物処理施設は、地域における循環型社会形成の推進やエネルギーセンター、さらには災害対策等の拠点となるインフラとして、新たな社会的役割が期待されおり、新たな社会的役割を担える施設への転換が求められている。従来のいわゆる迷惑施設から、市民に求められる、地域に価値を創出する社会インフラとして存在し続けるためには、市民の理解を前提に地域と共にある施設としてハードとソフトの両面での革新をし続けていかなければならない。
 今回、研修の中で力点が置かれた「見学コース更新」及び「移動式蓄電設備の新設」はこれに資する取組みであり、職員自らの創意・工夫と熱意が込められている。特に見学者コースのリニューアルでは、これまでの事業をどのように捉え、未来に向け、市民にどの様に伝えていくか、深い考察と試行錯誤があったものと考える。
 新たな環境都市を形成するために必要なのは、持続可能な社会への市民と行政の深い理解と熱意、そして行動であると改めて感じた。今回の視察を持続可能な地域づくり、まちづくりを強く推しめるための礎の一つにしていきたい。


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