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心和む「ふたり 矢部太郎展」

「ふたり 矢部太郎展」へ行ってきました。

立川
PLAYミュージアムにて

矢部太郎さんといえば、世代的に「電波少年に出ていた芸人さん」のイメージが強かった私。
なので、『大家さんと僕』を初めて読んだ時、こんな素敵なマンガが描ける方なんだと、ビックリしました。

それもそのはず。
矢部さんのお父さんは絵本・紙芝居作家。
小さい頃から手作りのオモチャや、いっしょに工作、創作など、ものを創り出す遊びをいっぱい経験し、子どもに混じって自分も遊んでしまうお父さんに、愛情深く育てられたのですから。
血は争えません。
マンガ家としての才能の芽は、すでにずっと前からお持ちで、それが時を経て、咲くべき花がついに開いたのだと思います。

むしろ、芸人さんとしては繊細すぎるし、優しすぎる方なのでは…。
電波少年、よく頑張ってたよね、と思ってしまいます(笑)


矢部さん こんにちは


最初は、矢部さんの経歴をまとめたコーナーで、このエリアのみ撮影禁止となってます。
子どもの頃に描いた絵やマンガ、家族新聞など、興味深いものが色々ありました。
もちろん、芸人としてのお仕事も。 
人間は傘で空を飛べるのか、の実験映像とか(笑)
最近は、大河ドラマでも活躍していますね。


続いて、『ぼくのお父さん』のコーナー。

自転車で走るときの
風景が映し出されてました


パネルでマンガを紹介


ツクシンボウが
矢部さんに見えてくる…


お父さんである、やべみつのりさんが
ワークショップで
子どもたちと作った宇宙船


3才の矢部さんがおはなし 
お父さんが作画した冊子


『ぼくのお父さん』が
生まれるきっかけにもなった 
「たろうノート」


マンガにも登場してきます  


何でも絵にしてしまう、やべみつのりさん。
『ぼくのお父さん』でも、ごはんのおかずを絵に描き始めて、おかずが冷めてしまうというエピソードがありました。
お父さんの目線で、矢部さんやお姉さんの成長を、ずっと絵と文で描き残していました。


矢部さんが泣き止まず
死んだふりをするお父さん
ナイス!(笑)


膨大な量の成長の記録で、とても全部を読み切ることはできませんでしたが、実際はこの何倍も描いているのでしょうね。
本当に愛されて育ったんだなぁ…と、愛情溢れる矢部家を羨ましくさえ感じました。
彼の、ほわっと温かい絵や優しい眼差しは、この家族あってのもので、真似のできない矢部さん独自の味わいになってると思います。
 

赤ちゃんのころの矢部さん
微笑ましい


こちらは、『大家さんと僕』のコーナー。

手塚治虫文化賞を取り
話題になりましたね


電気がつく大家さん家


見られてた(笑)
大家さんに声をかけられる
矢部さん気分になれる、かも? 


可愛くマンガが
アレンジされてます


マンガの合間に飾られてる
淡い色使いの絵が
素敵でした


ほっこり
大家さん


矢部さん
いらっしゃい


夏ですね


後ろ姿も可愛い大家さん
お庭に紫陽花


スクリーンでは 
矢部さんが紙芝居の読み聞かせ


描き下ろしのアクリル画も、たくさん展示されていました。



この絵 なんかスキ


風に揺られ揺られ
新作の「昼寝姫」の展示



最後は『楽屋のトナくん』『マンガぼけ日和』『プレゼントでできている』のコーナー。

受付で、展示されている暖簾と公衆電話は手で触れても大丈夫です、と説明があったのですが…

これのことか…

触ってもいいと言われる時点で、何かあるんだなとわかっちゃいますよね(笑)
気になる方は、ぜひめくってみてください。
ぽつんと置かれた公衆電話も、お試しあれ。


フェルトで作られたらっこ
可愛いけど、どなた…?

未読でスミマセン


トナカイだから
トナくんなのね


手塚治虫文化賞のトロフィーも、飾られていました。

ちゃんとアトム


『大家さんと僕』の原稿も


こんな風に細かく指示が入って、何度も手直しして完成させるんだろうなぁ…と、漫画家さんの努力が垣間見えます。



思えば、矢部さんのマンガには、ふたりの関係がよく出てきます。
大家さんと僕、お父さんと太郎ちゃん、老夫婦や仲間…。

みんなでワイワイするのも楽しいけれど、ふたりだけの間に流れる優しい時間や関係性は、より濃くて特別なもの。
かけがえのない想いを積み重ねてゆく、ふたりにしか創れない空間。
年齢とか、性別とか、立場とか、そういう目に見える違いは関係なくて。
まわりの人がどう思おうと、心と心でつながっている、ふたりにしかわからない結びつきがあって。


『大家さんと僕 これから』で、大家さんが亡くなった後にこんなシーンがあります。 

いつもお茶をしていた
お部屋に祭壇が
作られました

そして
夜が来て
横になって
電気を消して
いろんなことを
思った日の最後に
僕は思いました

やっと
大家さんと二人なんだって

「おかえりなさい」

ふたりの間には、確かに愛がありました。
口で説明するのは難しいけれど、出会えてよかったとお互いに思える、そんな特別な相手だったのだと感じます。




展覧会のテーマに名付けられた「ふたり」という言葉。
全部を通して見て、とてもしっくりきました。

「ふたり」
そのままでいい。
無理しなくていいんだよ。
いっしょにいて楽しい人と、ふたりでいれば幸せだよ。

そんなことを、言われているような気分になりました。




さてさて。
展覧会後のお楽しみ。
PLAYカフェに寄って、ランチとしましょう。


メニューも
「ふたり」バージョン


いつもは、ご飯ものを選ぶのですが、今回はこちらに惹かれてデザートにしてしまいました。 

プリン・ア・ラ・モード 

大家さんが好きだった百貨店のレストランで出てきそうな、懐かしい感じの雰囲気。
久しぶりに、こういうの食べました。
イチゴが凍っていて、知らずに思いきりかじった1個目は、衝撃で声無き叫びをあげましたが(笑)
イラスト付きのクッキーは、最後に大事に食べました。

 




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