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将棋と漫画の記事を書きます。将棋の棋力は級位者、観る将です。少年漫画が大好きです。ミス…

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将棋と漫画の記事を書きます。将棋の棋力は級位者、観る将です。少年漫画が大好きです。ミステリーの皮を被ったファンタジー小説なども少し書いています。

最近の記事

「ナイチンゲールの憂鬱」を漫画原作部門に投稿しました。自身の青春時代の風景を挟んでいます。部活棟モデルに大学図書館、卓球部は所属していた部活、鍛錬遠足モデルは約20km登山する行事でした。断トツで鍛錬遠足が辛かったです。出身高校のHPを見たら、この行事は廃止されていました。

    • ナイチンゲールの憂鬱【第三話】博士の紳士的画策

      「鍛錬遠足のコースには、地域の方がった……が黄色い旗を持って、立っていただ……くださっています。地域の方々のご協力あっての行事なので……えっと……通るときには挨拶するようにしてください」  朝礼台から降りる。ああ、全校生徒に加えて地域の方々も見ていたのに、うまく喋れなかった。というか、いつもより人が多いせいで、すごく緊張した。  まだ全く歩いていないのに、足がガクガクする。産まれたばかりの子馬のような足取りで、クラスの列に戻る。エリがひそひそと話しかけてくる。 「菜月、

      • ナイチンゲールの憂鬱【第二話】無冠のTender Boy

        「若葉さん、陸上部に入ってください!」 「結構です」 「若葉さん、ハンドボール部で一緒に汗を流しましょう!」 「すみません」 「若葉さん、本命の柔道部が来ましたよ! あなたの一本背負いは素晴らしかった! さあ、柔道で全国制覇を目指しましょう!」 「いや、入りません」  エリのもとに運動部が次々と勧誘にやってくる。先日の部活棟前の一本背負いのせいだろう。しかし、エリは全てを塩対応で断る。 「私は人間の弱さを見たいのです。あんなムキムキマッチョの強い人たちに、用はありません。

        • ナイチンゲールの憂鬱【第一話】アンドロイド・エリ

          あらすじ  【あがり症の菜月】は人前でうまく話せない。公園で深く落ち込んでいると、目の前に【看護ロボット・エリ】という少女が現れる。自分は完璧すぎるから、人の弱さを知るよう【博士】から指示されたと言うエリ。エリは菜月と一緒に行動するうちに、誰かから恨まれて部室を荒らされた【バスケ女子・佐々木】、精神的弱さから最後の1点が取れない【卓球少年・森永】と関わる。エリは彼らの人間的弱さと強さに触れて成長する。一方、学校行事(鍛錬遠足)で、博士に出会った菜月は、エリが自衛隊関連のロボ

        「ナイチンゲールの憂鬱」を漫画原作部門に投稿しました。自身の青春時代の風景を挟んでいます。部活棟モデルに大学図書館、卓球部は所属していた部活、鍛錬遠足モデルは約20km登山する行事でした。断トツで鍛錬遠足が辛かったです。出身高校のHPを見たら、この行事は廃止されていました。

        • ナイチンゲールの憂鬱【第三話】博士の紳士的画策

        • ナイチンゲールの憂鬱【第二話】無冠のTender Boy

        • ナイチンゲールの憂鬱【第一話】アンドロイド・エリ

          漫画原作部門で応募した「0%の未来」は、連作短編の形を取っています。 何話からでも読めるので、よろければご一読ください。 “未来の確率が見える”主人公と“生存確率0%”の少女の話です。よろしくお願いいたします。

          漫画原作部門で応募した「0%の未来」は、連作短編の形を取っています。 何話からでも読めるので、よろければご一読ください。 “未来の確率が見える”主人公と“生存確率0%”の少女の話です。よろしくお願いいたします。

