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【セミナーレポート】2024年度に取り組むべき生成AI活用〜生成AI時代のナレッジマネジメント〜

こんにちは!Lightblueのマーケティング担当です。

2024年4月18日に、「2024年度に取り組むべき生成AI活用〜生成AI時代のナレッジマネジメント〜」と題したオンラインセミナーを開催いたしました。
 
生成AIの登場により、ナレッジマネジメントの領域に新たな可能性が開けつつあります。従来の検索やチャットボットとは一線を画す生成AIの特性を理解し、その強みを活かすことで、組織の生産性の向上が期待されます。

 本ウェビナーは、生成AIの概要から、ナレッジマネジメントの最前線で、生成AIがもたらす変革の可能性をセミナーレポートとしてご紹介いたします。

スピーカー

川俣 彰広
株式会社Lightblue 営業部長
新卒で株式会社ワークスアプリケーションに入社しエンタープライズ向け営業及びマネージャーとして個人年間売上No.1、年間目標3年連続達成。2019年からWovn Technologies株式会社にてエンタープライズ向け営業及びマネージャーとして従事し、初年度から個人営業売上No.1を達成。営業支援のフリーランスを経て、2023年にLightblueの営業部長としてジョイン。

生成AIの取り組みの現状

本日のメインテーマについてお話する前に、生成AIのトレンドを振り返りたいと思います。2022年末からGPTという言葉が生まれ、企業内での取り組みも増えてきました。GPTのメイン領域はテキスト生成ですが、動画、音声生成なども今後発展していくことが期待されています。

 従来のAIとの違いについては、例えばLightblueで提供している画像解析の領域だと大量の画像を学習させてたモデルを用いて開発を進めるというプロセスですが、生成AIは既に学習が完了しているモデルに対して、プロンプトと呼ばれる指示を書くことでさまざまなタスクを実行するという違いがあります。

  生成AIをどう使っていくかが今の最大のテーマです。直近1年以上で取り組みが進み導入企業が増えているのと同時に、実際の業務での活用は依然としてかなり限定的だと感じています。

社員全員が教育されて生成AIを使える状態か、毎日1回は使っているかというとそうではありません。どのように教育を進めていくか、プロンプトのテンプレートをどのように整備するかという検討フェーズの企業が多いように感じます。

Lightblueでは、生成AIの業務活用を推進するために、生成AIのワークショップをご提供しています。提供開始から4ヶ月が経過し、50社以上のお客様に向けて①生成AIの基本的な使い方を学ぶ座学でのレクチャー②業務でどのように生成AIを生かせるかのディスカッションという2つの講座を通してアイディアを創出するワークショップを提供しています。

ワークショップを通して生まれたアイディアがすでに3000件以上蓄積されています。

 創出された3000件のアイディアのうち、GPTを使って解決できる業務は25%程度にとどまります。文書に限られる業務はかなり効果的に有効であるということが改めてわかりました。
 他の業務をさらに分析していくと、社内の先行事例や過去のファイルを参考に情報を収集することが求められたり、データの修正を前提としたシステム開発が必要だったりと、企業独自のデータを連携した上でGPTの処理を求められる業務が多い印象です。

もちろん、教育や生成AIの認知を社内で獲得する必要性もありますが、社内情報やシステムとGPTをどう繋げていくかというハードルを越えていかなければ本当の意味で業務での利活用の実現は難しいでしょう。

そのような課題を解決する技術として、RAGという技術があります。取り組み事例が増え、耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

通常のGPTであれば、社内の情報ソースを元に適切な回答はできませんが、社内の情報を連携することで回答が可能になります。生成AIの特徴として、ハルシネーションの課題がありますが、参照となる根拠データが不十分であることが原因です。そのため、根拠となる明確な情報を与えることで解決するアプローチです。

領域としてはすごく複雑で、単純にモデルの性能が高ければできる訳ではなく、検索と生成という2つの性能の組み合わせが重要です。

この技術的難易度の高さから、現在多くの企業がRAGの性能向上に注力しており、関連プロジェクトのPOCが増加傾向にあるという状況です。

生成AI×ナレッジマネジメント

 生成AIの効果を最大化するために、向き不向きを理解して適切な使い方を検討する必要があります。また、どのような情報や指示を与えるかも重要です。
生成AIが得意とする領域の特徴として、膨大な量の情報を処置し関連性のある情報を探すというものがあります。

今回はこの特徴に着目し、ナレッジマネジメントの領域で生成AIを活用してみましょう。

ナレッジマネジメントの重要性は10年以上前から提唱されていて、「イノベーションを推進するために社内のナレッジを活用しよう」、「新規事業を生み出すためにナレッジを組み合わせよう」というような切り口で多くのツールが生み出されました。最近は人材の流動性に着目し、属人的な業務をデータ化する取り組みが増えている印象です。

