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何でもない日。みんなの12月某日②

 あの人は、「奥さんからお小遣いを3万円しかもらえないんだよ〜」と幸せそうに言う。よくよく聞けば、申告すればいくらでももらえるそうだ。

 「ディズニーランドに家族で行って子供を長時間抱っこして歩いて筋肉痛になっちゃって」、とか笑顔で話す。そんな話は、需要がないから。

 誰かが元気がなかったり、失敗して落ち込んでいたら、話を聞いてあげたり、励ましたり。人の気持ちに敏感なのだろう。皆に気づかいをする。心を配る。皆に優しい。 
   聖人?

 過分な優しさや親切心は、家族に対してだけでいいのでは?誤解を生む可能性もありますよ。

 そんなあの人のことが気になる。目で追ってしまう。私の心は、あの人中心で回っている。

 あの人に〝心がとらわれている〟のをやめたい。どうしたら私の心は解放されるのだろう。

 とても寒い日、クリスマスイルミネーションがきらきら輝く街をひとり歩く。歩きすぎて、身も心もすっかり冷え切った。私の恋心も凍ってぱりんと砕けて溶けて失くなってしまいますように。
 
 
 

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