          0%の未来【第一話】夢破れ夢迷う

          あらすじ 研究者の夢破れて無職となった糸川は、空を仰いだ際に未来の確率が見えることに気付く。自分に研究者の未来がないことを知り、化学教師に転職。 【犯人のいない教室】で、天気の研究者を夢見る夏目に出会い、彼女が20歳まで生きられる確率が0%だと知る。 糸川はある男性の生存確率0%を、偶発的に90%に引き上げることに成功するが、その際に加害者のふりをしたことで、千草に能力を見破られる。 千草を仲間にした後、【小惑星イトカワの功績】、【プロバビリティの犯罪】、【降水確率論

          0%の未来【第一話】夢破れ夢迷う

          0%の未来【第三話】プロバビリティの青空

          第三話 「ペルセウス座流星群の観測会をしましょう。毎年8月に現れます。流星は多く、明るい流星もたくさんあります。初心者が観測するにはピッタリの流星だと思います」  放課後の天文台。夏目はホワイトボードをバックに意気揚々と説明をしてくれる。俺と千草は三角座りして聞いている。 「では、試しに今、天体望遠鏡を動かしてみましょう。太陽で予行練習をします」  ドームを開ける。青空が目の前に飛び込んでくる。夏目は天体望遠鏡の横に立つ。左手は動かない。 「太陽を見るにあたり、太陽

          0%の未来【第三話】プロバビリティの青空

          0%の未来【第二話】幸運のしるし

          第二話 「……先生、本当にいいんですか?」 「ああ、緊張しなくていい。大丈夫だ」 「でも、私初めてで……」 「大丈夫。リラックスして」  夏目は唇に手を当ててモジモジしている。無理もない。教師は普通、生徒にこんなことをしないだろう。 「人間ドックのチケットなんて高価なものを、無料でいただいて良いのでしょうか?」 「いいんだ。気にすんな」  病院の待合室。検査着に身を包んだ夏目。  病気があるなら、ここで発見して【夏目の死】を喰い止める。生存確率0%を覆すんだ。 「

          0%の未来【第二話】幸運のしるし

          【短編小説】0%の未来

           研究者であるために論文を出し、長時間、昼夜休日問わず働いた。好きなことを一生懸命やってきた末に、辿り着いた場所は無職だった。  子供の頃から化学が好きで、大学では研究漬けの日々を送り、博士課程まで進んだ。時すでに学費9年分、年齢27歳。しかし、世間に博士は溢れており、俺は3年の任期つき研究員になった。 「プロジェクトはこれで終了です。おつかれさまでした」  解雇。  辛い……! ひもじい……! しかし、31歳のおっさんが、いつまでも部屋で三角座りしている訳にはいかな

          【短編小説】0%の未来

          高梨くんのお喋りな罪【第一話】彼女の知らない罪

          あらすじ キャラクター 第一話 「アイスキャンディー食べたいよ。ひぃー、苦行だ」  太陽が容赦なく照りつける7月下旬。高梨くんは大量の紙袋を抱えて、息も絶え絶えに登校した。  が、体力の限界を超えてクーラーの前で立ち止まる。汗を拭いながら制服をパタパタさせて、クーラーの風を体に浴びせる。  ピーピーピーピーピーピー……  蝉の大合唱の隙間から電子音が聞こえる。(どこからも火の気はない) 「今の音は……」  高梨くんは目を閉じて耳をすませる。電子音が鳴り止む

          高梨くんのお喋りな罪【第一話】彼女の知らない罪

          高梨くんのお喋りな罪【第三話】実験室の鎮魂歌

          第三話 「石川さん、顕微鏡終わったよ」  カシャンカシャン  高梨くんは筆記用具一式を手に持って立ち上がったけれど、ノートの上に置いていたシャーペンを落とす。ああ、あのときはこんな音じゃなかった。あのとき生物準備室から聞こえてきたのは、何の音だったんだろう。  私はプレパラートを顕微鏡の台に置く。高梨くんの植物細胞のスケッチは、よく見ると連なった背骨みたいだった。背骨、骨、骨格標本……また思い出した。こんなところに出る訳がないのに。  調節ネジを回して対物レンズをプ

