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運動不足の40代が、東京エクストリームウォーク100を完歩するまで。

人生で1回は100km歩いてみませんか。

あなたは100kmを歩いてみようと思いますか?
そう問われると、多くの人は、「興味はある」「できるなら挑戦したい」と答えるのではないでしょうか。
ただ、本当に挑戦するかどうかは別問題でしょう。
普段はデスクワークが中心の私は、毎日5,000歩も歩かない日がほとんどです。仕事を終えて自宅に帰ると、ビールを飲んで一人で疲れを癒やす毎日を送っていました。
このような生活を送っている私にとって、100kmを完歩するというのは、大変なことです。
この記事は、そんな私が、初挑戦で100kmを22時間40分という記録で、完歩するまでの物語です。
はい、そうです。結論から言うと、無事に100km歩ききりました。
この記事を読んでいただくことで、これから何かに挑戦しようとする人の背中を押すことになれば嬉しいです。もちろん、これから東京エクストリームウォークに挑戦しようとする方の参考になれば幸いです。


動機

きっかけは何気なくSNSを見ていると飛び込んできた「東京エクストリームウォーク100」の文字。東京マラソンなどは、誰もが知っていますが、正直に言って、初めて目にする大会の名称でした。
気になって調べてみると、小田原→豊洲まで100kmを約24時間で歩くというもの。
箱根駅伝が好きな私にとって、小田原→豊洲はまさに復路コースを歩いて体感できる夢のような大会に写りました。歴史にも興味があり、まさに東海道という中世の主要な街道を通り、「参勤交代のルートを当時に思いを馳せながら辿れるのではないか」と胸が高鳴りました。

私の仕事は数年で部署が異動し、業務内容も多岐にわたり、時間外勤務の状況なども所属する部署により大きく異なります。
「比較的時間のコントロールがしやすい現在の部署なら、挑戦できるかもしれない。」
「今回のチャンスを逃すと、いつ挑戦できるかわからない。」
そんな気持ちが頭から離れません。
挑戦しなかったことで、後悔だけはしたくない。
40才代といっても、これまでのように健康を維持できないかもしれない。
そう考えると、「出場しない」という選択肢はありませんでした。

6月大会を経て

4月の応募期間に応募してからは、とにかくどうすれば100kmを無事に歩ききれるのか?という、禅問答のような答えのない問いを頭の中で何度も繰り返す毎日でした。
そこで、5月のGWに入る直前に、「試しに3分の1の距離を歩いてみよう。」と考えました。
GoogleMapは、始点と終点を指定すると経路と必要時間を交通手段に応じて、瞬時に返してくれます。自宅から山陽本線沿いの駅を計測すると、なんと33km。5月3日に決行することにしました。

本格的にログを取りながら歩行する場合、スマートフォンと連動したアプリが思い浮かべられると思います。私もこのタイミングで、AdidasのRunningというアプリをiPhoneにインストールしました。このアプリは規定の距離に応じてコーチによる音声通知などができる優れものです。

はじめての長距離歩行は田舎道
目的地に到着しましたが、疲労困憊

実際に歩いてみた結果、37kmを7時間24分掛けて完歩しました。今でも覚えていますが、到着直後から足が上がらず階段は特に降りられず、絶望的な状況でした。
自宅までの電車では、到着後にエネルギーを回収すべく貪るように食べた昼食の影響か、頭に血液が回らずに「立ちくらみ状態」で大型連休で混み合った車内にしゃがみこんでしまう始末。まさに100km完歩への道のりに危険信号が灯ります。
■5月3日  36.25km 7時間24分

今回の反省を生かして、対応策を研究しました。
すると、「ふくらはぎ」「ひざ」などにテーピングを施して歩行すると、かなり疲労感が軽減されることがわかりました。その後、すぐにテーピングを購入し、製造元の動画サイトなどで勉強し、ふくらはぎ・ひざのテーピングの手順を学習しました。
また足の裏のマメ対策として、クリームもAmazonで購入しました。

この後、6月の大会に向けて、ふくらはぎ・ひざのテーピングと足の裏にクリーム塗布を施し、5月21日に37kmを歩きました。
テーピングが功を奏して、前回とは比較にならないくらいダメージが軽減されるなど、大きな効果がありました。
また足の裏にマメができることもなく、クリームの効果も実感できました。

テーピングが功を奏し疲労軽減

このテーピングとクリームを武器に、大会に備えていくことにしました。このように実践を通して、100km完歩に向けて必要なアイテムを取り揃えてきました。
■5月21日 37.35km 7時間37分

