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日本語教師の資格を取って勉強とコミュニケーションが上手になった話…で終わらなかった

2023年のクリスマスプレゼントはこれだ。

日本語教育能力検定試験の合格証書

サンタクロースは10月22日の自分である。

これから国家資格になって試験がどう変わるのか知らないが、私はいろいろな分野をつまみ食いするような感覚で試験勉強ができた。
普段使う日本語そのものやその周辺知識、言語一般に関する知識が増えて、身の回りの物事をより楽しむことができるようになった気がする。

だが特によかったと思うのは、日本語を教えるための勉強をしたことで、自分も語学や他の勉強と日本語でのコミュニケーションが上手になったことである。

根底の仕組みを理解

たとえば、国際音声記号(IPA)や調音について学んだことで、今までカタカナで処理できず「:"$#!(+@>」のように聞こえていたフランス語を、自分で声に出せるようになった。
もしまた新たな言語を学ぶことになり、日本語にない音に出会っても、同じように音が作られるメカニズムを理解して再現できると思う。
また、練習問題のミステイクとエラーを区別して復習できたり、言語類型論で大前提となる法則を知って文法理解の一助となったりしている。
他にも、動機付けや学習ストラテジーについての知識は、自分に合った学習の継続方法や暗記方法の工夫、ひいては自分をコントロールするのに役立っている。

ノリではないコミュニケーション

日常のコミュニケーションに関しても、会話の公理に反する発言を避けたり逆に会話の含意で皮肉やユーモアを込めたり、ポライトネスや話者交代を意識して会話したりと、能力が高まったと思う。頑張れば、会話の中でロジカルに面白さを生み出せるかもしれない(これはつまらない人間の発想だろうか)。
メールを書くときには、修飾語の位置を意識して読みやすく誤解のないようにできるし、余計な「させていただく」を使用せずにスマートに敬意を表せるようになった。

もちろん、研究者のように日本語に詳しくなったわけではなく、完璧な日本語など書けないし話せない。
それでも、日常を楽しくするには十分な知識を得ることができた。その気になったら深めていきたいと思う。

受験の理由

ところで、私は日本語教師で食べていく気は特にない。ではなぜ資格を取ったかというと、いつか多文化共生(ひょっとしてここでは社会的統合という方が適切だろうか)政策に携わるにあたり、現場を知りたいと思ったからだ。

大学時代、日本で暮らす外国籍の方や来日前の留学生と日本語の会話練習をしていたことがある。現在もいわばボランティアのような形で、日本に来て日が浅い人に対し、オンラインで日本語学習のサポートをしている。
これらを通じて感じたのは、生活場面で役立つ実践的な日本語を優先して教える必要があるということだ。もちろんクールジャパンのような文化も素敵だと思ってもらえたら嬉しいが、生活するにあたっては、お金の数え方、公共交通機関でのICカードの使い方、コンビニでの袋の断り方などの方が重要である。とはいえ、表現だけではなく文法も身につけないと応用がきかない。語彙も学習目的によってアレンジが必要だろう。
資格を取ったところですぐに上手に教えられるようにはならないが、日本語学習を通じて、文化、社会、礼儀作法など、生活全般を応援したいと思う。

概念ではなく具体的な人物の話をする時にこの言葉は使いたくないが、あえて書くと、場合によっては「難民」とカテゴライズされる人たちにも日本語学習のサポートをしてきた。彼らは必ずしももともと日本が好きで来日したとは限らない。
私は将来、そのような人たちも日本で自分の人生を切り開けるような社会をつくりたい。今できることは、この資格をどうにか活用して、実際に人々と関わることだと考えている。


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