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妻が消えた日①


 僕の妻ななみが消えた日のことは今でもはっきりと細かいところまで記憶している。
これから帰るとLINEをしてななみから返信もあった。

 僕が帰宅するとクローゼットが少し開いていてハンガーが床に落ちていた。部屋の灯り、エアコンもついていた。飲みかけのマグカップ。フライパンには炒め物。味噌汁も出来ていた。炊飯器もonになっていた。ついさっきまでここにいたのだろう。

 僕がプレゼントしたバッグがいつもある所になかったので、買い忘れか何かで近所のコンビニかスーパーマーケットにでも行ったのだろう、と思った。

 ところが30分経っても1時間経っても帰ってこない。LINEしても電話しても出ない。2時間経っても帰ってこない。連絡もない。
黒い不安が胸に広がり、いやな予感で心がざわざわしてきた。
(続く)


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