6月3日(土)の大会当日は台風の影響で、大雨警報の発令が懸念されましたが、当日5時の時点の警報発令状態により開催の決行が決まると大会本部から連絡がありました。

6月の大会前日は小田原に宿泊するも無念の中止

そのため、前日には小田原駅周辺のホテルに宿泊しましたが、警報発令は解除されず、中止の決定がくだされることになりました。
雨対策として、バックパックの防水カバーや、濡らしたくないヘッドライトなどを入れるための、防水バックを準備して、本番に備えていただけに、挑戦できないことと抗うことのできない自然に対して、言いようのないもどかしさを感じました。
それと同時に、秋大会への出場を決意した瞬間でもありました。

準備編

トレーニング

2019年11月に、坐骨神経痛を患ってから、近くのスポーツジムで週1〜2回は1.5時間程度の運動をしています。
メニューは、ストレッチ、バイク20分、筋トレ(大腿筋、臀部、背筋、腹筋)30分、ラン30分といった内容ですが、体重も減少傾向で体調もよいため、習慣的な運動は必要だと感じています。エクストリームウォーク100に向けて特段これといってメニューの見直しは行っていませんが、今後出場を検討されている方は、ラン30分→ウォーク1時間などに見直してもよいかと思います。

6月の大会中止以降、長距離歩行は行っていませんでしたが、装備品や歩行ペース、耐久性を確認するため、大会までに数度、10kmを超える歩行を数回行いました。
10月1日には、自宅から21km地点を目指して歩きました。この際、本番で利用する予定のバックを背負いましたが、歩きながらでも「あめ」や「塩タブレット」がすぐに取り出せるよう、小型ポーチをショルダーストラップに装着し、実際に歩行中の補給のしやすさを確認しました。

久しぶりの長距離歩行は国道2号線

それと今回の歩行では、本番の夜間を想定し、携帯ラジオを聞くことも試みました。車との接触事故や周囲の状況を確実に把握するため、イヤホンは片側のみ装着することにします。普段、私は何かをしながら音楽を聴くことが苦手なタイプです。音楽を聴きながら勉強するなんてことは絶対にできません。しかし、実際に携帯ラジオを聴きながら歩いてみると、ラジオ番組ならではのパーソナリティと出演者の会話が新鮮で、一人で歩いている寂しさも紛らわしてくれます。
ラジオでは、視聴者のリクエストに応じて音楽などを流されることがありますが、アップテンポの曲を聴くと、ペースの維持やアップにも役立つことが実感できました。
私が使用している携帯ラジオの電池は単4型乾電池が2本です。万が一、電池残量がなくなった場合にも、コンビニなどでも購入でき準備しやすいため安心です。
■10月1日 20.94km 4時間12分

数度の長距離歩行の実践で、自分の歩きやすい歩行ペースもわかってきました。私の場合1kmを12分で歩くのが最も歩きやすいペースです。つまり1時間で5km進む計算になります。30kmを歩くとすると6時間。大会まで残りもわずかになった期間のため、今回は25kmを目標に歩行することにしました。
本番をイメージし、8時23分にスタートし、国道2号線を主に歩行し自宅に向けて歩くことにしました。

いざスタートすると、いつも以上に歩きやすく平均ペースも1km11分台のペースです。秋晴れで非常に歩きやすい天候で、携帯ラジオの効果もあり、あっという間に目的地に到着した感覚です。
国道の交通量が多い道路も、ペースが上がった要因のひとつでしょうか。
誰かに見られている感覚もあり、セカセカ歩いてしまったようです。
いずれにしても、本番までの20km以上の長距離歩行はこれで終了となります。
■10月8日 28.55km 5時間22分

準備物

ここで今回私が使用した道具を紹介したいと思います。

  • バック25リットル

  • GPS機能付き腕時計(Suunto Traverse Alpha)

  • iPhone

  • 携帯ラジオ

  • 水筒

  • トレッキングポール☓2(実際には使用せず)

  • ヘッドライト

  • モバイルバッテリー20,000mAh ☓2

  • 着替え(Tシャツ、パンツ)

  • アミノバイタル ☓2

  • ウォーターサーバー1,000ml

  • 雨合羽

  • アウター(全天候型)