また、情報収集の業務負荷を解決したいというニーズは依然として存在します。会社員は1日に平均1.6時間は情報収集に業務リソースを割いているとも言われており、効率化の余地が存分にある領域だと感じています。

 検索してもほしい情報が見つからないため、これまでナレッジマネジメントが進まなかった企業様も多いと思います。データの格納先がバラバラで、対象となるファイルも少なく、マニュアル化も工数がかかってしまい着手できないというような様々な問題を伺います。

ChatGPTはカジュアルな質問にも回答でき、非構造データにも対応できるのが特徴です。対話を通して文脈を理解し、テキストデータを活用して答えてくれる。これがナレッジマネジメントを成功させる技術要素の一つだと考えています。

また、データ化やFAQ作成、マニュアル化も文章生成を得意とするAIで作成が可能です。生成AIの技術を取り入れることで、マニュアルや過去の資料にアクセスしやすくなります。これにより、イノベーション推進やナレッジ活用が実現でき、企業の価値あるデータを活用しつつ、個人のノウハウも組織に移管できるようになる。業務が大きく変わる可能性があります。

こうしたコンセプトを実現するために開発しているのが、私たちの「Lightblue Assistant」です。

Lightblue Assistantで実現するナレッジマネジメント

Lightblue AssistantはSlackなどのコミュニケーションツール上やWebで使用できるツールです。基本機能として最新のLLMモデルを組み込んだGPTと、プロンプトのテンプレート機能をセットで利用することが可能です。RAGを用いて社内ファイルと連携が可能です。社内にデータがない情報はチャットを通してFAQとして蓄積されるような機能も搭載されています。

今後も新機能のリリース予定しており、「エージェント機能」というシステムの連携やデータの加工などの業務タスクを実行してくれる高度な機能の開発を進めています。

Lightblue Assistantの社内のナレッジ活用については、GoogleドライブやSharePoint、ボックス、ファイルサーバーなどに保存されているドキュメントを連携させることで、各botを作成するという基本機能です。

Lightblue Assistantは社内情報を連携し、RAG環境を作ることでWebやSlack、Teams上で動作します。チーム内でのやり取りをFAQとして学習させることができるツールも用意しており、その活用可能性は非常に高いと考えています。

活用のシーンを分けて紹介すると、問い合わせとして多いのは人事総務のバックオフィス業務です。規定集やマニュアルを追加し、FAQを作成することで、人事部への問い合わせ工数や従業員の検索・質問時間を削減できます。

次に、営業やコンサルティング、研究組織などでは、提案資料や研究資料、報告書といったノウハウの塊を活用することが重要です。これにより、営業や研究の質向上、資料作成の効率化が期待できます。

最近増えているのは、品質管理や安全管理、生産管理などの明確な基準がある業務における生成活用です。労災報告書や安全管理ルール、品質改善報告などのデータを活用し、労災防止の施策や報告書作成、計画書の文言チェック、各種申請プロセスの効率化などのニーズが多くなっています。

ここまでは、どのようにLightblue Assistantを活用してFAQ・社内ナレッジなどの切り口でGPT的に回答してもらうかというお話をしましたが、人が持つ情報やノウハウの蓄積についてご紹介します。

具体的な例を挙げますと、我々は社内のSlackチャンネルにセールスのナレッジを蓄積するチャンネルを作成し、商談での困りごとや悩みごとを集約しています。

例えば、私がA社との商談で「予算がないから検討を進められない」と言われてしまった場合、そのときにどういうふうに提案すべきだったか、GPTに私にどんどん質問を投げかけてもらうようにします。

GPTから投げかけられる質問に対して私が回答を進めると、私の営業方針が蓄積されます。もし「予算がないなら諦めましょう」という方針にすると、新しいメンバーから同様の質問が出た際にbotが自動回答してくれるようになります。

様々な場面で先輩に質問をしたり専門家に相談したりする機会があると思いますが、聞かれる側の負担を軽減するために回答を溜め、ノウハウをbotとして共有できる仕組みを作るというところが特徴です。

さいごに

RAGの成功事例はまだ少なく、精度向上は簡単ではありません。ノウハウを活用した処理や、基本機能が上がっても、各社のデータの持ち方によって、精度を上げるためのデータの前処理が必要になることがあります。

RAGの性能を上げるプロセスには、多くの技術的要素があります。情報入力、検索、結果の処理、精度の高いデータ出力の設計など、様々な技術が必要です。我々は、こうした課題を改善していく取り組みを行っているところです。現在、技術的にRAGを用いた開発へハードルを感じている企業様はぜひお問合せをいただけますと幸いです。


本セミナーに関するお問い合わせは、
下記のリンク内、フォームにてお寄せください。


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