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シンクロニシティ

鹿児島土産を持って友人Kを訪ねた。

庭の雪柳の白が美しく咲いている昼日中。

Kは弁護士の妻であり才女。
何を話していても面白く
私たちは馬が合う。

先日Kは豪華客船の旅に出たそうだ。
乗客2300人中、日本人はKだけだったそう。
船内は映画、ショータイム、プール、
ライブ、食べ放題、飲み放題、図書室
バルコニー付きのテラスのある部屋。
煌めくドレスの方々。
あらゆる人種の英語に揉まれながら
日本から沖縄を経由して仁川へ
10日間の旅だったと。
一番良かったのは奄美大島だったと
教えてくれた。ゆっくり10日間ほど滞在しても良いほど、見どころがあり、魚も美味しくて素晴らしい場所だと熱弁してくれた。
出航する時に地方都市では和太鼓やチアリーディングで見送ってくれるらしいのだが
奄美大島では、なんだかわからない踊りとおばちゃまのアナウンス。
そのおばちゃまのMCがすごい勢いなんだとか。
Kが笑い出して話にならない。
動画を見せてくれた。
おばちゃまが大声で
『まだ出航しないみたいですね!それでは
もう一度踊りましょう!』

 『Keep On〜!!!』

と叫んだ動画を観て
もう少しでコーヒーを吹き出すところだった。
なんでそこだけ英語なの?
ツッコミましたとも。
それからわたしたちはKeep Onで
笑い続けた。

それから
またK入院中の話しになり
『万が一のことを考え、手術までに人工弁にするか生体弁にするかを選んでおいてください。』
と言われ手術当日に、
『どちらにするか決めましたか?』
と、ドクターがやってきた。
『実はまだ迷っているのです。』
と答えたら
30歳そこそこのドクターが
『そうですね、私の母でしたら〜』
と言ったそう。

・・・

Kの頭の中は母?
母って?
母って言った???
30歳が私を母って?
入院するにあたり、Kはドクターたちに
良くしてもらえるようにと、とても素敵なコケティッシュな髪型にして頑張ったのに、30歳に母と言われたことに大層ショックを受けていた。

Kのために言っておきたいが
Kは相当な美女である。
そのあとふたりで微妙な気持ちになったのは言うまでもない。

帰り際にKが
『ねぇ、船の旅で奄美大島に一緒に行こうよ。』
と言った。

奄美大島への誘いに即答出来ずにいると

Keep on〜!!!とKが叫んだ。

私たちはまた大笑いした。
そして
わたしは
Kの家を後にした。

奄美大島へ行く予定だったのだけれど
今後、船旅もたくさんするつもりだったけど
どっちもダメになったばかり。
そんな時にジャングルも海も嫌いな友から
奄美大島や、船旅の充実感を語られて、
なんだろう今日の日は。
これがシンクロニシティなのかな。

友の存在に救われることがたくさんあると
夕日に濃い色となった桜を眺めながら
家に帰った。

#シンクロニシティ


















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