  • 携帯用ザブトン

  • 単4電池 10本

  • 財布

雨対策として、着替えなどは防水バックに入れておきました。
また、GPS機能付き腕時計は、電池の消費量などを日頃の歩行で確認し、充電計画を立てました。GPSによる位置捕捉は、モデルにより捕捉間隔が設定できますが、消費電力を抑えるため、1分間に1回程度としました。
また最近のモデルでは心拍数の計測もできるモデルもありますが、私の場合は、消費電力を優先し、Suunto Traverse Alphaを装着しました。
このモデルはあらかじめ地点登録ができ、登録地点までのナビゲート機能などもあるため大会ゴール地点を事前に登録しました。
また、これまで実践してきた「ふくらはぎ」へのテーピングですが、歩行中に不慮の事態で剥がれた場合、その都度張り替えなければならないため、CW-Xの「ふくらはぎサポーター」を装着することにしました。

まさに相棒とも言うべきSuunto

モバイルバッテリーは、できるだけ大容量のものが望ましいと思い20,000mAhとしました。
財布にはクレジットカード、健康保険証などを入れ、万が一の雨に備えてジップロックに入れます。

大会1周間前から注意したこと

強度の高い運動は極力控えました。大会前の水曜日にジムに行きましたが、筋トレは省略し、なるべく疲労が残らないような軽めのトレーニングを行いました。
お腹をくだして歩行中、頻繁にトイレに行くことは避けたいので、なるべく生物の摂取は控えました。ゴール後は食べたいものを好きなだけ食べれるので、我慢します。
また、ゼッケンが届くのがこの時期です。
自分のゼッケンの番号で、スタート時間を確認します。
そして、チェックポイント毎の予定時刻を検討も行います。私の場合、チャレンジクラスでの出場のため制限時間は26時間ですが、自分の目標は24時間としました。

実際に使用したスプレッドシート

おすすめの通過時間の計算の仕方ですが、Googleのスプレッドシートを活用し、スタート時刻を入力すると、自動でチェックポイントの通過時刻が変更される数式を入力しました。ここで必要となるのは、想定のペースです。
私の場合、最初から最後まで1km12分で歩行するとし、各チェックポイントで30分は休憩時間を確保するという時間設定で計算を行います。作成したスプレッドシートはGoogleドライブに保存し、iPhoneからアクセス・編集できるようにしておきます。
最終的には、スタート時刻が確定後、スクリーンショットを撮り、画像データとして保存を行うこととしました。

大会前日の過ごし方

スタート地点となる海老名へは、広島から飛行機と京急線で向かいます。
ホテルチェックイン後に、WESTコースのスタート地点となる相模三川公園へ、当日の移動ルートの確認と下見のため行きました。

富士山の笠雲は良い兆候か
大会前日のスタート地点

大会当日は、参加者は1つまで荷物を預けることができます。スーツケースを持って会場まで移動するため、余裕を持ったホテルの出発が必要です。
100km歩行するという未知の世界に対応するため、できることはやっておこうと考え、エネルギーを切らさないよう事前に体内にグリコーゲンを蓄積するカーボローディングという方法を実践することにしました。
私の場合、前日は、ピザ、カツサンド、シウマイ弁当、炒飯弁当・カップラーメンを1日で4回に分けて摂食しました。この効果は、後述します。

大好きな崎陽軒のお弁当

大会中に寝不足になるのを避けるため、十分な睡眠が必要です。
私の場合、6時間程度の睡眠時間となりましたが、もう少し睡眠時間の確保が必要だったかもしれません。

大会当日

スタートまで

この大会は、50人ずつスタートするウェイブ方式でのスタートを採用しています。私のグループはDで、8時15分から8時27分までのスタート時間が指定されています。
1時間前を到着時刻とした場合、ホテルを7時前に出発しておきたいところです。
ホテルの朝食時間は6時30分からですが、ダメもとで15分前に会場に行くと、朝食を提供できるとのこと。スタートまで2時間切っているので、お粥など消化の良さそうなものを摂食することにしました。
前日、下見をしていたため会場まではスムーズに移動できました。
会場に到着するとゼッケンをシャツ前側とバックに装着します。その後、参加賞を受け取ります。
受付ブースはどこだろうと探してみても、よくわからないため、スタッフに訊ねてみると、「こういう大会なので、参加賞をもらったら受付が終わっています。」と教えていただきました。不慣れな私は、名前の確認や携行品のチェックなどする受付ブースが設置されるものだと思い込んでいました。思い込みはよくないですね。
つまり、最初のスタート地点で、バーコードを読み込んでもらえば、それでいいということのようです。
次にゴール地点まで運んでもらうスーツケースを無事に預け終わると、先頭グループが次々と出発していく様子を見送ります。
徐々に自分達の順番が近づいてきます。ストレッチなどを行いながら、スタート時に行うことの確認をします。
私の場合、Suuntoの記録開始と、adidas ruuningアプリの記録開始を忘れないようにすることです。

