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購入者から作り手になった日

ハンドメイドの作品を初めて購入したのは大学生のとき。「ハンドメイドの雑貨市」というものが地元でもよく開かれていた。

よく買っていたのはポストカード。季節の変わり目にはなぜか手紙を書きたくなるので、ストックはどれだけあっても良かったのだ。

ポストカードの相場は1枚あたり150円。気軽に買える金額だったのもある。

可愛らしいイラスト、綺麗な色使い。手に取って眺めるだけでワクワクした。


あれから10年が経った今。子育てに追われ、ハンドメイドの雑貨市には行けなくなった。

そんな折、ネットでもハンドメイド作品が購入できることを知った。minneやCreemaなどがそれ。全国の作家さんの作品が購入できる。

ポストカードはもちろん、アクセサリーや食品まで。いろんなものが売られている。

学生のころみたいに、私の心は踊った。「こんな可愛いのがある!」「こっちも素敵だ!」見ているだけでワクワクした。

実際にいくつか購入もした。

丁寧に梱包された作品からは作家さんの思いが感じとれた。

ハンドメイド作品には「こだわり」とか「優しさ」がよく見える。なぜかほっこり、温かい気持ちになれる。それが好きで、私は買っているんだろうと思う。

作家さんってすごいなぁと思う。手先が器用な人が多いし、デザインのセンスもある。「こだわり」を持って自分の作品を作っているのだし。

そう、私はあくまで「買う側」そう思っていた。

二人目の育児休暇。ふと、今しか時間はないかも…と気付いた。気付いたら行動あるのみ!と思い、やりたいことを片っ端からやった。

その一つがLINEスタンプの作成。夫がなぜかペンタブを所有しており、パソコンにはお絵かきソフトもインストールされていた。

これはやるしかないだろう。そうしてやってみると意外にめんどくさいのだが、結構楽しかった。

なにより「こんなこともできるんだ、私」と気付けたのが大きかった。

絵を描くことは昔から好きだった。といっても、美術部でもないし、デザインの勉強をしたこともないので、そりゃあ、「絵を描くことが得意です!」なんて言えたレベルではないことは知っている。でも、描くのは好きだった。

・・・もしかして、ハンドメイド作家になれるのでは。

ポストカードを作って、ハンドメイドサイトで売ってみたい」夫にそう相談してみた。夫は、「いいんじゃない」と言ってくれた。

背中を押された私は、さっそく作業に取り掛かった。

まずは鉛筆で紙に下絵を描く。次にお絵かきソフトを使ってペンタブで絵を描いていく。描いた絵をCanvaにアップロードしてデザインを考える。

季節のポストカードや誕生日に使えるポストカードなどを作った。

minneとCreemaにそれぞれ登録して、作品を挙げた。

作品を挙げるまでもいろいろ苦労したが、挙げてしまえばあとは野となれ山となれ、で、「売れたら嬉しいなぁ」くらいの気持ちでいた。

初めて「お気に入り」に登録されたときはそれはもう驚いた。

わ、私の描いたものを気に入ってくれる人がいるのか!!!」ってな感じである。嬉しくて嬉しくて、すぐに夫に報告した。(夫にはわたしのすべてを報告・相談している。報連相ですね。)

そのうち少しずつ「お気に入り登録」されるものの、購入には至らなかった。まぁ、世の中はそんなに甘くないよね、と思っていた。

でも、継続は力なりというし、なにより「ポストカードを作っている、ハンドメイド作家の私」が好きだったので、細々と続けていくことにした。

そんなある日。Creemaからメールが届いた。

件名)購入のご連絡:発送を行ってください

目が点になった。一瞬、なにが起きたかわからなかった。

ドキドキしながらメールを開くと、「作品が購入されているから、購入者様に発送してね!」という内容だった。

はやる気持ちを抑え、まずは購入者様にメッセージを送り、依頼された枚数のポストカードを用意した。

作家さんから作品が届いた際、手書きのメッセージが入っているととても嬉しかったので、私も書いた。

宛名を書く手が震えて、封筒を2枚もダメにした。なんとか準備ができたので、ポストに投函した。

何日か経って、購入者様から受け取りのコメントが届いた。

思っていた通り、すごく可愛いカードでした。どちらも可愛いので、先にどちらを使うか迷いますが、プレゼントに添えると喜んでもらえると思います♪また、機会がありましたら、違うカードも頼んでみようと思います。
有難うございました。

なんと嬉しいコメント・・・。何度見ても嬉しい。(引用するときに読んで、また嬉しくなっている。)

思い切ってやってみてよかったなぁ。こんなご褒美が待っているなんて思ってもみなかった。購入者のままでいたら、見えなかった景色。人生ってわからない。

これを励みに、これからも細々と続けていきたいと思っている。

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タイトル画は、初めて購入された私の作品です。

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