          高梨くんのお喋りな罪【第三話】実験室の鎮魂歌

          高梨くんのお喋りな罪【第二話】青じゃない

          第二話  まさか【青色アレルギー】というものが、この世にあったとは。青色の絵の具に触れると、手が腫れ上がるようになった。突然だ。   空も海も描きたい。でも、青を塗る手が腫れているせいで腕が震えた。キャンバスに筆を置くと、まるで涙のように青が流れて落ちた。  堤防に三角座りして、目の前に広がる海を眺める。目を閉じて手を胸に当てる。うん、諦めよう。筆を折ろう。 「最近、犬や猫がたくさん死んでいるのよ」  ……人が感傷に浸っているというのに、背後から不穏な話が聞こえてく

          高梨くんのお喋りな罪【第二話】青じゃない

          山崎隆之八段が棋聖戦挑戦権を獲得!

          山崎隆之八段おめでとうございます! 佐藤天彦九段おつかれさまでした! 大熱戦! 終局後の記者がとても多くて、やっぱり注目の一局だったんだと興奮しています。 序盤から腹の探り合いと見たことない局面。AI研究全盛期なのに100%人間の戦い。そして、山崎八段の終盤の切れ味が凄かった。 今もXのつぶやきが賑わっています。千駄ヶ谷の将棋会館も大騒ぎだろうな。 私が将棋を見始めたきっかけは山崎八段です。戦型もよくわからなかった当時。リアクション、話し口調、山崎八段を見る周囲の反応

          山崎隆之八段が棋聖戦挑戦権を獲得!

          叡王戦第2局にて伊藤匠七段勝利【毒饅頭を投げつけられる終盤を制す】

          伊藤匠七段が藤井聡太八冠から初勝利した。 終局後、伊藤七段の耳は真っ赤で、大盤解説会場で放心状態だった。 https://times.abema.tv/articles/-/10123360 伊藤七段の先手で戦型は角換わり。しかし、後手の藤井八冠の守りは金を前に押し出す3三金型。序盤から「力戦にしましょう」という藤井八冠の心の囁きが聞こえた。 中盤、飛車を追いかけながら有利を築く伊藤七段。しかし、攻めたり受けたりしながら互角に戻す藤井八冠。 一旦互角に戻ると藤井八冠の

          叡王戦第2局にて伊藤匠七段勝利【毒饅頭を投げつけられる終盤を制す】

          【短編小説】青じゃない

           私は青を愛しているのに、どうして青は私を拒絶するのだろう。  青色の絵の具に触れると、手が腫れ上がるようになった。突然だ。  まさか【青色アレルギー】というものが、この世にあったとは。空も海も描きたい。でも、青を塗る手が腫れているせいで腕が震えた。キャンバスに筆を置くと、まるで涙のように青が流れて落ちた。  堤防に三角座りして、目の前に広がる海を眺める。目を閉じて手を胸に当てる。うん、諦めよう。筆を折ろう。 「最近、犬や猫がたくさん死んでいるのよ」  ……人が感傷

          【短編小説】青じゃない

          【短編小説】冬眠

          「すみません。兄貴は寝入っていて、起こしても起きないんですけど、また後でもいいですか?」  玄関先に出てきたのは、パーカーを着た癖っ毛の少年。  ……癖っ毛か寝癖かわからないのだが……頭を掻きながら目をこすっている。彼も眠そうだ。昼の2時を過ぎているというのに、兄弟揃って何故そんな眠そうなのだ。  しかし、こちらに反論の余地はない。 「いえ、担当変更のご挨拶に伺っただけですので。桜井先生によろしくお伝えください」 「はあ……秋月さんどうしたの?」  少年の半開きの瞼の

          【短編小説】冬眠