100kmウォークが始まります

そうこうしているうちに、Dグループの呼び出しがありました。時間は予定通りの8時15分のスタートとなります。
さあ、いよいよ100km先のゴールを目指して出発です。

トイレはどこだ!?  第1CP(23km)まで

歩きはじめるとすぐに気づいたことがあります。当たり前のことですが、参加者のペースはバラバラで、自分の歩きやすいペースで歩いていくと、同じペースの参加者と集団のような形で歩いていくことになります。
もし現在のペースで問題がなければ、この集団で歩いて行けばいいわけです。逆に、自分たちのペースが遅いなら、後から出発した参加者が勝手に追い越していくわけです。
この区間は、田園風景もあり少しのどかな雰囲気で歩くことができます。
周りを見渡して見ると、女性のグループ、ソロの方、年齢も性別もマチマチです。健脚の高齢者もいらっしゃり、「自分があの年になってもあんなふうにチャレンジできるだろうか」と思うこともありました。

実は、スタート地点でトイレを探しましたが、見つからず少し尿意を感じながら歩いていましたが、10kmを過ぎたあたりから、次にコンビニがあればトイレを借用しよう思って、ようやく12km付近のコンビニに入りました。すると、そこは参加者が長蛇の列でトイレ待ちをしているではありませんか。ここでのタイムロスは仕方ないと思い10分程度の待ち時間が経過した後、無事に用をたして、再出発します。

平塚市に入ります

大勢で歩いているからか、一人で歩くのとは異なり、一体感を感じながら歩くことができ、あっという間にチェックポイントへ到着した印象です。
ただ、18km過ぎたあたりから、足の裏にマメができそうな感覚をいだきました。そのため、チェックポイントで、欠かさずクリームを塗ることを「することリスト」に追加です。

第1CPまであと少しです
平塚名物のカレーパンをいただきます

第1CPでは、カレーパンを美味しくいただきました。皆さんが休憩しているの横目に、10分程度の休憩ですぐ出発します。

湘南の風を浴びて  第2CP(34km)まで

湘南大橋を超えて少し歩くと海岸沿いの道を歩行することになります。
この日は、茅ヶ崎の花火大会が開催されるようで、交通規制も実施されています。皆さんが海岸に集まってきているようで、何やらざわざわしています。

湘南大橋を渡ります

普段瀬戸内で暮らす私にとって馴染みがないサーフィンですが、さすが湘南という感じで、いたるところでサーフィンを楽しむ人々の姿が見られます。
とても身近なスポーツのようで、自宅からウェットスーツを着て、サーフボードを自転車のキャリアに乗せて往来する人ともすれ違います。
50〜60代の方も多く、その層の厚さに驚きました。

海岸沿いの歩道はところどころ砂地

この区間は海岸線の歩道を歩くため、砂で埋もれた箇所も随所に見られます。シューズに砂が入るとケアが大変なので、なるべく砂の上を歩く際には、足の裏がピタッと着地するよう注意しながら歩きます。
また信号機もないため、途中で立ち止まることもありません。非常にペースも維持しやすい区間です。第2CPでの混雑が予想されため、手前の公衆トイレに立ち寄りました。

この体験記を書きながら思い返すと、この辺りから、臀部と下着の擦れからくる痛みが生じていたように思います。普段から履いているボクサーパンツですが、臀部との間に隙間ができているのか、歩くたびに小さな痛みを感じるようになりました。
この現象は、よくよく考えるとトレーニング時から生じていましたが、何も対策をしてこなかったことが悔やまれます。
結局、この臀部の痛みは、ゴールまで悩まされることになります。

第2CP 湘南海岸公園に到着

ビギナークラスの参加者は、第2CPがゴール地点となります。
第2CPでは、地元FM横浜の臨時ブースもあり、賑やかに参加者を迎えてくれます。
ここではおにぎり、みかん、煎餅などをいただき、足の裏にクリームを塗り直して出発です。

