ショートショート 沈む

なんでもない今日を笑って過ごす中で、
なんの接点もないイケメンに
明らかに
絶対に
睨まれた俺は、
「俺なんかしたか?」
と不安になった。

そんな出来事を
すっかり忘れたその一時間後、
友人と楽しく食事をしている中で、
どこの誰だか分からない
プロレスラーみたいな男に、
「てめぇ足折ってやろうか!」
と脅された。
これには腰が抜けざるを得ない。

しかしまぁ、
そう言われただけで足を折られることはなかったんだけど、一体なんなんだ?
俺なんかしたか?
めっちゃ恐いんだけど。
不安になるわ。

と、
困惑して泣き顔になっていたその一時間後、
俺はそんな出来事をすっかり忘れ、
知らない人と意気投合していた。

すると、
そんな和やかムードをぶち壊すかのように、
細身も細身の細身すぎる女性が俺に向かって、
「あー!」
と凄い剣幕で叫んできた。
これには身構えざるを得ない。

がしかし、
結局細身の女性はそう叫んだだけで、
何をするでもなく、
怒りの足音を鳴らしながら
速やかにお帰りになられた。

いや、なんだったんだ……?
物凄く気分が沈む。
俺今、ずーんってなってるわ。
もう意気投合とか言っている場合じゃない。
これじゃ気持ちよく喋れないよ。
なんなんだ本当に。
俺なんかした?
なんかしたの?
もう……なんなんだよ……。

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