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思いがけない出来事をもたらしてくれたのは・・・。

能面であるものをつくってみました。
何かわかりますか?


能面には「創作面」というジャンルがあります。
まず、昔に作られた面を「古面(こめん)」・「本面(ほんめん)」と呼び、それを模倣した「写し」をつくるという一つの主流の考え方があります。
それに対し「写し」ではなく、新たにデザインして作ったものを「創作面」と呼びならわしています。

なので、これは創作面というジャンルのものになります。
2020年制作の作品です、といえばピンとくる方もいるかもしれませんね。


正解は、コチラです!


(左)『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
Photograph courtesy of the Main Library, Kyoto University - Amabie
(右)アマビエ面『AMABIE』  麻生りり子作


アマビエ面
です。

コロナ禍で疫病退散の妖怪として「アマビエ」が話題となった時に、私も能面で制作してみました。

【特徴】

アマビエの特徴として、菱形の目、とがった口、ヒレなどがあります。
菱形の目を表現するのに、ラピスラズリを上瞼と下瞼の菱形の頂点となる位置に埋め込みました。ラピスラズリには厄除けの意味があるので、その意味合いも含めてラピスラズリを用いました。

能面の要素としては、眼球の色を特徴としてあげます。
能面の中には、金色の眼をしたものがあります。それは、生きた人間ではない、人間を超越した存在であることを意味しています。神や鬼、死者の怨霊などの面の場合、目を金色にします。なので、妖怪であるアマビエの目も金色に塗りました。

【効能】

アマビエは、災厄を予言する、疫病退散の御利益がある、などと言われています。


このアマビエ面は、私に思わぬ出来事を運んできてくれました。

2020年に京都、2021年に東京の能面展に出展したのですが、その際にアマビエ面に注目していただき話題になったおかげで、ラジオ番組やポッドキャストに出演させていただきました。新聞でも少し触れていただきました。

それから、「能とアマビエ」を研究している兵庫県立大学の准教授キャサリン先生から協力依頼をいただき、論文に協力させていただきました。その際には、アニメ的な色遣いであり、尚且つ未来的ですらある、と評していただきました。こちらの論文は、ロマニアの大学に所蔵されるそうです。私にとっても貴重な経験となりました。


アルカイックスマイルで、菩薩のような慈愛に満ちた表情もします。

2022年11月15日からの東京八重洲でも展示いたします。
どうぞ、実物を見に来ていただければと思います。





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