遊行寺の坂を越えて 第3CP(55km)まで

右手に江の島を見ながら、湘南海岸ともお別れし、街道に入ります。
今回の私の作戦は、とにかく第3CPまではできるだけ休憩を短くし、第3CPで少し休息を取るというもの。これまで37kmの歩行経験はあるものの、それを超える距離は未知の体験です。
ここから第3CPまで20km以上あります。

湘南海岸ともお別れ

前日のカーボローディングの効果か、ここまでエネルギーが欠乏し、身体が動かないということもなく、しっかりと前日蓄積した糖質を順調に消費しているといった感じです。
特に身体の不調もなく、ここまで来れましたが、これからトラブルなく行けるかは不透明で心配です。
不安な気持ちを抱きながらも、箱根駅伝でも難所として知られる「遊行寺の坂」を無事に通過します。
このあたりも同じペースの小集団でまとまって歩いていきます。

遊行寺の坂を越えていきます

18時近くになると、日も沈み暗くなってきます。信号待ちの時間を利用して、ヘッドライトの装着とアミノバイタルを摂取します。少し歩く動作も単調になってきたため、気分を切り替えるために携帯ラジオのスイッチを入れます。気温も下がってきて、風も強くなってきました。
第3CPの横浜市児童遊園地に到着後、トイレを済ませて、煎餅や魚肉ソーセージ、羊羹などを補給します。

55km地点の第3CP

ただ、この場所は丘の上にあり風がよく通る場所にあり、寒くて休むことができません。アウターをバックから取り出し着用します。
ここでは作戦を変更し、これまでのCPと同様に、フットケア後にすぐ出発することにしました。

「たくさん休んでがんばれ」のメッセージ

また、このCPでは嬉しいことがありました。
なんと補給用に配られた紙コップに手書きでメッセージが。
ちょっとした優しさに触れるだけで頑張れるから不思議ですよね。

横浜の夜景を堪能  第4CP(69km)まで

第3CPを慌ただしく出発すると、右ひざに痛みが気になるようになりました。実は前の区間から痛みはありましたが、なんとか誤魔化しながらここまで引っ張ってきました。
コース上に立ち止まり、どうしようか思案しましたが、イブプロフェンを2錠服用することにします。服用後、1時間くらいで痛みも和らぎました。
どうやら、このまま続行できそうです。50kmを過ぎてからは、折返しという気持ちで、あと○kmと、引き算ができることが何より嬉しいです。
本格的に夜間歩行モードに入ります。小集団となり固まって歩きますが、ソロでの参加者が多いイメージです。皆さんかなり、疲労感が見て取れます。

横浜の夜景がキレイです

ライトアップされた美しい観覧車が見えてくると、何だかテンションが上がります。この区間は、国道を歩くコースとは異なり、市民や観光客の間を縫うようにして、歩いていきます。

夜の市街地を歩きます
参加者の疲労感が漂う第4CP

第4CPに到着し、コーラと煎餅、羊羹をいただき、CPのルーティンとなったフットケア後にすぐ出発します。

ようやく東京都内へ 第5CP(87km)まで

第4CPを出発し、FM横浜に耳を傾けると、なんと「東京エクストリームウォーク」の特番を1時までやっています。
DJの石川舜一郎さんは、今回のビギナークラスで完歩されたそうで、コメントに現在歩いている100km参加者をリスペクトするコメントが随所に見られます。
実際に歩行中の参加者へのインタビューや、各方面からの応援メッセージなど、歩きながら自分たちを応援して頂いていることに感謝の気持ちで一杯です。どうやら位置的にもインタビューを受けた参加者は近くにいそうに思いました。
FM横浜の特番も終わり、しばらく歩きます。
多摩川に架かる六郷橋を渡ると東京都大田区です。

神奈川県に別れを告げて東京都へ

このあたりは、歩道もしっかり確保され歩きやすい印象です。
ただ歩行者信号機が多く、頻繁にストップ&ゴーを繰り返していました。
時間も午前2時を過ぎ、交通量も減ってきて、少し寂しくなるのもこの時間帯です。
特に睡魔が迫ってくるという感覚はありませんでしたが、着実に疲労は蓄積していると思います。
80km前後の地点でアミノバイタルを摂取し、最終となる第5CPまで繋いでいきます。
歩いても歩いても距離が縮まらず、何度も時計を見返します。
永遠に続くかと思えたCPまであと僅かになりました。
そして、ようやく第5CPに辿り着きます。
午前3時を周り、寒さも増す中で、身体を温めるためホットコーヒーを頂きました。飲んだ瞬間、身体が覚醒する感覚を感じました。
ここでは鍼灸師の皆様が無料で鍼灸をしていただけます。何人か待たれていたので、ここはスルーしてゴールを目指すことにしました。何と言ってもあと13kmです。

