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人は、なぜモノが出来上がっていく様子に見入ってしまうのか。

『プロセスX』という、ものづくりの工程を取材して動画にしているYouTubeチャンネルがある。先日、師匠のもとに依頼が来て、その取材撮影に協力する運びとなった。

アップされて2週間ほどで、すでに再生回数200万回を超えている。その動画がこちらです。

4月上旬に池袋の東京芸術劇場で開催した能面展でもこの動画を流したのだが、皆さん立ち止まって動かなくなる。15分ほどの動画だが、見始めると途中で立ち去ることなく、皆さん最後まで画面を見つめている。

もちろん見てほしくて動画を設置したわけだが、あまりに動かないので順路をふさいでしまい、途中で設置場所を変更したほどだ。

そして、見終わると、また展示してある能面を改めて鑑賞しにいかれる。完成品の能面を見ただけでは得られなかった感動を覚えてくれるようだ。人間の手が、ただの四角い材木からこのように繊細な作品を生み出す。作り上げていく様子と、その結果出来上がったものの両方に魅了される。

YouTubeのコメント欄を見ると海外からの反響も多く、日本文化の匠の技を知ってもらういいきっかけとなっているようで、我々としても大変嬉しく思っている。

一言付け加えておくなら、師匠と「この動画を見ると、まるで一日であっという間にできるように見えるね」と苦笑いしている。この動画の撮影を一日で行うというので、各工程の途中途中まで作成したものをいくつも準備して撮影に臨んでいるのだ。実際には、残念ながらこんな魔法のようにあっという間には出来上がらないのである。

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