銀座で朝を迎える  ゴールまで

第5CPでトイレを済ませ歩いていくと、先程までと違い、なぜか身体が軽くどんどんペースも上がっていきます。ゴールが近く身体が反応したのか今となっては不明ですが、その時は、ラストスパートで少しでも良い記録を出したいと考えたのだと思います。
GPSの記録を確認してみると、1km11分台のペースで歩いた箇所もあります。
ただ、ゴールまで信号機が一定の距離毎に設置されていたため、立ち止まっていることも多く、自分が感じていた以上のペースを得られていなかったのも事実です。
この辺りまでくると、ゴールまであと何キロあるのか確認したいものの、Suuntoの計測データが誤計測し、明らかにおかしくなったため、途中の誘導スタッフが持つ案内板が頼りになりました。
身体の痛みなどはなく、ただ早くゴールしたいという気力だけで動いていたのかもしれません。
気がつくと、新橋駅くらいで明るくなりはじめ、銀座の交差点を通過する頃には、朝を迎えていました。

早朝の銀座は晴れやかです

ラスト4km。
参加者も信号機で分断され、集団がなくなります。
ここからゴールまでは1人旅です。
この時、23時間以内にゴールできることは明白だったので、22時間台で、いかにタイムを縮めれるかを考えながら最後の力を振り絞ります。
しかし、視認してもなかなか辿りつかないゴール地点。

さあもう少しでゴールです

なんとかスタジアムに入り、足早にゴールテープに向かい、ようやくゴールです!
やりきった達成感で胸が一杯になりました。
記念写真を撮影し、記録用紙とTシャツを受け取り、着替えをして、帰路に付きました。

挑戦を終えて

感想

とにかくやりきったという気持ちです。ゴールした瞬間は安堵の気持ちで一杯でしたが、こうして記事を書いていると、改めて自分の中で歩ききったことに対して、自分自身を誇らしく思います。
この経験は、何ものにも変えれないもので、成し遂げた人にしか味わえない気持ちだと思います。
もし、もう一度挑戦するか?と問われれば、「機会があれば出場するかもしれない。」という答えになるのかもしれません。
次に挑戦するとしたら、ゴールが目標ではなく、今回の自己タイムの更新ということになると思いますが、正直に言って、CPでの休憩も今回以上に短縮することは難しいと思いますし、全体的にペースを上げるには、かなりのトレーニングが必要だと思います。

良かったこと(奏功)

  • やっていて良かったこと

    • 20km以上の長距離歩行

    • カーボローディング

  • 特に準備していて良かったもの

    • 携帯ラジオ

    • Suunto Traverse Alpha

    • クリーム

    • ふくらはぎ用サポーター(CW-X)

    • 携帯用ザブトン

改善点

  • ランニング用インナーを着用すれば、臀部の痛みを軽減できたかもしれません。一度なってしまうとゴールするまで改善することはないため、心理的にもマイナスとなります。なにしろ不快感が、半端ありません。

  • 補給用の行動食は、ゼリータイプで少量のものを10km単位で取ればよかった。CPでは最低限の補給しかできないため、トータル5,000kcalを超える運動量に対して十分な補給とは言えません。60kmを超えて多少身体が動きにくかったのは、補給がしっかりしていれば防げたことかもしれません。

  • 充電計画は、アイテムの消費電力を見通してしっかりと計画すること。自分が使用するアイテムの消費電力を的確に予測することで、モバイルバッテリーの予備の有無なども変わってくるので、あれば安心ではなく必要最低限の携行品とすることが大切。少しでも軽量化できるならしておくことが望ましいと思います。

これから挑戦する人へ

今、私が皆さんにお伝えできるのは、「やるかどうか迷っているのなら、絶対にやってください。」ということです。
体力的に不安?そう思われた方は、まずは20km歩いてみてください。そうすれば、自分なりの改善点も見えてくると思いますし、携行品を含めて何が必要で、どういう力が必要なのかも見えてくると思います。
今回の私の体験談には、大小様々な失敗や成功が散りばめられていると思います。どうかこの記事を読んだことで、出場してみようと思ってもらえると本当にうれしいです。
冒頭にも書きましたが、挑戦しなかったことで、後悔だけはしないように!!
ゴールすることで、素敵な人生があなたを待っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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